29課教案 自他説明 てしまいます(完了・遺憾) ています(物の結果の状態)

教案
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教師用メモ

1.この課では自動詞が多く出る。既習の他動詞との違いは実際にドアを開けたり、自動ドアなどを見せて示す。また、ここで扱う動詞の多くが瞬間的に終わる動きを表すことに留意する。

2.自動詞は物、事柄が主語になることが大変多い(多いだけで、「起きる・働く」などはそれに当てはまらないが自動詞である)。

そして、自動詞と他動詞の分け方で注意しなければならないのが、「意志のあるなしではない」という事。「自動詞=無意志動詞」「他動詞=意志動詞」とよく勘違いされているが、違う。大切なのは「目的語をとるかどうか」である。「起きる」は意志があるが、目的語をとらない自動詞である(だから無意志には自動詞が『多い』のである)。

「助詞ヲが付くものは他動詞」と言ってしまいたいが、「電車を降りる」などやっかいなものも多いので言わないようにする。動詞ピクチャカードを数十枚見せていき、自動詞か他動詞か言わせて確認していく。言葉での説明はやるだけ無駄で、さらなる混乱を呼ぶだけなのは経験済み。とにかく例文と動詞ピクチャカードを見せて理解を促す。

3.他動詞にも数は少ないが、テイルの形をとって、「知っている、忘れている、眼鏡をかけている、持っている、着ている」など、状態を表すものがある(L15で詳しく教授済)。

4.動詞の中には現在形で現在の状態を表し、テイルの形をとらないものもある
できる、ある、いる、可能動詞、など

教案

物がVテ+ています N4 【『物』の結果状態】 単なる目前の事物の状態を述べる

- 教える際の留意点-

L14たばこを吸っている
L15結婚している・住んでいます・持っている・知っている
L22着ている・はいている
L14~L22は主体が全て人。L29では物の瞬間的な変化の結果、それがどんな状態にあるかを表す

詳しいて形の機能、さらに「ている」の機能は「て形」の11の機能 + 「ている」の機能にまとめてあります。

1.教室の事物の状態を描写し、理解を促す

導入・練習

◆まずは自他動詞の違いを説明する

T:ドアを開けます(と言って、教室のドアを開ける)。ドアが開きます(と言って、自動ドアでドアが開く絵カード、できれば動画などを見せる)

    開けます
    開きます
T:英語ならどちらもopenです。同じです。でも、日本語は言葉が違います。「開けます」、私はドアを開けます、はタドウシです。ドアが開きます、はジドウシです。
他動詞 開けます
自動詞 開きます

T:29課でこの自動詞、他動詞を勉強します。

動詞絵カードを見せながら、動詞を確認していく。その際、助詞て形、自動詞か他動詞なども確認しておくといい。

T:これは?(「閉まります」のフラッシュカードを見せる)
S:閉まります
T:ドア・・・?
S:ドア閉まります
T:これは?(「消します」のフラッシュカードを見せる)
S:消します
T:ドア・・・?
S:電気消します
T:て形は?
S:消して
T:「閉まります」は自動詞?他動詞?
S:自動詞
T:「消します」は?
S:他動詞

◆L14~L22の「ている」復習
T:14課で勉強した「ています」は「今~しています」。15課の「ています」は「結婚しました。今も結婚しています」。今日の「ています」も、ドアが開きました。今も開いています。そのままです。

◆絵カードを見て、【Nが自動詞+ています】を作る
T:(窓が開いている絵カードを見せる)これは?
S:窓
T:どんな窓?
S:開きます
T:開いています

窓が開いています。

T:(電気が消えている絵カードを見せる)これは?
S:電気
T:どんな電気?
S:消えています、電気が消えています

電気が消えています。

以下、例文
服が汚れています
お皿が割れています

◆相手が気づいていない事柄に言及し、それに気づかせる。
T:あ、S1さん、かばんが開いていますよ
S:あ、ありがとうございます

以下、会話の例を板書し、会話の練習をする。

A:あのう……。
B:はい。
A:かばんが開いていますよ。
B:えっ。あ、どうもありがとうございます。

◆前の練習は単文だけだったが、これはカラで繋げて複文に。後件は働きかけや形容詞文など様々。

T:見てください(皿が割れて、床に散っている絵カードを見せる)。危ないですね
S:危ないです
T:何を言いますか
S:気をつけてください
T:お皿が?
S:お皿が割れています

