【9課】教案:好きです/上手です/わかります/あります

みんなの日本語 初級I 第二版』完全準拠。
導入や練習の仕方、教師として知っておきたい文型のポイントなどを解説します。

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当サイト管理人による、日本語教師養成個人レッスンの詳細はこちら

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学習項目

練習A
1.Nが好きです
2.Nが上手です
3.Nがわかります
4.Nがあります(所有)
5.~から、~

教案

新出語彙

この課では、趣味や特技を話すときに使える言葉がたくさん出てきます。学生の興味に合わせて、未習語でもどんどん導入してしまっても構わないでしょう(バスケや美術館巡り、食べ歩きなど)。また、程度の副詞も出てきます。文型の導入・練習の中で違いをしっかり教授しましょう。

★ポイント

  • あります:この課で勉強するのは所有。存在は10課、開催(お祭りがあります)は21課
  • 好き/嫌い:日本語では形容詞なので注意
  • よく:程度(よくわかります)を扱う。頻度(よく行きます)は22課
  • たくさん/少し:manyもmuchも「たくさん」、a fewもa littleも「すこし」を使う

練習A-1:Nが好きです

8課では「NはAdj.です」を勉強しました。9課では「<人>はNがAdj.です」を勉強します(いわゆるハガ構文)。形容詞の前の助詞は「は」ではなく「が」を使うことに注意させましょう。

導入:Nが好きです

T:(寿司の写真を見せて)これは何ですか。
S:寿司です。
T:私は昨日寿司を食べました。今日も食べます。明日も食べます。私は寿司が好きです。

わたし は すし が すき です。

T:私は先週の日曜日友達とテニスをしました。来週の日曜日もします。私はテニス・・・?
S:テニスが好きです。

◆いろいろな絵カードや写真を見せ「私は~が好きです」の形を次々言わせる
T:これは何ですか。
S:映画です。
T:私は・・・?
S:私は映画が好きです。
(全体リピート→個別に言わせる)

導入:Nが好きじゃありません/嫌いです

T:(寿司の写真を見せて)S1さんは寿司が好きですか。
S1:はい、好きです。
T:S2さんは?寿司が好きですか。
S2:いいえ・・・
T:好きじゃありません。
S2:いいえ、好きじゃありません。

すし が すき ですか。
…はい、すき です。
…いいえ、すき じゃありません。

T:(納豆を見せる)これは何ですか。
S:納豆です。
T:納豆が好きですか。
S1:はい、好きです。
S2:いいえ、好きじゃありません。
S3:いいえ、嫌いです。

「嫌いです」は強いため、「好きじゃありません」をメインに教授します。「嫌いです」を使う学生がいたら、強い印象を与えるため使い方に注意が必要であることを伝えましょう。『翻訳・文法解説』英語版では「嫌い」は”dislike”になっていますが、どちらかと言えば”hate”に近いです。人物に対して使う時には特に注意が必要です。

T:(サッカーの写真を見せて)S1さんはサッカーが好きですか。
S1:はい、好きです。
T:S1さん、S2さんに。(質問するよう促す)
S1:S2さんはサッカーが好きですか。
S2:いいえ、好きじゃありません。
T:(ビールの写真を見せる)S2さん、S3さんに。
S2:S3さん、ビールが好きですか。
(写真を変えながら繰り返す)

復習:とても/あまり

程度の副詞「とても」と「あまり」は8課で既出です。「あまり」は常に否定形を伴うこともふくめ、復習しましょう。

T:私は昨日寿司を食べました。今日も食べます。明日も食べます。私は寿司が好きです。
 寿司が・とても・好きです。(強調)

すし が とても すき です。

T:みなさんはスポーツをしますか。
S:はい、します
T:そうですか。私もします、が・・・(走って疲れる、野球をして疲れる、ジェスチャー)
 うーん、スポーツはあまり好きじゃありません。

スポーツ が あまり すき じゃありません。

強い否定「全然好きじゃありません」を紹介してもいいです。

練習B-1

◆実施例1:キュー出しと【○】【×】【とても】【あまり】の文字カードで練習を行う
T:ダンス、ダンスが・・・?(質問するよう促す)
S:ダンスが好きですか。(リピート練習)
T:(【×】を出す)
S:いいえ、好きじゃありません。(リピート練習)
T:日本料理
S:日本料理が好きですか。(リピート練習)
T:(【○】を出す)
S:はい、好きです。(リピート練習)
 (続けて2~4も行う)

