学生の叱り方

話すな ケータイ使うな 寝るな

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叱り方

何の話?

学生は教師ほど他の学生の私語を気にしていません。私語にヒス起こすぐらいなら、そのまま授業を続けましょう。あまりしつこく注意し過ぎると、授業のテンポも悪くなるし、優秀な学生も調子が狂って結果皆うるさくなります

言葉では説明しづらい事ですが、なんとなく喋ってる雰囲気には悪いのといいのがあります。

いいのはただ単語の意味を友達に聞いているだけだったりするから、注意すると学生の不満が募ります。悪いのは授業に関係ない話。アルバイトや授業後のことなどです。

どちらにしてもそのうち話は終わります。注意してテンポ崩すぐらいならほっとくといいです。

私がよくやるのは、「何の話?」と話している学生達に突撃することです。
もちろん、学生は怒られたと思って黙りますが、私は怒っている訳ではまったくありません。ですから、こう続けます。
「ううん、大丈夫大丈夫。何の話。教えて教えて」
満面の笑みで語りかけると、彼らも内容を教えてくれます。

S:引っ越しで、インターネットの人、来ません。相談しています
T:そっかあ。工事って2週間ぐらいかかるよね
S:そう、そうです。遅いです!
T:インターネットの工事が遅れました ばかりに、?

と無理矢理授業に繋げます(ここでは文型「ばかりに」)。学生の私語が導入や練習に役立ち、私語をしていた学生も話していたことを忘れ、授業に帰ってきます

2つの行為

私は学生に注意する行為を2つに分けています。

A『他の学生の迷惑になること
B『他の学生の迷惑にならないこと

例えば、私語はバカ騒ぎするほどでなければ上記(学生に突撃する)のように対応しますし、そもそもバカ騒ぎができない雰囲気作りをしているので、学生もしません。

そして、Bの例がケータイに関してです。ケータイを使うことは他の学生に迷惑がかかりません。居眠りや飲食もこれに入ります。
Aはかなり厳しく指導しますが、Bはそれほどしつこく言いません。損をするのは本人だけです。

では、『他の学生の迷惑にならない』なら、注意しなくてもいいのでしょうか。

答えは、「注意すべき」です。私達の業務は来日留学生をJLPTに合格させること、EJUで高得点を取らせる、大学や専門学校に進学させる、あるいは日本語能力を向上させることです
国の親も借金して学校に我が子を託しているのです。そんな業務と期待を無視し、「もうオトナなんだから自己責任でしょ。知らね」というのは通りません。これについては後述します。

理由を聞く

ダウンしている学生は、話を聞いてもらうだけで喜びます

「アルバイト?疲れました?何時から何時ですか。何時に寝ましたか。そっかそっか~、ごはんは食べませんでした!?ええ!すごい!お腹すきますね~、疲れますね~。私も眠いです。たくさん働きます。昨日は~・・・4時に寝ました。(学生驚いた表情)。私眠いです・・・お腹空きました。ああ、疲れた~。でもあなた頑張ります、勉強します。私も頑張ります、教えます。一緒に頑張ります」

やった事がない方は一度やってみてください。本当にスッキリした顔をします。「この先生はあの先生と違ってちゃんと話を聞いてくれた。本当に心配してくれてる」と思うのかもしれません。誰だって「起きろ!寝るな!勉強しろ!」とうるさいだけの先生の言う事なんか聞きたいとは思いません。

また、この理由を聞くというのは叱る際の基本であることも覚えておいてほしいです。遅刻したらその理由を聞く、ケータイを触っていても、寝ていても、授業中に飲食していても、理由を聞かずにただ

T:遅刻するなっつっただろうが!ケータイ触るんじゃねー!起きろ!食うな!

と言うだけではいけません。学生からするとただのうるさい先生です。根本的な解決にも繋がりませんので、このような叱り方をしている人は気をつけましょう。

もう大人なんだし、叱らなくてもいいんじゃない?