お皿が割れていますから、気を付けてください。

T:エアコンが?(エアコンが消えている絵カードを見せる)
S:エアコンが消えていますから、つけてください

エアコンが消えていますから、つけてください。

T:ボタンが?(ボタンが外れている絵カードを見せる)
S:ボタンが外れていますから、つけた方がいいです

ボタンが外れていますから、つけた方がいいです。

◆活動/ゲーム。自他動詞カルタ。自他動詞のカードを作っておく。授業ではTがカードの内容を読み上げ、グループ内で一番カードを多く獲得したものが勝利

【画像】「てある」と「ている」の違いと用法、使い分け

「てあります」と「ています」の違いについて、イラストを使って解説する。

まず「てあります」は何かしらの意図をもって何かを行うことを表し、「ています」は意図のどうのという話ではなく、事物の結果が残存していることを表す。
言うのは簡単だが、これを初級段階の学習者に教えるのはなかなか骨が折れる。もちろん「アスペクト」や「意図」などといった文法用語などの難解語を使わずに、かみ砕いて説明するには、視点を変えるのが早い。

2つの説明に入る前に、まずは前提として、自動詞と他動詞の違いがある。

先ほど視点を変えると書いたが、簡単に言うと、

  • 「てあります」はいつもその状態であり
  • 「ています」はちょうどその時だけある状態だと述べる

と学習者に教える。実際の授業では「「てあります」はいつも、「ています」は今だけです」のように言葉を絞ってイラストを見せながら説明する。説明が長いので、さらに詳しい説明の方法はこちらか↓のリンク先にまとめている。

【画像】「てある」と「ている」の違いと用法、使い分け
「てあります」と「ています」の違いについて、イラストを使って解説する。 当ページにある画像をロゴ無しで見たい方はこちらから購入できます。 当ページに関係のある課(みんなの日本語) 14課教案 「て形」 てください ましょうか ています...

この物+はVテ+ています 【会話内でのテイル】

- 教える際の留意点-

1.助詞の「が」が単なる目前の事物の状態を述べるのに対し、「は」はそれに加えて会話内で話題に挙がった事物の状態も描写する。その際、助詞は取り立ての助詞である「は」を使う。目前との用法の違いがわかりにくく、同じじゃないの?と思うので、導入や練習ではQA式で提出、会話内で特によく使われる事に注目させる。

2.取り立てて使うので、「他のイスは壊れていないが、このイスは壊れている」という対比の意味で「が」ではなく「は」を使うんだよ、と説明する。このようにある特定の物について壊れているとか汚れているとか、その状態を述べる場合は、「このNは~」と取り立て「は」を使い、さらにコノ・ソノなど指示詞がつくと主題が際立ってわかりやすいので、つけて練習する。

3.前件を理由のカラで繋げ、後件に「てください」「ましょう」などの処置の依頼や実行を希望する文、または言い訳をする文が続くことが多い。

◆学習者の持ち物を使って導入する。

T:今日は荷物がたくさんありますから、袋が欲しいです。あ、S1さん、この袋をもらってもいいですか。
S1:いいですが、破れています。

この袋 が→ 破れています。

◆絵カードで状況を示しながら導入する。

AとBが会社で話している絵カードを見せる。
A:すみません、3階のパソコンを使ってもいいですか。
B:あ、3階のパソコン(パソコンが壊れている絵カードを見せる)・・・
T:パソコン?
S:パソコンは壊れています。

