「基準」と「水準」の違い まとめ
「~を設ける」という言葉がキーワードとなります。
「基準を設ける」とは言いますが、「水準を設ける」とは言いません。このことから、
「基準」は作るもの
「水準」はできるもの
という大きな違いがわかります。以下でより詳しく述べていきます。
英語ではどう言うのか
「基準」はstandard、「水準」はlevelです。
これだけでなんとなくつかめそうですが、日本語学習者には英語がわからない人もいるので不十分です。
主観的か客観的か
まず最初に例文をいくつか書き出してみて、思いついたのが主観か客観かです。
基準:主観的
水準:客観的
この視点で考察してみます。
- 金持ちと呼べる基準は月収1000万円だ。
金持ちかどうかの基準は主観的であり、貯金100万円で金持ちだと思う人もいるでしょう。しかし、次の文を見てみると
- 彼の日本語は会社で働ける水準に達している。
日本語が会社で通用するかどうかの判断も主観です。会社といっても様々ありますし、レジ打ちなら初級レベルができれば十分満足なほどです。
以上のことから、「基準」と「水準」の違いを説明するのに主観と客観は用いることができません。
語の示す範囲の広さ
次に考えた視点が下のものです。
基準:個人的な事柄に多用
水準:広い事柄に多用
この視点から考えてみます。
- 国民全体の生活水準
- 教育水準
- 夏のボーナス、過去最高水準を達成
- 日本の厳しい水準をクリアして輸入された製品
- 世界最高水準の安全性を備えた原発
- この水準が維持できているのなら、定期的に足を運ぶ店舗として十分活用に値する
しかし、これだと以下の文で通用しなくなります。
- この店のドリンク・フードはどれも高い水準だ。
ドリンクもフードも個人の感想です。つまり、「基準」と「水準」の違いを説明するのに
基準:個人的な事柄に多用
水準:広い事柄に多用
は関係ないということになります。
ルールや規則での使用
次の文はどれもある機関や組織によって厳しく定められたものです。
- 労働基準法を守っていない会社が多い。
- そのブロック塀は建築基準法違反だったそうだ。
- 妊婦健診補助券は市によって審査基準が違う。
- 国は基準を設けた。
- 体に害が出ると言われている基準値を超えた。
- 処分の基準を明確にする。
- ある一定の判断基準を示さなくては混乱する。
- 先生によって採点基準が異なってはいけない。
これらは守ること/達成することが期待され、望まれています。水準は使えません。
- 国民全体の生活水準
- 教育水準
上の二文は定めたものではなく、生活と教育がどのレベルにあるのかを表しているだけです。
「規準」と「基準」の違い
「規準」は「のりじゅん」と呼ばれることもある言葉です。
例えば教育機関において、どういうことができるようになったのかという評価の視点を表す言葉です。
「基準」は「もとじゅん」と呼ばれることもある言葉です。
同じく、教育機関において、どれぐらいのレベルであれば100点か、または50点、0点なのかを決める言葉です。
標準の意味
「普通の」「一般的な」「平均的な」という意味です。
- 標準語
- 全国標準記録
- ギリギリ標準突破できてよかった!
- これはこの地方の標準的な食事だ。
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