◆実施例2:2人の会話として、パワーポイントを使って行う
T:(Aさんの絵の上にダンスの絵を出し)ダンス・・・(質問するよう促す)
S:ダンスが好きですか。(リピート練習)
T:(Bさんの絵の上に【×】を出す)
S:いいえ、好きじゃありません。(リピート練習)
 (続けて1~4も行う)

導入:どんなNが好きですか

例えば「どんな車が好きですか」と聞かれたら、「大きい車が好きです」と形容詞で車の特徴を答える場合と、「スポーツカーが好きです」と名詞で車の種類を答える場合があります。この課では、後者の名詞で答える言い方を勉強します。

T:S1さんは、スポーツが好きですか。
S1:はい、好きです。
T:(いろいろなスポーツの絵を見せる)野球?サッカー?相撲?どんなスポーツが好きですか。
S1:野球が好きです。
T:S2さんは?どんなスポーツが好きですか。
S2:バドミントンが好きです。

どんな スポーツ が すきですか。
…やきゅう が すきです。

T:S2さん、S3さんに。(質問するよう促す)
S2:S3さんはどんなスポーツが好きですか。
S3:テニスが好きです。
(何回か繰り返す)

練習B-2

◆拡大した絵を用いて行う。AさんとBさんの会話として練習してもよい
T:(例の絵を見せる)どんなスポーツが好きですか。(リピート練習)
S:野球が好きです(リピート練習)
T:(1の絵を見せる)どんな・・・?(質問するよう促す)
S:どんな飲み物が好きですか。(リピート練習)
T:どんな飲み物ですか?
S:ビールが好きです。(リピート練習)
 (続けて2~4も行う)
 ※3は「アメリカの映画」となる

活動:どんなNが好き?

◆どんなNが好きかを聞きあうペアワーク
活動の流れ:d
1.スポーツ、映画、などのジャンルと、野球、サッカーなどの種類を書いた紙を配布する。『翻訳・文法解説』の61ページを活用してもよい
2.ペアになって、お互いに好きなものを聞きあう
3.余裕があれば、最後に全体に向けて「〇〇さんは~が好きです」で発表してもらう

使用教材:

練習C-1

◆例を確認してからペアで練習する。自分たちでオリジナルの会話を作って発表させてもよい

練習A-2:Nが上手です

「上手」は相手を主観的に評価することばであり、教える際には注意が必要です。

1.自分から「私はNが上手です」とはあまり言わない
 (日本文化は自分で自分を良く評価することを好まないため)
2.他人に「Nが上手ですか」と聞くと失礼になる
 (相手に「自分自身を評価しろ」と強いる、あるいは「お前は自分自身をどう評価しているのか」と問うことになるため)

以上のことから、教える際には第三者を用いて、練習は平叙文のみ行います。そして、上記2点を、媒介語が使えれば説明し、できなければ「この2文は×」と教えます。

導入

T:(1枚のミッキーマウスの絵(上手)を見せる)これは何ですか。
S:ミッキーマウスです。
T:そうです。田中さんはこの絵を描きました。
 (もう1枚のミッキーマウスの絵(下手)を見せる)これは何ですか。
S:えー・・・
T:これもミッキーマウスです。林さんはこの絵を描きました。
S:ええ!?
T:田中さんはこの絵を描きました。田中さんは絵が上手です。
 林さんはこの絵を描きました。林さんは絵が上手じゃありません。

たなかさん は え が じょうず です。
はやしさん は え が じょうず じゃありません。

「嫌いです」と同じく「下手です」も少々強い表現なので、他人にはあまり使わないようにします。ただ、自分には使っても構わないので質問があればそのように伝えましょう。

練習B-3

◆拡大した絵を用いて行う。顔の意味も説明しておく
T:(例1の絵を見せて)佐藤さんは・・・(文を作るよう促す)
S:佐藤さんは歌が上手です。(リピート練習)
T:(例2の絵を見せる)
S:ミラーさんは歌が上手じゃありません。(リピート練習)
 (続けて1~4も行う)

練習A-3:Nがわかります

導入:Nがわかります

T:(【ありがとう】を見せる)これはなんですか。
S:ありがとう。
T:そうですね。これは日本語です。みなさんは日本語がわかります。
 (【Good morning】を見せる)これは?
S:Good morning、英語です。
T:みなさんは英語がわかります。
 (【Guten Abend】を見せる)これは?
S1:わかりません。
S2:ドイツ語です。
T:S2さん、ドイツ語がわかりますか。
S2:はい、わかります。
T:S1さんはドイツ語がわかりません。S2さんはドイツ語がわかります。

