【10課】教案:あります/います

教案

みんなの日本語 初級I 第二版』完全準拠。
導入や練習の仕方、教師として知っておきたい文型のポイントなどを解説します。

スポンサーリンク

学習項目

練習A
1.Nがあります(存在)
2.<人>がいます
3.位置詞
4.Nは<位置>にあります
5.<人>は<位置>にいます

教案

新出語彙

この課では、場所に関係する名詞がたくさん出てきます。町の中でよく見る言葉が多いので、学生もなじみやすいでしょう。位置詞は文型の練習の中でも何度も練習しましょう。

★ポイント

  • あります:この課で勉強するのは存在。所有は9課、開催(お祭りがあります)は21課
  • いろいろ:ほとんど連体詞的な使い方しかしない語で、この課でも「いろいろな物」の形でしか提出しない。ナ形容詞となっているが、活用の練習などはせず、また副詞(いろいろ考えた、等)としても扱わない

練習A-1:Nがあります(存在)

「私は車があります」という所有の表現は9課で勉強しました。10課では、「あそこに車があります」という存在の表現を勉強します。

導入:Nがあります

◆様々な物の有無を比較
T:(机の上に電話を置く)電話があります。(電話を隠して)電話がありません。
T:(たばこの入っている箱を見せる)たばこ?
S:たばこがあります。
T:(たばこの空箱を見せる)たばこ?
S:たばこがありません。

T:ここは教室です。これは机です。教室に机があります。教室に椅子があります。
 (テレビを指して)教室に・・・?
S:テレビがあります。
T:教室にベッドがありますか。
S:いいえ、ありません。

<板書>
 きょうしつ に テレビ が あります。
 きょうしつ に ベッド が ありません。

「<場所>でVます」を6課で勉強しました。「あります・います」は「で」ではなく「に」を使うので注意させましょう。

活動:部屋にNがありますかビンゴ

◆ビンゴシートにモノを記入し、ペアに聞いてビンゴを目指すゲーム
1.ビンゴシート(5×5程度)を1人1枚配る
2.シートに部屋の中のモノの名前を記入させる(ベッド、冷蔵庫、つくえ、など)
3.ペアの人に「〇〇さんの部屋に〇〇がありますか」と聞き、あればチェック
4.ビンゴが作れるまで続ける

ビンゴを知らない学生もいるかもしれませんので、始める前にやり方やルールを確認しましょう。

導入:N1やN2など

T:(机の上にいろいろな物を置く)ここに、ボールペンとシャープペンシルと消しゴムと本と電話とノートがあります(一気に早口で言う)。大変ですね。ここに、ボールペンや本などがあります。

<板書>
 ここ に ボールペン や ほん など が あります。

T:ボールペンや本など。いいです。消しゴムや電話など。いいです。(どの2つを代表例にしてもよいが、全部ではなく一部であることを示す)

導入:何がありますか

T:S1さんの部屋に、冷蔵庫がありますか。ベッドがありますか。机がありますか。何がありますか。
S1:机やベッドなどがあります。

<板書>
 へや に なに が ありますか。
  …つくえ や ベッド など が あります。

T:S1さん、S2さんに。(質問するよう促す)
S1:S2さんの部屋に何がありますか。
S2:冷蔵庫やテレビなどがあります。

活動で使ったビンゴシートをもとに、ペアの人の部屋にあるものを発表させてもよいでしょう。

練習A-2:<人>がいます

導入は人➡動物の順でします。疑問詞は「人」は「誰」、「動物」は「何」になるので注意しましょう。
なお、実際には「駅にタクシーがいる」などの言い方もしますが、それについては触れないようにしましょう。

導入:<人>がいます

T:教室に先生が・・・?
S:あります。
T:先生が、います。(強調)人は、あります、じゃありません。います、です。教室に学生が・・・?
S:学生がいます。
T:S1さんがいます。S2さんがいますか。
S:はい、います。
T:S3さん(欠席者)がいますか。
S:いいえ、いません。

<板書>
 きょうしつ に せんせい が います。
 きょうしつ に 〇〇さん が いません。

導入:誰がいますか

◆学校などの見取り図に人物を置いて導入
T:ここはどこですか。
S:学校です。
T:そうですね。201に〇〇さんがいます。202に、誰がいますか。
S:〇〇さんがいます。

<板書>
 202 に だれ が いますか。
  …〇〇さん が います。

T:トイレに誰がいますか。
S:〇〇さんがいます。
T:S1さん、S2さんに。(質問するよう促す)
S1:〇〇に誰がいますか。
S2:〇〇先生がいます。

導入:<動物>がいます/何がいますか

◆上記の見取り図に、猫や犬も描いておく
T:庭に猫がいます。道に犬がいます。猫、犬はいます、です。

<板書>
 にわ に ねこ が います。

T:101に、だれがいますか。(A先生と猫がいる)
S:A先生と猫がいます。
T:だれがいますか。A先生がいます。なにが(強調)いますか。猫がいます。
 猫はいます。でも、だれ、じゃありません。なに、です。