パソコン が→ 壊れています。
S:先生、「パソコン」じゃありませんか。
T:そうです。話す時はよくこの「が」が「は」になります。
 

◆学習者の持ち物を借りる

T:(教師が何かを紙に書こうとするが、書き損じる)えーと、S1さん、消しゴムを持っていますか
S:はい、消しゴムはかばんの中に入っています

◆学習者の持ち物を使おうとするが、それが使えない状況
T:この携帯電話を使ってもいいですか
S:この電話が壊れています(この一文だけでおかしいことは明らかだが、Sはわからないので、説明する)
T:話している時、私とあなた、会話の時、電話ガじゃありません、この電話ハ壊れています、です
S:えー、でも先生、C-1も会話ですが、ガです。どうしてですか。B-2も会話です。「エアコンが消えていますから、つけてください」AさんとBさんの会話ですよ。
T:ええ~、本当に会話ですか。よく見てください。C-1。後ろのかばんが開いています、わかりません。教えます。「かばんが開いていますよ」。会話は、「明日何をしますか」「買い物しますよ」、これが会話です。2人で話す時、「このNは~ていますよ」と言います。B-2も「お願いします」、これは『会話』じゃありません。『お願い』です
S:なるほど!
(↑ここまでしつこい学習者はそうはいない。とにかく教師がA-1とA-2の違いがわかっていれば、この説明文に準ずる他の言い方、わかりやすいジェスチャーで構わない)

◆QA。Qは全てテモイイデスカ。AがBに許可を求めるが、Bは話題の物の状態が悪い事をAに告げる
Aこのエアコンを使ってもいいですか
Bそのエアコンは故障しています

「窓が開けてあります」と「窓が開いています」の違いのさらに詳しい解説(授業で使える画像付き)はこちら

Vテ+てしまいました N4 【完了】

- 教える際の留意点-

1.完了の用法の「てしまいます/ました」は時間のある程度かかる動詞達成が多少困難な事につきやすい。
 ×働いて~(働くことは日常的なことなので×)

2.いつ、どんな時に使うのかが難しい。ニュアンスを例文でしっかり教えないと、非文も作られやすい。使う動詞はこちらで指定してしまってもいい。

3.「てしまいます」は相手に「もうすぐそれが終わるよ」という終了を示すことができるので、例えば

A:これから飲みに行かない?
B:ちょっと待って、これコピーしてしまうから

「コピーしてしまう」と言う事で相手に「すぐ終わるよ」という終了を提示している。(過去形である「てしまいました」にはこの用法はない)。これから考えられることは、いくらこの文型を使っても終了が感じられにくい事柄、つまり時間がかかる文(旅行してしまいます)には使われないということ。

導入・練習

◆導入

S:先生、あと10分で休み時間です。もう終わりましょう。
T:ああ、ちょっと待って。最後にこの問題のプリントをします。
S:えええええええ、絶対無理です。時間がありません。
T:大丈夫。これを書いてしまいます。

これを書いてしまいます。

S:てしまいます?
T:そうです。

学習者に「てしまいます」は完了を表します、とも言えませんし、かと言って完了の説明もいまいちわかりにくく、結局「書きます」と「書いてしまいます」の違いが曖昧なままになって終わってしまいます。
そうならないようにここでは少し視点を変え、完了ではなく、義務という用法で教えます。実際、「てしまいます」は遂行する義務がある行為によく使われます

T:「てしまいます」は「しなければなりません」と少し同じです。「このプリントを書いてしまいます」は「このプリントを書かなければなりません」と少し同じです。
S:じゃ、「毎日学校へ来なければなりません」と「来てしまいます」は同じですか。
T:違います。「なければなりません」はいつも、ずっとします。しなければなりません。でも、「てしまいます」は今、すぐにしなければなりません。です。