わたし は にほんご が わかります。
わたし は ドイツご が わかりません。

導入:よく/だいたい/すこし/あまり/ぜんぜん

◆上の続きで導入する
T:(【Au voir】を見せる)これは?
S3:フランス語です。
T:S3さんはフランス語が分かりますか。
S3:はい、わかります。
T:そうですか。よくわかりますか。だいたいわかりますか。少しわかりますか。(ジェスチャーで示す)
S4:あー、だいたいわかります。
T:そうですか。
 (【Здравствуйте】を見せる)これは?わかりますか。
S:いいえ、わかりません。
T:そうですね。私もわかりません。これは3ですか。字ですか。わかりません。
 これはロシア語です。私はロシア語が全然わかりません。

100%  よく   わかります。
  80%  だいたい わかります。
  30%  すこし  わかります。
  20%  あまり  わかりません。
 0%  ぜんぜん わかりません。

 

図なども併用して示すとわかりやすいです。なお、「あまり」「ぜんぜん」は常に否定形を伴うことを強調しましょう。

練習B-4

◆例を確認してから、ペアで練習させる

ペアワークのやり方は様々です。まだ文がうまく作れそうにないと感じたら、全体で正しい文を確認してからペアでもう一度練習させてもいいでしょう。また、終わってからTのキューに続いて全体でリピート練習すると、最後に正しい文を自分の口で練習して終わることができます。

活動:「好きです」「わかります」人探し

◆クラスメートの中から「Nが好き」「Nがわかる」人を探すゲーム
活動の流れ:
1.一人ずつに「チョコレートが好きです」「フランス語がわかります」など、質問を5つずつくらい書いた紙を配布
2.クラスを歩き回って、クラスメートに「チョコレートが好きですか」と聞き、聞かれた側は「jはい、好きです」「いいえ、好きじゃありません」で答える
3.好きな人、わかる人がいたら名前をメモする
4.すべての質問に該当者が見つかれば終了

練習A-4:Nがあります

ここでは、所有の「あります」を勉強します。「お金/車があります」のように具体的なものと、「時間/用事があります」のように抽象的なもの、両方扱います。

導入:N(具体物)があります/練習B-5

◆練習B-5を使って、AさんとBさんの会話で導入。パワーポイントを使うとわかりやすい
T:(Bさんが大きい鞄を持っている。その中身(消しゴム、辞書、細かいお金など)をいくつか吹き出しで出す)
 消しゴムがありますか。
 (Bさんの持ち物の消しゴムを指す)はい、あります。

けしゴム が ありますか。
…はい、あります。

いきなり質問文で導入するのが難しいと思ったら、Bさんの持ち物を指して「消しゴムがあります」「辞書があります」「名刺がありません」から導入するとよいでしょう。

T:辞書・・・?(質問を作るよう促す)
S:辞書がありますか。(リピート練習)
T:ありますか?
S:はい、あります。(リピート練習)
T:名刺・・・?(質問するよう促す)
S:名刺がありますか。(リピート練習)
T:ありますか?
S:いいえ、ありません。(リピート練習)

けしゴム が ありますか。
…はい、あります。
…いいえ、ありません。

(同様に3,4も行う)

◆手に持てないものでも言えることを確認
T:S1さんはなんで学校へ来ましたか。
S1:電車で来ました。
T:そうですか。私は車で来ました。
 (ガレージの車の写真を見せる)私は車があります。

わたし は くるま が あります。

T:S2さんは、車がありますか。
S2:いいえ、ありません。自転車があります。

導入:N(抽象物)があります

◆手帳を見せて導入する。拡大したものをスクリーンで見せながらするとよい。同時に、「約束・用事・時間」を確認する
T:これは私の手帳です。火曜日、約束があります。どんな約束ですか。友達とごはんを食べます。
 水曜日、用事があります。どんな用事ですか。市役所へ行きます。
 日曜日、休みです。暇です。約束がありません。用事もありません。時間があります。

かようび やくそく が あります。
すいようび ようじ が あります。
にちようび じかん が あります。

T:(【木曜日、9:00 病院】を見せて)木曜日・・・?(文を作るよう促す)
S:木曜日、用事があります。
T:(【金曜日、10:00 田中さん 駅】を見せて)金曜日・・・?
S:金曜日、約束があります。
T:(【土曜日、仕事】を見せて)土曜日・・・?
S:土曜日、仕事があります。

