初級を2学期で詰め込む学校は少なくありません。進学校である”日本の”日本語学校の悪いクセです。
日本語学校の進度
日本語学校の進度はどのようになっているのでしょうか。大雑把に2つに分けて説明します。
①無理矢理半年で教える
初級を無理矢理半年で教え、基礎がボロボロの学習者達(まれに2学期で初級全てが見に付く学習者もいるが、まれ)を中級に押し込む。卒業までに、とりあえずN1に触れる事だけはできる。
②ゆっくり9ヶ月以上で教える
②初級でゆっくり定着を図り、9か月ないし一年後基礎をしっかり学んだ学習者達を中級に入れる。N3またはN2までは触れられる。
なぜ①を推進する学校が多いのか
①は「私どもの学校はしっかりN1まで教えます/ましたよ」と躍起になったまま、学習者を完全に置いてけぼりにしています。たった半年で初級を終えた学習者がN3~2文法なんてわかる訳がありません。横暴過ぎます。
②は、確かに時間はかかります。恐らく②に移行を渋る経営陣はこの時間がネックになっているのでしょう。
しかし、①のやり方だと「結局訳も分からず座っていたら初級が終わった。気づいたらN2の勉強してた。N1のテキストが終わっていた。卒業した。N4もない。で?どうすればいいの先生?ねえ?これからどうすればいいの?N4すらないけど私どうなるの?」という学習者が増えるのは現場で働く教師なら全員が知っている事実です。
①で無理してN1を目指した結果N4すら受からないどころか、会話すらまともにできない学習者を量産するのか、
②で時間はかかるがN2合格を堅実に目指すか、
どちらの方が卒業時に多くの笑顔が見られるでしょうか。
手の届く要因から
この現状をどれだけの人が把握しているのか、甚だ疑問です。いや、”彼ら”は問題にすらしていないのでしょう。
※難大などの上を目指す学習者はこれの限りではない。
日本語学校が好むのは②ですが、教師が好むのは①です。何もわかっていない経営者が好むのは①で、同様に何もわかっていない学習者の親が好むのも①。学習者自身は人によって①と②が分かれる。
しかし、誰が何を好むかはこの際どうでもいいのです。一刻も早く現状を直視、把握し、昔の化石化したやり方を問題視すること、そして化石を叩き割り、新しいカリキュラムに改善することが肝要です。昔の学習者と今のとでは質も量もまったく違います。
もちろん、卒業時に日本語能力が上がっていないのは学校だけのせいではありません。騙すブローカー、古い体制のままの養成講座、明らかに問題のある日本の入管制度、やる気のない教師、遊学目的・勉強しない学習者など、様々に要因はありますが、とりあえず現場で働く教師の手が届くのはこの進度ではないでしょうか。
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