なければなりません:
 ①今、すぐに、しなければなりません
 ②いつも、ずっと、しなければなりません
 
てしまいます:
 ①今、すぐに、しなければなりません

◆QA。「いいえ、まだ読んでいません」は31課で既出。

Q:先週貸した本はもう読みましたか。
A:はい、全部読んでしまいました。
A:いいえ、まだ読んでいません。

導入・練習

◆終了を示すために、後件に「ちょっと待ってください」を入れる
T:作文を書きました。どうしますか
S:先生に出します
T:じゃS1さん、私にお願いしてください。
S1:先生、この作文を見てください
T:(忙しそうなG)すみません。コピー・し・て・し・ま・い・ま・す・から、ちょっと待ってください

料理を作ってしまいますから、ちょっと待ってください。
ごはんを食べてしまいますから、ちょっと待ってください。
この本を読んでしまいますから、ちょっと待ってください。
この宿題をしてしまいますから、ちょっと待ってください。

◆誘いを「これから~をするから」と断るQA。「から」の後には「だから~できない」という釈明が来るが、それを言わない答え方
A:昼ご飯を食べに行きませんか。
B:すみません。これをコピーしてしまいますから。

Vテ+てしまいました N4 【残念なとき】

- 教える際の留意点-

1.<前件>したが、<後件>という結果になった、という話者の遺憾の気持ちを表す。

導入・練習

◆残念なこと、後悔したことを話題に導入する。

T:昨日彼氏とケンカして・し・ま・い・ま・し・た
S:(てしまいました?)え、先生、どうしてですか。
T:私が悪いことを言ってしまいました
S:(てしまいました??)どうして言いましたか。
T:彼氏が私の物を壊してしまいましたから。
S:先生!「てしまいました」はどういう意味ですか。

彼氏とケンカしてしまいました。
悪いことを言ってしまいました。
私の物を壊してしまいましたから。

T:「てしまいました」は残念な時に使います。皆さん、ケンカは好きですか。
S:嫌いです。
T:そうですね。悪い事を言いたいですか。
S:いいえ。
T:それは全部残念です。ケンカしたくないです。悪い事も言いたくない。でも、ケンカしました、ケンカしてしまいました、悪い事を言ってしまいました。

「してしまいました」と「しました」の違いを演技力やジェスチャーで説明します。

T:ケンカします(無表情で言う)。ケンカしてしまいました(泣きながら悲しそうに言う)。壊します(無表情で言う)。壊してしまいました(泣きながら悲しそうに言う)。

他例文
あっ、教科書/消しゴム/メガネを忘れてしまいました
田中さんの住所を聞きましたが、忘れてしまいました

◆練習。Bに何かが起こり、それに対しAがどうしたのかと問う。
A:どうしたんですか
B:手を切ってしまったんです

授業記録

1.1課から50課を2分割する際、人によって14課の前と後、20課の前と後、とさまざまな区切り方があると思うが、私はこの29課が大きな区切り、というかここからグっと難しくなる気がしている。ずっと順調に、簡単簡単と言ってスムーズに進んでいたクラスが何度もこの自他動詞によりつまずき、口が回らず、混乱し、落ち込んでいく。

だいたいこの課あたりからハネムーン期が終わる学生がぽろぽろと出てくる。特に賢い子に多いのだが、アルバイトや勉強、恋愛、進学など、様々なことで悩み始める。あちらから相談はしにくいと思うので、こちらから歩み寄ることも大事になってくる。

3.自動詞は「が」、他動詞は「を」を必ず伴うと思っている学生も教師も多いので注意。
・風が吹く 笛を吹く
・扉が開く 扉を開く
学生に違いを言う時は、ガ・ヲで教授してもいいが、「全部じゃないよ。ほとんどね」と付け加えること

自他動詞については以下のページでかなり詳しく解説しています。自他動詞の判別方法、日本語教育能力検定試験風の問題も載せています。

完全攻略!自動詞・他動詞とは 検定風練習問題つき
動詞は自動詞と他動詞の2つに分けられます。「“人”が他に影響を及ぼすのが他動詞でそうでないのが自動詞」というのは誤りです。他にも自他動詞には様々な勘違いがあるので、まずはそれらから説明していきます。 自他動詞 2つの勘違い 自動詞≠無意...

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