練習B-6

◆絵(図)を拡大して見せながら行う
T:私は月曜日・・・?(文を作るよう促す)
S:私は月曜日約束があります。(リピート練習)
 (続けて1~4も行う)

導入:たくさん/すこし/あまり/ぜんぜん

◆お金の絵を見せて導入する
T:(財布の中身(3万円くらい)を見せて)お金があります。
 (大量の札束)お金がたくさんあります。
 (財布の中身(3千円くらい)お金が少しあります。
 (1000円くらい)お金があまりありません。
 (0円)お金が全然ありません。

札束    たくさん あります。
3千円  すこし  あります。
1000円  あまり  ありません。
0円   ぜんぜん ありません。

 

「あまり」「ぜんぜん」は常に否定形を伴うことを強調しましょう。

練習:副詞の整理

ここまでたくさんの程度の副詞が出てきましたので、ここで一度整理しておきましょう。

1.好きです・上手です
  とても あまり (ぜんぜん)

2.わかります  
  よく だいたい すこし あまり ぜんぜん

3.あります
  たくさん すこし あまり ぜんぜん

後述する「教師用メモ」に練習問題があるので参考にしてください。また、『みんなの日本語』本冊80ページの3番や、『文型練習帳』の39ページなどを使って確認してもよいでしょう。

「田中さんは( 1.とても 2.よく 3.たくさん )本を読みます」という多肢選択は出さないよう注意しましょう。「よく」が「読みます」にかかれば○、「たくさん」が「本」にかかればこれも○で、正答が一つになりません。頻度の「よく」は未習ですが、混乱のもとですので避けましょう。

練習A-5:~から、~

導入:~から、~

T:私は寿司が好きです。昨日食べました。今日食べます。明日も食べます。毎日食べます。
 寿司が好きですから、毎日食べます。

すしがすきです から、 まいにちたべます。

日本語は「理由➡行動」の順で話しますが、英語でbecauseを使う場合、順序が逆になります(I eat sushi every day because I like it.)。英語話者はよく混乱するので注意が必要です。英語を提示するなら、soを使ってI like sushi so I eat it every day.としましょう。混乱している場合、どちらが「理由」なのかを考えさせるのも一つの手です。

T:私のパソコンは古いです。そして重いです。新しいパソコンはいいですね。
 (新しいパソコンと値段を見せる)うーん、高いです。私はお金がありません。買いません。
 お金がありませんから、新しいパソコンを買いません。

おかねがありません から、 あたらしいパソコンをかいません。

練習B-7

◆拡大した絵を用いて行う
T:(例の左の絵を指し)これは?
S:時間がありません。
T:(例の右を指し)これは?
S:タクシーで行きます。
T:時間がありませんから、タクシーで行きます。(リピート練習)
T:(1の左の絵を指し)これは?
S:映画が好きです。
T:(右の絵を指し)これは?
S:毎晩見ます。
T:映画が・・・(文を作るよう促す)
S:映画が好きですから、毎晩見ます。(リピート練習)
 (続けて2~4も行う)

絵がわかりにくいことがあるので、一文を作る前にそれぞれの絵を確認したほうがいいです。

活動:文作練習

◆文を与えて、前件や後件を作らせる
活動の流れ:
1.スクリーンに、お酒を飲まない人の絵と「       から、お酒を飲みません。」、お金がない人の絵と「お金がありませんから、        。」を提示
2.ペアで前件や後件を考える
3.1ペアごとに発表
4.ほかの様々な文でやる

導入:どうして/~から。

T:S1さんはアニメが好きですか。
S1:はい、好きです。
T:どんなアニメが好きですか。
S1:ジブリのアニメが好きです。
T:そうですか。おもしろいですから?絵がきれいですから?どうしてジブリのアニメが好きですか。
S1:おもしろいですから。

どうして ジブリのアニメがすきですか。
…おもしろいです から。

T:S2さんは、寿司が好きですか。
S2:はい、好きです。
T:毎日食べますか。
S2:いいえ、食べません。
T:どうして毎日食べませんか。
S2:高いですから。