日本に勉学ないし、出稼ぎで来る留学生の平均年齢は20代前後です。つまり、日本でいえば成人、オトナです。さらに言うなら、外国のほとんどは18歳で成人で飲酒も喫煙も可能です。

そんな大人を叱るのは是か非か。

「大人だから放っておいてもいい。そんなに大きくなっても勉強しないなら自己責任だ」という意見があります。私も賛成です。賛成です、それは教師の言い訳にも聞こえるのです。様々な言い分があるかと思うのですが、やはりどれも言い訳です。

なぜ私がこんなに言い訳言い訳うるさいのか。それは、注意することで改善した学生を見てきたからです。改善の可能性がある人を最初から見捨てて授業を進めてもいいものでしょうか。

何度か注意してみて、ダメそうなら(救いようのないのもいます)あきらめてもいいと思います。それこそ時間の無駄、お金を払って勉強している他のお客様に迷惑がかかるだけです。しかし、初めから、何もせずに放置というのは同意しかねます

ほどほどに

以上、叱り方を書きましたが、学生も人間なのだから、私語も居眠りもそれほど厳しく叱らなくてもいいんじゃないかと思います

ケータイは、依存症の人も多いです。使っていたらケータイで何をしているのか聞いてみましょう。日本でのライフラインであるアルバイト先からの重要な知らせや、国の家族に不幸があったなど、目をつぶってもいい事情もあります。ゲームやSNSなどでどうしても使ってしまうという人には私からこう提案します。
「やめられないなら、預かろうか」
お願いします、と返ってくることもあります。依存症とは、やめられない病気なのです。

出稼ぎ学生、週100時間越え、1カ月に30万稼ぐような学生が授業中に起きて勉強など無理に決まっています。夜10時~翌6時までという学生も多いです。理由のない居眠りもありますが・・・(体質的に睡魔に襲われやすい人がいます)。

私語もそうです。ちょっと話すぐらいほっとけばいいんです。

まとめ

教室で起こることには全て理由があります。寝てしまう理由などを紹介しましたが、他にも学生が授業に参加しない、ケンカが始まるなど、全て理由を聞きましょう。そして、「まあいいかこれぐらい」と許容する余裕も大切です

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コメント

  1. 初めまして。私は学習塾の指導員です。
    毎回、小学生の生徒たちが授業中に立ち歩いたり、正しく椅子に座らなかったり、歌ったりしています。彼らは大声を発することもあります。その時間には他の生徒もいるしうるさいので、私は怒鳴りませんが何度も注意をしています。しかし生徒はそれらの行為をやめないので、私は困っています。そうしてしまう理由を生徒にたずねることはしていなかったので、この記事を拝見して少し驚きました。
    そもそも管理人様は「バカ騒ぎができない雰囲気づくり」を教室でどのようにつくりあげていらっしゃるのか、お聞きしてみたいです。
    先刻初めてこちらのサイトを拝見したばかりなので、これから色々な記事を拝見し勉強させていただきます。授業に役立つ情報を公開してくださり、ありがとうございます。

    • コメントありがとうございます。学習塾での指導、大変お疲れさまです。小学生の生徒さんたちが授業中に立ち歩いたり、大きな声を出したりするのは、エネルギーが有り余っていることや、環境への適応がまだ発展途上であることが影響している場合が多いですね。

      私が実践している「バカ騒ぎができない雰囲気づくり」ですが、いくつかのポイントがあります。

      ルールと約束の明確化
      授業の最初に「教室での約束」を全員と確認する時間を設けます。たとえば、「立ち歩かない」「発言は挙手をする」など、具体的で簡単なルールを共有します。また、生徒全員で確認することで、責任感を持たせるよう努めています。

      ポジティブな声かけ
      注意する際は、怒鳴らず、落ち着いたトーンで「どうして立ち歩いているの?」と理由を聞くようにしています。そして、「座って授業を聞いてくれてありがとう」など、正しい行動をしたときに褒めることで、良い行動を促します。

      環境づくり
      教室の座席配置や教材の使い方を工夫して、生徒が集中しやすい環境を作るよう心がけています。たとえば、目立つ場所に生徒の作品やメッセージボードを飾り、教室を「楽しく学べる場所」と感じてもらう努力をしています。

      また、子どもたちがなぜそのような行動をするのか背景を理解しようとする姿勢はとても大切だと思います。質問者様のコメントから、生徒さんたちを大切に思い、改善を目指しているお気持ちが伝わり、素晴らしいと思いました。
      さらに、これは単なる邪推になってしまうと思うのですが、「塾」としての活用ではなく、「学童(子どもの預り所)」として活用されている親御さんもいらっしゃるのかなと思いました。

      今後も記事を通して、少しでもお役に立てる情報を提供できるよう努めます。どうぞよろしくお願いいたします。