<板書>
 101 に なに が いますか。
  …ねこ が います。

練習B-1

◆拡大した絵を用いて行う
T:(例1の絵を見せて)あそこに・・・?(文を作るよう促す)
S:あそこにポストがあります。(リピート練習)
T:(例2の絵を見せて)ここはどこですか。
S:教室です。
T:教室に・・・?(文を作るよう促す)
S:教室に学生がいます。
 (続けて1~4も行う)
 ※3はいろいろな答えが可能。「と」で並列してもいいし、「~や~など」を使ってもよい。

練習A-3:位置詞

導入:位置詞

◆絵カードを使って導入・練習する

位置を表す言葉は万国共通ではありません
例えば、英語では「上下」や「前後」は接地しているか否かなどで日本語より細かく言葉を使い分けています。
また、世界の言語のなかには左右を表す言葉がないものもあるそうです。日本語の位置詞ごとの概念を理解させましょう。

◆文字で確認
文型練習帳』45ページを使うなどして、文字でも確認しましょう。

使用教材:

導入:N1の<位置>にN2があります/います

T:(椅子の上や下に猫がいる絵を使って)これは、いすの・・・
S:うえです。
T:そうですね。いすのうえに、・・・?
S:ねこがいます。
T:椅子の上に猫がいます。
◆同じくすべての位置詞について確認する:
 上・下・前・うしろ・右・左・中・外・隣・近く・間

練習B-2

◆拡大した絵を用いて行う
T:(例の絵を見せる)これは?(ドアを指す)
S:ドアです。
T:これは?(スイッチを指す)
S:スイッチです。
T:ドア・・・(文を作るよう促す)
S:ドアの右にスイッチがあります(リピート練習)
 (続けて1~4も行う)

活動:リビングの説明

◆家族がリビングでくつろいでいる絵を見せて、「~にNがいます/あります」を使って描写する
活動の流れ:
1.スクリーンなどに大きく絵を表示
2.学生を一人指名、1つ文を作らせる
3.すべての学生が終わるまで続ける

導入:何もありません/誰もいません/何もいません

◆何もありません
T:(中身の見えない箱を用意して、中にホッチキスを入れる)箱の中に何がありますか。
S1:(箱の中を触る)・・・ホッチキスがあります。
T:いいですね。
(モノを変えて何回か繰り返す)
T:箱の中に何がありますか。(実は何もない)
S5:・・・?ありません。
T:何もありませんか。
S5:はい、何もありません。

<板書>
 はこ の なか に なに が あります か。
  …ホッチキス が あります。
  …なに も ありません。

◆誰もいません/何もいません
T:(上で使った見取り図を使って)102に誰がいますか。
S:〇〇さんがいます。
T:103に誰がいますか。
S:誰もいません。
T:102に何がいますか。
S:犬がいます。
T:103に何がいますか。
S:何もいません。

<板書>
 103に だれ/なに が います か。
  …だれ/なに も いません。

「なにも」「だれも」は常に否定形を伴うことを強調します。

練習B-3

◆例を確認してから、ペアで練習させる

ペアワークのやり方は様々です。まだ文がうまく作れそうにないと感じたら、全体で正しい文を確認してからペアでもう一度練習させてもいいでしょう。また、終わってからTのに続いて全体でリピート練習すると、最後に正しい文を自分の口で練習して終わることができます。

練習A-4:Nは<位置>にあります

A-3までは「何」があるか、「誰」がいるか、つまり「モノ」にフォーカスしていました。A-4からは「どこ」にあるか、つまり「場所」にフォーカスします。
さらに、今までは「Nが」と言ってきましたが、ここではNを取り上げて話題にするため「Nは」となります。「が」と「は」の違いはこちらをご参照ください。

導入:Nは<位置>にあります

T:(消しゴムをテレビの上にのせて)あれ、消しゴム。消しゴムがありません。どこ?
S:テレビの上にあります。
T:ああ、ありがとうございます。消しゴムはテレビの上にあります。

<板書>
 けしゴム は テレビ の うえ に あります。

導入:Nはどこにありますか

◆「何がありますか」との違いを明確にする
T:(机の上にボールペンを置き、隠す)机の上に何がありますか。(ちらちら見せる)
S:ボールペンがあります。
T:そうですね。何がありますか。何が?ボールペンが、あります。
 (ボールペンをテレビの上に置く)あれ、ボールペン。ボールペンはどこにありますか。(きょろきょろ探す)
S:テレビの上にあります。
T:そうですね。どこにありますか。どこに?テレビの上に、あります。

