【29課】教案:自他動詞、Vてしまいました

教案

みんなの日本語 初級II 第二版』完全準拠。
導入や練習の仕方、教師として知っておきたい文型のポイントなどを解説します。

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学習項目

練習A
1.Nが V[テ]います(物の結果の状態)
2.Nは V[テ]います(物の結果の状態)
3.V[テ]しまいました/しまいます(完了)
4.V[テ]しまいました(残念)

教案

新出語彙

多くの自動詞は、ここが初出となります。授業内で、他動詞との違いをしっかり説明しましょう。

★ポイント

  • 開きます:ここでは「あきます」(自動詞)。「(教室を)ひらきます」(他動詞)は27課。「(扉が)ひらきます」(自動詞)は教えない
  • 壊れます/割れます/折れます/破れます:英語ではどれもbreakで言うことができるので、混乱する学生もいる。いくつか例を見せるとよい。「壊れる」は大きめの機械系(動くはずのものが動かない)、「割れる」は硬くて薄いもの、「折れる」は硬くて細長いもの「破れる」は柔らかくて薄いものに使う
  • 間違えます:取り違える、し損なう、といった意味。Ⅱグループで、他動詞なので「~を間違える」「~を間違えた」と使う。なお「間違った」は「間違う」という別の言葉のタ形なので言わないよう注意(みん日では教えない)。これは本来自動詞だが、他動詞的にも使う。意味はどちらかと言えば「正しくない」に近いが、「間違える」とほぼ同義。「住所が間違っている」「人としての道を間違った」など

自他動詞の基礎知識

◆瞬間的に終わる動きが多い
ここで扱う動詞の多くが、瞬間的に終わる動きのものです。既習の他動詞との違いは実際にドアを開けたり、自動ドアなどを見せて示しましょう。

◆モノ、コトが主語になることが多い
自動詞は、物や事柄が主語になることが多いです。ただ、「起きる・働く・歩く」などは、人や動物が主語ですが自動詞です。

意志のあるなしではない
「自動詞=無意志動詞」「他動詞=意志動詞」とよく勘違いされていますが、違います。大切なのは「目的語をとるかどうか」です。「起きる」は意志がありますが、目的語をとらないので自動詞です。たしかに自動詞に無意志は多いですが、完全にイコールではありません

◆助詞で判別は難しい
「「を」が付くものは他動詞」と言ってしまいたいのですが、「道を歩く」「電車を降りる」などやっかいなものも多いので、言わないほうが無難です。動詞ピクチャカードを数十枚見せていき、自動詞か他動詞か言わせて確認していきましょう。言葉での説明はやるだけ無駄で、さらなる混乱を呼ぶだけなのは経験済みです。とにかく例文と動詞ピクチャカードを見せて理解を促すしかありません。

◆自動詞と他動詞、どちらもある動詞がある
ほとんどの動詞は自動詞か他動詞に分けられますが、中にはどちらにもなれるものがあります。
・扉が開く(ひらく) 教室を開く
・扉が閉じる 本を閉じる
・風が吹く 笛を吹く

◆状態を表すのに「~ている」の形をとらないものがある
可能動詞や「ある」「いる」などは、現在形で現在の状態を表すため、「~ている」の形をとりません。

◆他動詞にも状態を表すものがある
数は少ないですが、他動詞にも「~ている」の形をとって、「知っている、忘れている、眼鏡をかけている、持っている、着ている」など、状態を表すものがあります(15課で詳しく教授済)。

自他動詞についてはこちらのページでかなり詳しく解説しています。自他動詞の判別方法、日本語教育能力検定試験風の問題も載せています。
完全攻略!自動詞・他動詞とは 検定風練習問題つき
動詞は自動詞と他動詞の2つに分けられます。「“人”が他に影響を及ぼすのが他動詞でそうでないのが自動詞」というのは誤りです。他にも自他動詞には様々な勘違いがあるので、まずはそれらから説明していきます。 自他動詞 2つの勘違い 自動詞≠無意...
29課の語彙で、自他どちらかが未習のもの

<他動詞>
・折ります(34課)
・[しょうゆを]つけます(34課)
・汚します(37課)
・壊します(37課)
・[鍵を]かけます(38課)
・割ります(ー)
・破ります(ー)
・[ボタンを]外します(ー)
・倒します(ー)
・燃やします(ー)
<自動詞>
・[荷物が]落ちます(43課)
・間違います(ー)

