教師用メモ
意志・無意志
この課では意志と無意志が深く関わってくる。これの違いと教え方は教師でも難しいので、以下の「意志動詞・無意志動詞とは」でよく予習しておくことを強くおすすめする。

教案
Vタ・Nの+とおりに~ N3 【コピー】
- 教える際の留意点- 1.話者が言った事と全く同じことを指示する場合に
2.順番があるものには まず・次に・それから を使う
中級 |
導入・練習
◆導入
早口言葉で導入
T:皆さんは私のコピーができますか
S:できます
T:とっても難しいですよ
S:できます
T:じゃいきますよ。赤パジャマ黄パジャマ茶パジャマ赤パジャマ黄パジャマ茶パジャマ赤パジャマ黄パジャマ茶パジャマ、どうぞ(パジャマは未習語だが、画像を見せれば1秒で既習語にできる容易さが、早口言葉を言わせるならこのレベルでちょうどいい)
S:赤パジャ、黄ジャマ・・・先生、もう一度お願いします
【板書】
私が言った通りに、言ってください。
S:先生、言えません
【板書】
先生が言った通りに、言えません。
◆導入
(説明書通りに作らないでめちゃくちゃにできあがった机や棚の画像を見せる)
T:これを見てください
S:ええ、机ですか
T:私はとても下手です。どうすればいいですか
S:説明書を見てください
【板書】
説明書 通りに、作ってください。
T:説明書、通りに?
S:説明書の通りに
◆導入
T:じゃ今からディクテーションをやります。いいですか。私が言った通りに、書いてください。「とうきょうディズニーランド」(と速く言う)
S:先生、速いです。もっと遅く
T:とうううきょううう・・・
【板書】
私が言った通りに、書いてください。
S:先生、わかりません
T:じゃ答えを書きますから、私が書きます、かあああ?
S:書いた通りに
◆手品で導入
T:やったとおりに、してください
◆電話番号で導入
(電話番号のみが書かれた紙を渡す)
T:番号の通りに教えてください
◆【Vとおりに、~てください/ました/ています】導入は楽しいのをやり、その後『実際の生活』に即した文例を示す。後件がテクダサイのみだが、テイマスもあるので、それも練習に入れる
T:導入は遊びました。これからの練習は生活で使う言葉を覚えましょう
Vタ/Nの+あとで、~ N5
- 教える際の留意点- 1.時制に左右されず、常にVタあとで の形
2.【数字+あとで】は「1時間あとで、~」ではなく、「数字+ごに(1時間ごに、~)」を教える
3.L16同様、この文型を言わせるキーワードとなるのは「いつ」である
4.L18マエニの教材が使える |
導入・練習
T:Sさんはいつ晩ごはんを食べますか
S:アルバイトをしてから、食べます
T:「アルバイトをします」は動詞ですね。名詞はアルバイトです。アルバイトてから?
S:ダメです。アルバイトの後で
【板書】
アルバイトの後で、晩ごはんを食べます。
S:先生、「アルバイトしてから」はいいです
T:はい、いいです
S:じゃ「あとで」勉強しなくてもいいです
T:なるほど。じゃ、「勉強します」は?
S:勉強した後で
T:おお、すごいですね。じゃ、「
T:じゃ、「お風呂に入ります」は?
S:お風呂に入った後で
T:「お風呂の後で」、こちらの方が早いですね、便利です。旅行は?