「どうして~」の質問だと、つい「~んですか」と聞きたくなりますが、それは26課で勉強します。少々不自然ですが、上記の形を教授しましょう。

練習B-8

◆パワーポイントでAさんとBさんの会話として練習するとわかりやすい
T:(Bさんが)京都へ行きません。
 (Aさんの上に【?】を出す)どうして・・・?(質問を作るよう促す)
S:どうして京都へ行きませんか。(リピート練習)
T:(Bさんの上に【約束】を出す)
S:約束がありますから。(リピート練習)
 (続けて1~4も行う)

発展:~が、~

「日本語は面白いですが、難しいです」のような、「が」を使った形容詞文は8課で勉強しました。ここでは、余裕があれば「私はお金がありませんが、お酒を買います」のような動詞文を紹介します。

◆2人の女の人が、チケットを買う/買わない、という絵を使って導入
T:Aさんは、お金がありません。お金がありませんから、コンサートのきっぷを買いません。
 Bさんも、お金がありません。お金がありませんが、コンサートのきっぷを買います。

おかねがありません から、 コンサートのきっぷをかいません。
おかねがありません が、  コンサートのきっぷをかいます。

「が」のとき、驚いた表情を見せ、それが通常予測できないことが後に来る「逆接」であることをわからせます。

◆文作練習
「お金がありませんから」「お金がありませんが」など前件や後件を与えて、文を作る練習をしましょう。『文型練習帳』の40ページを使ってもよいでしょう。

教師用メモ

「わかります」と「わかりました」

Tが言った事に対して、以下のように「はい、わかります」と現在形で言う学生が非常に多いですが、これは不自然です。

T:~です。皆さん注意してください。
S:はい、×わかります ○わかりました 。

わかります:知識がある(9課で学習)、理解できる(「あなたの言っていることはわかる」)
わかりました:理解した、承知した

ですので、誰かが言ったことを理解した場合は「わかりました」と言わなければなりません。アルバイト先などでもこれを使い続けると「日本語が下手」とレッテルを貼られかねませんので、折を見て注意しましょう。

「ちょっと」と「少し」

どちらも否定文とは相性が悪いですが、否定疑問文なら可です。
例:
[×ちょっと ×少し]暑くない/高くない/休まない
[〇ちょっと 〇少し]暑くない/高くない/休まない?

前置きの言葉として使う場合は、「少し」は使われず、「ちょっと」が使われます
例:
田中さんかあ。う~ん、この辺じゃ[〇ちょっと ×少し]聞かない名前だな。
ねえ、[〇ちょっと ×少し]!こっち来て手伝って!
(プレゼント渡した後に)[〇ちょっと ×少し]開けて見てみてよ。

3つとも中心には「少し」という意味が見て取れますが、それを強く感じる文ではない事もわかります。これは「すみませんが、~」と言う時の「が」と似ています。前置きの「が」は、元々持つ逆接の用法を取り払ったもので、呼びかけの表現としてあるだけのものです。前置きや呼びかけの「ちょっと」も、同じように元々あった「少し」の用法が取り払われています。

なお、程度の用法でなら両方OKです。
例:
[〇ちょっと 〇少し]食べる
[〇ちょっと 〇少し]足りない

授業に役立つ資料

副詞の「とても・よく・たくさん」の違いについてのプリント例です。

1)    田中(たなか)さんは英語(えいご)が( 1とても 2よく 3たくさん )わかります。
2)    彼(かれ)は( 1とても 2よく 3たくさん )日本語を勉強します。
3)    私(わたし)は( 1とても 2よく 3たくさん )あのレストランへ行きます。
4)    彼は( 1とても 2よく 3たくさん )ハンサムです。
5)    私はあの人が( 1とても 2よく 3たくさん )好(す)きです。
6)    この料理(りょうり)、( 1とても 2よく 3たくさん )おいしいですね。
7)    彼は( 1とても 2あまり 3たくさん )ハンサムじゃありません。
8)    きのう( 1とても 2よく 3あまり )寝ました。
9)    毎日(まいにち)牛乳(ぎゅうにゅう)を( 1とても 2たくさん 3あまり )飲(の)みます。
10)    カタカナが( 1だいたい 2全然(ぜんぜん) 3たくさん )わかります。
11)    私は彼女(かのじょ)が( 1とても 2だいたい 3たくさん )好きです。
12)    きのう( 1とても 2少し 3全然 )勉強しませんでした。

※副詞「よく」は意味が複数あるので注意・・・副詞「よく」の意味についてまとめ

【8課】教案:イ形容詞/ナ形容詞(現在形)
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