以上は未習語ですので、自他動詞をペアで教えたり答えさせたりするときは注意しましょう。

練習A-1:Nが V[テ]います(物の結果の状態)

「V[テ]いる」の用法
14課 ごはんを食べている・たばこを吸っている
15課 結婚している・住んでいる・持っている・知っている
    コンピューターを売っている・IMCで働いている
22課 着ている・はいている
28課 毎日散歩している・塾に通っている
29課 窓が開いている・皿が割れている
14課~28課は主体が全て人です。
29課は物の瞬間的な変化の結果、それがどんな状態にあるかを示しています。

詳しいて形の機能、さらに「ている」の機能は「て形」の11の機能 + 「ている」の機能にまとめてあります。

https://jn1et.com/howto-tekei/#i-13

導入:自他動詞

◆まずは自他動詞の違いを説明する
T:ドアを開けます(と言って、教室のドアを開ける)。ドアが開きます(と言って、自動ドアでドアが開く絵カード、できれば動画などを見せる)。

ドアを あけます
ドアが あきます
T:英語は、どちらもopenです。同じです。でも、日本語は言葉が違います。「開けます」、私はドアを開けます、は他動詞です。ドアが開きます、は自動詞です。
ドアを あけます【たどうし】
ドアが あきます【じどうし】

T:29課でこの自動詞、他動詞を勉強します。

T:電気を消します(やってみせる)。電気が消えます(停電の様子などを動画で見せる)。タクシーを止めます、タクシーが止まります(動画で見せる)。
S:先生、他動詞はいつも「を」で、自動詞は「が」ですか。
T:うーん。そうですね。でも、いつもじゃありません。例えば…(本を鞄にいれる・鞄から出す絵)これは?
S:本を鞄に入れます/鞄から出します。
T:これは他動詞。じゃ、(大学に入ります・出ますの絵)これは?
S:大学に入ります/大学を出ます
T:これは自動詞。でも、どちらも「が」を使いません。そして、「出ます」は「を」を使います。ですから、助詞だけで自動詞ですか他動詞ですか、は難しいですね。

◆動詞絵カードを見せながら、動詞を確認していく。その際、助詞て形、自動詞か他動詞なども確認しておくといい
T:これは?(「閉まります」のフラッシュカードを見せる)
S:閉まります。
T:ドア・・・?
S:ドア閉まります。
T:これは?(「消します」のフラッシュカードを見せる)
S:消します。
T:ドア・・・?
S:電気消します。
T:て形は?
S:消して
T:「閉まります」は自動詞?他動詞?
S:自動詞
T:「消します」は?
S:他動詞

自他動詞の教授に使える教材
・『げんきⅡ 第二版』pp.150-151
・『初級日本語文法総まとめ ポイント20』p.69
未習語が含まれるため、事前に確認して使うとよい

◆文字で確認
文型練習帳』p.20を使うなどして、文字で整理・確認する。

導入:Vています

◆L14~L22の「ている」復習
T:(ラーメンを食べている人の絵)これは何ですか。
S:ラーメンを食べています。
T:そうですね。14課で勉強しました。「今、ラーメンを食べています」。これは、ラーメンを食べます。いただきます。…ごちそうさま。食べました。終わりました。

T:(結婚指輪を見せている二人の絵)じゃ、これは?
S:結婚しています。
T:そうですね。15課です。この「ています」は「結婚しました。今も結婚しています」。終わりません。

T:(窓が開いている絵)じゃ、これは?窓が?ています?
S:窓が開いています?
T:そうです。今日の「ています」も、窓が開きました。今も開いています。終わりません。

まどが あいています

◆「Nが」をキューにして「~ています」だけで練習
T:(電気が消えている絵)電気が?
S:消えています
T:(窓が割れている絵)窓が?
S:割れています

練習B-1

◆拡大した絵などを用いて行う
T:(例の絵を見せる)これは?
S:窓が開いています。(リピート練習)
(同様に1~7も行う)

活動:文作成

◆部屋などの絵を見て、「~ています」で文を作る
文型練習帳』p.21をつかってもよい。

練習C-1

◆例を確認してから、ペアで練習する

相手が気づいていない事柄に言及し、それに気づかせる会話です。ここの「すみません」は「ありがとう」の意味であることも確認しましょう。

導入:Vていますから、~

◆単文から複文へ。後件は様々な形がある
T:見てください(皿が割れて、床に散っている絵カードを見せる)。危ないですね。
S:危ないです。
T:何を言いますか。
S:気をつけてください。
T:お皿が?
S:お皿が割れています。

