【JLPT N3】「に従って」

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「に従って」【N3】

用法①:変化

≪接続≫
 V辞書形/N+に従って
┃以下接続例
    V:なる+に従って
    A:なし
  Na:なし
    N:変化+に従って

≪意味・使い方
 Xに従ってY。

  1. Xになると、だんだんYになる <As something becomes X, another gradually becomes Y>
  2. XにもYにも、変化を表す言葉が来る
  3. 名詞に来るのは「する」がつけられるものだけ
  4. 「Xに従い、Y」という言い方もある

例文

女性の社会進出が進むに従って、結婚する女性が減っていった。 (As women’s social advancement progresses, the number of women getting married has decreased.)

一人が席を立つのに従って、周りの人も立ちあがった。 (As one person stood up, the people around also stood up.)

環境の悪化に従い、生物の食物連鎖に変化が起きている。 (With the deterioration of the environment, changes are occurring in the food chain of living organisms.)

捜査が進むに従って、次第に事件の全容が見えてきた。 (As the investigation progresses, the full picture of the incident gradually became clear.)

台風が近づくに従って、風が強くなってきた。 (As the typhoon approaches, the wind is getting stronger.)

類似文型とその違い

とともに【N2】
に伴って【N2】
につれて【N3】

「Xに従ってY」を含め、これらはすべて「何かが変化すると、それと一緒にほかのものも変化する」と言いたいときに使う文型です。XにもYにも変化を表す言葉が入ります。
例:台風が近づく(○とともに ○につれて ○に伴って ○に従って)風が強くなった。
これらはほぼ同じように使えますが、使い方に少し違いがあります。

まず、「XにつれてY」は、Yに意志や勧誘を表す文は使えません。また、Xに「増減」のような変化が二方向におよぶものは使えません
例:子供の成長(○とともに ×につれて ○に伴って ○に従って)習い事の数を増やしていくつもりだ。
例:売り上げの増減(○とともに ×につれて ○に伴って ○に従って)ボーナス額が変化する。

次に、「Xに伴ってY」は、「Xに伴うY」という形で、Yに名詞を置いて使うことができます
例:景気の変化(×とともに ×につれる ○に伴う ×に従う)支出の増減を調査する。

しかし、いずれにしろこれらの用法は非常に似ているため、JLPTではこれらの違いを問うような問題はありません。

用法②:その通りに

≪接続≫
 N+に従って
┃以下接続例
    V:なし
    A:なし
  Na:なし
    N:ルール+に従って

≪意味・使い方
 Xに従って

  1. Xに合うように <in accordance with X>
  2. 「Xに従い」という言い方もある

例文

会社の規程に従って、従業員は毎年定期的な研修を受けなければならない。 (Employees must undergo regular training every year in accordance with the company’s regulations.)

学校の規則に従って、制服の着用が義務付けられている。 (Wearing a uniform is mandatory in accordance with the school rules.)

政府の方針に従って、再生可能エネルギーの導入が進められている。 (The introduction of renewable energy is being promoted in accordance with the government’s policy.)

契約書は、法的な規定に従い作成された。 (The contract is created in accordance with legal provisions.)

出口は、案内看板に従って進むと見えてきますよ。 (You will see the exit if you proceed according to the directional signs.)

類似文型とその違い

に則って【N1】
に即して【N1】
に沿って【N2】
(の)通りに【N3】

「~に従って」もふくめ、これらはいずれも「~に合うように」といった意味を表す文型ですが、接続や使える文脈に違いがあります。

まず、接続に関しては、「に則って」「に即して」「に沿って」が名詞のみに、「に従って」は動詞辞書形と名詞に、「通りに」は動詞辞書形とタ形、および名詞に接続します。

次に、5つすべてが共通して使える文脈は、「指針になるもののとおりに~する」というものです。
例:規則(〇に則って 〇に即して 〇に沿って 〇に従って 〇の通りに)処罰する。

ただし、「に則って」「に即して」はかたい言い方で、会話ではあまり使われません。反対に、「に沿って」「に従って」「(の)通りに」はやわらかい言い方なので、かたい文脈ではあまり使われません。したがって、すべて同様に使われる、というわけではなく、その文脈に適した言葉を選ぶ必要があります。
例:被害者団体は、法令(〇に則った 〇に即した △に沿った △に従った △の通りの)対処を要求している。
例:出口は、案内の看板(△に則って △に即して 〇に沿って 〇に従って 〇の通りに)進むと見えてきますよ。

一方の変化や出来事に合わせて何かをする、と言いたい場合には、「に即して」のみ使えます。
例:市場の変化(✕に則って ○に即して ✕に沿って ✕に従って ✕の通りに)新製品を開発する。

また、前件と後件が同時に変化する、と言いたい場合には、「に従って」のみ使えます。
例:台風の接近(✕に則って ✕に即して ✕に沿って 〇に従って ✕の通りに)風が強くなる。

そして、場所を基準にして何かをする、と言いたい場合には、「に沿って」のみ使えます。
例:川(✕に則って ✕に即して 〇に沿って ✕に従って ✕の通りに)道が続いている。

以上のように、これら5つの文型は同じような意味を持っていますが、接続、使える文脈や細かい意味に違いがあります。

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