S:旅行に行った後で
T:旅行の後で
◆た形練習
この「あとで」は「前に」同様、接続の間違いが非常に多い。何年経っても間違え続ける。まずはここでしっかりた形接続であることを強調し、FCでの練習も、た形のみを言わせないで、「た形+あとで」まで言わせて練習させる
T:皆さん、これは?(「働きます」を指して)
S:働いた
T:働いたあとで、まで言ってください。じゃこれは?(「休みます」を指して)
S:休んだあとで
T:じゃS1さん、これは?(「行きます」を指して)
S1:行ったあとで
T:じゃS2さん、これは?(「帰ります」を指して)
S1:帰ったあとで
・・・
◆いつ歯を磨きますか
毎朝歯を磨きますか いつ磨きますか
V 食べたあとで、磨きます⇔食べるまえに、
N 食事のあとで、磨きます
◆簡単な文接続
T:授業が終わった アルバイトの 晩ごはんの 学校を卒業した 宿題の ・・・あとで、
◆後件作成 ~たあとで、~ますか
◆T前件板書→S後件を「あとで」を使って
いつバスケットボールの練習をしますか
学校のあとですぐ食事をしますか
アルバイトのあとで何をしますか
いつ宿題をしていますか
いつ大学に入りますか
他例文
ごはんを食べたあとで、歯を磨きます。 →食事のあとで、
勉強したあとで、アルバイトに行きます。 →勉強のあとで、
本を読んだあとで、寝ます。
大学に入ったあとで、結婚します。
授業のあとで、買い物します。
アルバイトのあとで、すぐに家へ帰って、寝ます。
アルバイトのあとで、何をしますか。
※一年×あとで〇後に、国へ帰ります。
意志Vテ/意志Vナイ+で~ 【付帯状況】
- 教える際の留意点- 1.どんな状態で主体がYをするのかをXで説明している
2.主体にXの行為が及び続けている(めがねをかけて、寝た)場合に使う
3.授業では絶対にXが無意志である事は触れない(まだこの課では難しい)。
4.クテの前が無意志である事は触れない理由は下の図↓。とにかく複雑。 |
導入・練習
T:皆さんは寝る時、電気をつけますか、消しますか
S:消します
T:どうしてですか
S:寝られませんから
T:私はつけます
S:ええ、どうしてですか
T:暗い部屋が怖いですから、いつも電気をつけて/消さないで寝ます
【板書】
電気をつけて寝ます
電気を消さないで寝ます
◆28課で瞬間Vと接続するとおかしい文になると説明済み。ここでもう一度「立ちながら話す」「めがねをかけながら話す」Gをし、笑わせ、いかにおかしい文か見せる。他にも
かぶり/履き/着/座りながら話すG
などの「瞬間Vながら」をいくつも板書し、全て×にする。「じゃどうすればいい?」と問い、全てて形に直す。
ナガラの同時性を利用して、付帯状況の意味概念を教授できる
T:私は立っています。話しています。
【板書】
私は立って話しています。
T:私は座っています。話しています。
【板書】
座って話しています
◆PCを見せ、「て・ないで」2つ言わせる → 各Sにも同じQをする
Vナイ+ないで、~ 【二者択一】
- 教える際の留意点- Xをする前に普通はYするのにしない→Yが強調される 1.付帯状況のナイデと二者択一のナイデの違いを懇々と理解させる必要はない。質問があった時の準備はしておく
2.ない形とデは分けずに板書
比.ずにN3 本サイト、『日本語教師のN1et』では有料で一部の情報を提供しています。 |
導入・練習
家へ帰らないで友達の家に泊まりました
バスに乗らないで歩いて行きます
日曜日は勉強しないでアルバイトをした
月曜は学校へ来ないで寝ていた
T:朝ごはんを食べたあとで、学校へ来ますか
S:いいえ
T:朝ごはんを食べないで、学校へ来ます
マンガを読まないで、テストを作りました
T:予習しましたか
予習しないで、 ?
T:学校へ来ないで、何をしていましたか
遊ばないで、勉強してください
V1ないで、V2
V1をしません、しないで・・・V2をします
◆
T:ゆうべ寝ませんでした。昔の彼女に手紙を書きました。 ゆうべ・・・?
Sゆうべ寝ないで、昔の彼女に手紙を書きました。
T:学校までバスにのりません。電車に乗ります。 学校まで・・・?
S学校までバスにのらないで、電車に乗ります。
T:毎年誕生日はケーキを買いません。自分で作ります。 ケーキは・・・?
Sケーキは買わないで、自分で作ります
T:昨日はどこも行きませんでした。家でビデオを見ました。 昨日は・・・?