おさらが われていますから、きをつけてください。

T:(エアコンが消えていて寒そうな人の絵カード)この人は何と言いますか。エアコンが?
S:エアコンが消えていますから、つけてください。

エアコンが きえていますから、つけてください。

練習B-2

◆キュー出しで行う
T:エアコン・つきます・消してください。エアコンが・・・?
S:エアコンが付いていますから、消してください。(リピート練習)
(同様に1~4も行う)

一文が長いので、まずは「~ていますから」までで練習し、その後全文にする、と段階を踏んでもよいでしょう。

練習A-2:Nは V[テ]います(物の結果の状態)

ここでは、すでに話題に上っているNに関して、「は」で取り立てて状態を描写します。取り立ての「は」は17課で学んでいます。「は」と「が」について、詳しくはこちら

導入&練習B-3

◆練習B-3の絵を使って導入・練習する
T:(例の絵を見せる)この絵を見てください。AさんがBさんに聞きます。「この傘を借りてもいいですか」。でもこの傘、どうですか。(傘の部分を指す)
S:折れています。
T:そうです。ですから、Bさんは教えます。「その傘は折れていますよ」。

このかさを かりてもいいですか。
…そのかさ おれていますよ。

S:先生、「傘が」じゃないですか。
T:そうですね。これは、18課で勉強した、「あ、その傘!その傘!!その傘は!!折れていますよ~」のように、「傘」を話のトピックにする言い方です。

T:じゃ、つぎです。(1の絵を見せる)このコップを使ってもいいですか。そのコップ…?
S:そのコップは汚れていますよ。
(同様に2~4も行う)

練習C-2

◆例を確認してから、ペアで練習する

「すみません」で始まり「すみません」で終わる会話です。必要があれば、それぞれの「すみません」の意味を確認しましょう。

練習A-3:V[テ]しまいました/しまいます(完了)

教える際のポイント

◆どのような動詞につくのか
「~てしまいました/しまいます」は、要する時間が短くも長くもない動詞かつ達成が多少困難な事、完了が義務であることにつきやすいです。したがって、「もう鍵を開けてしまいました」のような瞬間動詞や「出張へ行ってしまいます」のような比較的時間を要する事柄、「働いてしまいました」のような日常的にこなしていること、「宿題の後、漫画を読んでしまいます」のような義務ではないことには使いません。

◆「終了」を示せる
「てしまいます」は相手に「もうすぐそれが終わるよ」という終了を示すことができるので、例えば
A:これから飲みに行かない?
B:ちょっと待って、これコピーしてしまうから
のように、「コピーしてしまう」と言う事で相手に「すぐ終わるよ」という「終了」を提示することができます(過去形である「てしまいました」にはこの用法はありません)。

導入:Vてしまいました

◆「~てしまいました」の概念を導入
T:(女の人と真面目そうな男の人の会話を絵で見せる)女の人と男の人が話しています。女の人が言います。「明日までの宿題がたくさんありますね」。男の人はとても真面目です。勉強が大好きです。男の人は答えます。「宿題は全部やってしまいました」。

しゅくだいは ぜんぶ やってしまいました

T:女の人は言います。「作文を書かなければなりませんね」。男の人は言います。「作文はもう書いてしまいました」。

しゅくだいは ぜんぶ やってしまいました
さくぶんは もう かいてしまいました
T:どんな意味だと思いますか。
S:終わりました、ですか。
T:そうです。この「~てしまいました」は、「しなければなりません」が「終わりました!」と言いたいときに使います。
 

「完了」と言う言葉を使って説明はできないので、ここでは「しなければならないこと(義務)が終わった」というイメージで教授します。

◆口頭練習(「もう/全部~てしまいました」を作る練習)
T:「~てしまいました」を使ってください。もう読みました
S:もう読んでしまいました
T:全部やりました
S:全部やってしまいました

・・・
 
◆「~てしまったんですか」(驚きの気持ち)導入
T:ではもう一度、女の人と男の人の会話です。「明日までの宿題がたくさんありますね」「宿題は全部やってしまいました」。女の人はどんな気持ちですか。
S1:どうして?
S2:Wow!
T:そうですね。「ええ!?もう!?本当に!?」という気持ちですね。この強い気持ちを伝えたいときは、「んですか」を使いましょう。「もうやってしまったんですか。」
しゅくだいは ぜんぶ やってしまいました
…もう やってしまったんですか。
T:じゃ、これは?「作文はもう書いてしまいました」。
S:もう書いてしまったんですか。