<板書>
 ボールペン は どこ に あります か。
  …テレビ の うえ に あります。

練習A-5:<人>は<位置>にいます

導入

◆上でも使った見取り図を使う
T:〇〇先生は301にいます。
 〇〇さんはどこにいますか。
S:302にいます。

<板書>
 〇〇さん は どこ に います か。
  …302 に います。

T:S1さん、S2さんに。〇〇さんは・・・?(質問するよう促す)
S1:〇〇さんはどこにいますか。
S2:303にいます。
(何回か繰り返す)

練習B-4

◆絵を拡大したものを用いて行う。パワーポイントで2人の会話として練習するとわかりやすい
T:(Aさんの上にはさみの絵を出す)これは何ですか。
S:はさみです。
T:(続けて【?】も出す)はさみは・・・?(質問を作るよう促す)
S:はさみはどこにありますか。(リピート練習)
T:(Bさんの上に例1の絵を出す)
S:箱の中にあります。(リピート練習)
T:(Aさんの上にミラーさんの絵を出す)これはミラーさんです。
 (続けて【?】も出す)ミラーさん・・・?(質問を作るよう促す)
S:ミラーさんはどこにいますか。
T:(Bさんの上に例2の絵を出す)
S:事務所にいます。
 (続けて1~4も行う)

練習B-5

◆例を確認してから、ペアで練習させる

B-5の内容以外にも、いろいろな質問を作らせて自由に会話させるとよいでしょう。

活動:わたしはピカソ

◆指定されたちょっと変な絵を描くタスク。参考:『クラス活動集101
活動の流れ:
1.白紙の紙を1人1枚配る
2.「絵を描きます。」と言い、Tは指示を出していく
  例:大きいベッドがあります。ベッドの上に車があります。 など
3.最後にみんなで絵を見せあい、うまく描けている人に拍手を送る

使用教材:

活動:あなたの部屋はこれですか

◆ペアワークで、お互いの部屋の間取りを完成させていくタスク
活動の流れ:
1.間取り図の枠だけ書かれたシートを配る
2.「ベッド、冷蔵庫、机、テレビ」など、大体ありそうなもののリストもつけておく
3.ペアで、「あなたの部屋にベッドがありますか」「どこにありますか」など聞いていき、間取り図を作っていく
4.最後に相手に「あなたの部屋はこれですか」と尋ねる

大きな紙やスクリーンなどで、例を見せてからやるとよいでしょう。

教師用メモ

「いる」と「ある」

「いる」「ある」は存在を表す動詞です。
「いる」は自ら意志をもって動くものの存在を示し、「ある」は自ら動かないものの存在を示しますので、動物は「いる」、植物は「ある」です
「駅前にタクシーいるかな?」のように、まれにモノにも「いる」を使うことがありますが、これは「タクシー運転手がいて、その人の意志で駅前に存在している」という前提があるからでしょう。
また、硬い表現や古い文章では「人がある」という言い方も見られます。

たまに学生に「ロボットは?」と聞かれます。例えばアトムやドラえもんには「いる」を使って問題ないでしょう。ペッパーくんや最近話題のLOVOT(ラボット)なんかにも、「いる」を使ってもよさそうです。しかし、ロボット掃除機はやはり「ある」なので、AIが搭載され自ら考えて動くものでも、人や動物の形を成していなければ、「いる」を使うのは難しいのかもしれません。

「いる・ある」は外国人には難しそうな概念ですが、意外と習得は早いです。もちろん、ふとした時に「先生がありますか」などと言ったりもしますが、概念自体は覚えているので、すぐに笑って訂正することがほとんどです。

「いる・ある」についてさらに詳しい解説(授業で使える画像付き)は以下の画像をクリック↓

”教師が喋らない”授業

場所の絵カードを使った”教師が喋らない”授業の展開方法があります。

絵カードの作り方-新出語導入の基本┃場所PCの活用法
絵カードの作り方と選び方 市販の、絵カードだけを載せた書籍があります。しかし、あまりいいものはありません。なぜなら、絵カードにはその指すものだけを描かなければならず、多くの書籍はそれができていないからです。 授業で使う絵カードはどのよう...

 

【9課】教案:好きです/上手です/わかります/あります
『みんなの日本語 初級I 第二版』完全準拠。 導入や練習の仕方、教師として知っておきたい文型のポイントなどを解説します。 学習項目 練習A 1.Nが好きです 2.Nが上手です 3.Nがわかります 4.Nがあります(所有) 5...
【11課】教案:助数詞(つ、枚、台、人)、期間
『みんなの日本語 初級I 第二版』完全準拠。 導入や練習の仕方、教師として知っておきたい文型のポイントなどを解説します。 学習項目 練習A 1.Nが<助数詞>あります 2.Nを<助数詞>Vます 3.<人>が〇人います 4.<期...

コメント