S昨日はどこも行かないで、家でビデオを見ました。
◆
T:明日はアルバイトですか
Sはい。先生は?
T:どこも行かないで、家でテストを作ろうと思っています
TS逆で
新出語
授業記録
トオリニの導入の際の注意点が2つある。
①時間がかかる。
②おもしろく紹介するのはいいが、日本語は学んでいるか。
色々な手品やゲームをして楽しくするのはいいが、無駄に長いラジオ体操などをやって時間をかけたあげく、学生がまったく発話していないのでは困る。時間がかからない、Sが発話する工夫がされたものの手数を増やして導入すること。
1年の後で
という誤用が多い。特に作文ではこの「数字+後で」の形がかなり使われるため、L34以降作文で「1年の後で」を見る機会が多くなってしまう。事前にここでよく言い聞かせ、誤用を防止しておくこと
考察
付帯状況A
付帯状況:どんな状態で主体がYをするのかをXで説明している。主体にXの行為が及び続けている
二者択一:Xをする前に普通はYするのにしない→Yが強調される
ごはんを食べないで、学校へ行きました(付帯10%、二者90%)
(↑食事をとるという動作をしないという状況がわかりにくい)
寝ないで、勉強する(付帯40%、二者60%)
(↑どちらともとれるが、後ろが強調される文なので二者が強いか)
傘を持って、出かけます(付帯90%、二者10%)
(↑「腕時計をつけて」同様、身に着ける、持つものは二者というよりも付帯が強いが、つけるつけないという選択肢で考えれば二者ともとれる)
砂糖を入れないで、コーヒーを飲みます(付帯50%、二者50%)
(↑教科書では付帯だが、二者であろう。砂糖はコーヒーに影響し続けるが、飲むのは主体であるワタシ)
電気を消さないで、寝ます(付帯50%、二者50%)
(↑これもコーヒーの例と似ているが付帯である。電気の明かりが影響を及ぼすのはワタシである)
日曜日はどこも行かないで、家で休みました(付帯0%、二者100%)
付帯状況B
①黄色い帽子をかぶって子どもが歩いている
②黄色い帽子をかぶった子どもが歩いている
①付帯状況のVテだからいいはずだが、違和感がある。言えなくはない。Vテの後には動詞が続かないとこの違和感が出てしまう。
①子どもが黄色い帽子をかぶって歩いている
違和感はなくなるが、不必要に黄色い帽子に焦点が当たっている
A国では子どもが青い帽子をかぶるのに対し、B国では黄色い帽子をかぶって歩くらしい
これで違和感もなく、焦点もうまく使うことができる
トオリニ考察
Q:あなたはどうやって料理を作りますか
A:本を読んだ/読むとおりに、作ります
A:テレビを見たとおりに、作ります
という誤用が目立った。正用は「①本のとおりに」と「②本で読んだとおりに」である。まず①でいいのだが、学生が「動詞を使って言いたい!」と言ってきた場合は②を教えなければならない(ちなみにこの②のデの用法は未習である)わけだが、できれば教えたくないので、①を通す。次になぜ「本を読んだ~」とは言えないのか。トオリニの意味は【Xの情報をもとに、Yする】である。つまり、「本を読んだ~」と言うと、【話者が本を読んでいる姿を見て料理を作る】ことになる。読んでいる姿の通りに料理は作れない。ここで①に戻るが、①は【本に記載されている情報を見て作る】となるので、正用となる。そして②である。以下に並べてみる。
本を読んだ~、料理を作る 【話者が本を読んでいる姿をもとに、料理を作る】
本で読んだ~、料理を作る 【話者が本を読んで、得た知識をもとに、料理を作る】
ちなみに、下の文もある。
母に聞いた~、料理を作る 【話者が母に聞いて、得た知識をもとに、料理を作る】
以上、ヲとニのトオリニ組み合わせの違いだが、何にしてもこの違いを説明することは不可能なので、単に「本の~」と教授すればいい
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