さくぶんは もう かいてしまいました
…もう かいてしまったんですか。

練習B-4

◆キュー出しで行う
T:「もう~てしまったんですか」を使って、「ええ!?もう!?」の気持ちを見せてください。「この本はもう読みました」
S:もう読んでしまったんですか。(リピート練習)
(同様に1~4も行う)

導入:Vてしまいます

T:(再び、女の人と真面目そうな男の人の会話)また女の人が男の人に聞きます。「来週までのレポートをいつ書きますか」。男の人は答えます。「今日書いてしまいます」。

きょう かいてしまいます

T:女の人「一緒に帰りませんか」。男の人「すみません、図書館でこの本を読んでしまいます」。

きょう かいてしまいます
このほんを よんでしまいます

T:これは、これからします、ですね。しなければならないことを、いまからします。このとき、「~てしまいます」を使います。

◆練習
T:「~てしまいます」を使ってください。料理を作ります
S:料理を作ってしまいます
・料理を作ってしまいます
・ごはんを食べてしまいます
・この宿題をしてしまいます

練習B-5

◆例を使って「お先にどうぞ」の導入(「先に(34課)」「お先に失礼します(38課)」ともに未習)
T:ここは会社です。男の人が女の人に言います。「そろそろ帰りませんか」。女の人は言います。「これを片付けてしまいますから、お先にどうぞ。」お先にどうぞ、は何ですか。
S:わかりません。
T:「お先にどうぞ」は、よく使うあいさつです。意味は、「あなたのほうが早く、どうぞ」という意味です。会社で「帰りませんか」の時はどんな意味ですか。
S:あなたが早く帰ってください?
T:そうです。
S:ほかにどんな時に使いますか。
T:例えば、ここはトイレです。私とほかの人が、同じ時に来ました。(ジェスチャーで示す)私が「お先にどうぞ」と言います。他の人が早くトイレを使います。

◆学生にそれぞれ用事を書いた紙を渡し、文を作らせる
T:先生が「そろそろ帰りませんか」と聞きますから、みなさんはその紙のことを言って、お先にどうぞ、と言ってください。S1さん、そろそろ帰りませんか。
S1:メールの返事を書いてしまいますから、お先にどうぞ。
(同様に繰り返す)
ほかの例
・この資料を片付けます
・会議室をきれいにします
・この書類を書きます
など

会話例を板書しておくとスムーズです。

練習A-4:V[テ]しまいました(残念)

「完了」とは全く異なり、「Aを目指したがBという結果になった」「したくなかったがそうなってしまった」「あるはずのものがない」といった、話者の残念、後悔、焦りなどの気持ちを表します。

導入

◆残念なこと、後悔したことを話題に導入する。
T:昨日彼氏とケンカして・し・ま・い・ま・し・た
S:(てしまいました?)え、先生、どうしてですか。
T:私が悪いことを言ってしまいました
S:(てしまいました??)どうして言いましたか。
T:彼氏が私の物を壊してしまいましたから。
S:先生!「てしまいました」は「しなければならないことが、終わりました」じゃありませんか。

かれしと けんかしてしまいました
わるいことを いってしまいました
わたしのものを こわしてしまいましたから。

T:「てしまいました」は残念な時に使います。皆さん、ケンカは好きですか。
S:嫌いです。
T:そうですね。悪い事を言いたいですか。
S:いいえ。
T:それは全部残念です。ケンカしたくないです。悪い事も言いたくない。でも、ケンカしました、ケンカしてしまいました、悪い事を言ってしまいました。

「してしまいました」と「しました」の違いを演技力やジェスチャーで説明します。

T:ケンカします(無表情で言う)。ケンカしてしまいました(泣きながら悲しそうに言う)。壊します(無表情で言う)。壊してしまいました(泣きながら悲しそうに言う)。

◆焦りの時にも使うことを導入する
T:S1さん、スマートフォンを見せてください。
S1:はい。
T:わあ、かっこいいですね。私のスマートフォンは古くて……あれ?あれ?ない!(探すジェスチャー)どうしよう、スマートフォンを無くしてしまいました(悲しそうに)。

スマートフォンを なくしてしまいました

T:「えっどうしますか!?どうしたらいいですか!?」のときにも使います。

◆練習
T:「てしまいました」を使いましょう。財布を落としました
S:財布を落としてしまいました
・言葉の意味を忘れました
・授業に遅れました
・スマホが壊れました
・鍵をなくしました

練習B-6

◆キュー出しで行う
T:田中さんの住所を聞きました・忘れました。田中さんの住所を聞きましたが…?
S:忘れてしまいました。
T:1つの文で?
S:田中さんの住所を聞きましたが、忘れてしまいました。(リピート練習)
(同様に1~4も行う)

文が長くて難しいようなら、まずは後件を「~てしまいました」にする練習をし、そこから一文につなげていきましょう。

練習B-7

「どうしたんですか」「どうして~んですか」を使った質問に、「~てしまったんです」を使って答える会話の練習です。「~てしまいました+~んです」は結構こんがらがるので、ゆっくり行います。

◆拡大した絵を用いて行う
T:(例の絵を見せる)この人の顔を見てください。困っていますね。聞きましょう。「どうしたんですか。」答えは?
S:傘を忘れてしまいました。
T:そうですね。質問は「どうしたんですか」ですから、「んです」を使って答えましょう。
S:傘を忘れてしまったんです。(リピート練習)
(同様に1~4も行う)

導入:文脈指示の「それ」/<場所>に行く/Vないと(いけない)。

練習C-3の例には、練習Bで扱わなかった新出の要素が3つも含まれています。紹介程度でかまわないので触れておきましょう。なお、文脈指示の「それ」と「~に(行く)」は『翻訳・文法解説』に記載がありますが、「~ないと」はありません。

◆「<場所>に」

A:どうしたんですか。
B:どこかで さいふを おとしてしまったんです。
A:それは たいへんですね。すぐ こうばんに いかないと。
B:ええ。

T:まず、ここ見てください(「に」を指す)。「行かないと」は「行かなければなりません」のことです。交番に行かなければなりません。どうですか。
S:交番「へ」、じゃないですか。
T:そうですね。「交番へ行きます」「交番に行きます」どちらでもいいです。

◆「Vないと。」
S:先生、「行かないと」は「行かなければなりません」ですか。
T:そうです。本当は、「行かなければなりません」と同じ、「行かないといけません」の、会話バージョンです。意味は同じです。でも、話すときしか使いません。

◆文脈指示の「それ」(「あれ」系は扱わない)
T:じゃ、最後、ここを見てください。(「それ」を指す)この、「それは大変ですね」の「それ」。何ですか。何が大変ですか。
S:財布を落としてしました
T:そうですね。財布を落としたことは、大変ですね。と言っています。でもこれは長いですよね。「財布を落としてしまいました」「ええ、財布を落としてしまったことは大変ですね」。ながいですから、「それ」を使って言います。「財布を落としてしまいました」「ええ、それは大変ですね」簡単ですね。

T:じゃ、これを見てください。(会話を文字で示す)「娘がテストで学年の1番だったんですよ」「へえ、それはすごいですね」この「それ」はなんですか。
S:娘がテストで学年の1番だった
T:そうです。「それ」は、いつも会話している人がもう話したことです。これから話すことには使えません。

翻訳・文法解説』には「その/そう」や、書く時の「その」も記載がありますが、今後別の課で扱うことになるので、いまここですべて詰め込む必要はありません。また出てきたときに「「そ」は直前の内容を示すんだったよね」と確認できればよいでしょう。

授業記録

みんなの日本語の1課から50課までは、14課の前と後、20課の前と後、とさまざまな区切り方ができると思いますが、私はこの29課が大きな区切り、というかここからグっと難しくなる気がしています。ずっと順調に、簡単簡単と言ってスムーズに進んでいたクラスが何度もこの自他動詞によりつまずき、口が回らず、混乱し、落ち込んでいってしまいます。

だいたいこの課あたりからハネムーン期が終わる学生がぽろぽろと出てきます。特に賢い子に多いのですが、アルバイトや勉強、恋愛、進学など、様々なことで悩み始めます。学生から相談はしにくいと思うので、こちらから歩み寄ることも大事になってくるでしょう。

 

【28課】教案:Vながら、~し、~し、~
『みんなの日本語 初級II 第二版』完全準拠。 導入や練習の仕方、教師として知っておきたい文型のポイントなどを解説します。 学習項目 練習A 1.V1ながらV2 2.Vいます(習慣) 3.~し、~し、(それに)~ 4.~し、~...
【30課】教案:Vてあります、Vておきます
『みんなの日本語 初級II 第二版』完全準拠。 導入や練習の仕方、教師として知っておきたい文型のポイントなどを解説します。 学習項目 練習A 1.<場所>にNがVあります 2.Nは<場所>にVあります 3.Vおきます(準備) ...

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