教師用メモ
「~と」と「~たら」の違い
・「~と」は必然の用法で、後件にはナリマスなどの無意志動詞がよく使われる。意志表現は×。
・「~たら」は後件に無意志動詞・意志動詞・意志表現が使える。
意志・無意志についてさらに詳しいことはこちら

教案
Vタ+たら・Vナイ+なかった(=普通形過去)ら、 N4 仮定条件
- 教える際の留意点- 「~たら」の後件に使える表現:ます・たい・になります・ましょう・てください 1.「~たら」は仮定か確定かわかりにくい時がある。しかし、「~てから」と言い換えるとその違いがはっきりとわかる。「~てから」と言い換えることができるのは順接である。 例:お酒を ✕飲んでから 〇飲んだら、顔が赤くなります (「~てから」が使えないので、仮定の用法だとわかる) 2. L23の教材をそのまま使って、同じであることを教授する事もできるにはできる。しかし、「~と」は仮定と確定で使い方が分かれていないので、質問がなければ出さないし、おすすめもしない。 3.上の2について言えることだが、L23では機械や道案内、自然の変化を中心に扱った。L25では「人の動き」が中心となっているので、L23の教材を出すと混乱が生じる 「たら・と・ば 条件表現の違い」のさらに詳しい解説(授業で使える画像付き)はこちら(note) |
導入・練習
■導入■
お酒の例文は「~ても」のために入れておくといい。それから、お酒は人によって飲んだ後の変化が様々なので、前件そのままで後件だけを変えて簡単な導入ができる。
T:皆さんはお酒を飲みますか
S:飲みます。好きです
T:どれぐらい飲みますか
S:ビール10杯ぐらい飲みます
T:じゃ20杯飲みます。どうなりますか
S:顔が赤くなります/具合が悪くなります/眠くなります
T:お酒を飲んだら、顔が赤くなります
【板書】
お酒を飲んだら、顔が赤くなります。
T:S1さんは?
S1:私は眠くなります
T:私は?
S1:私はお酒を飲んだら、眠くなります
【板書】
私はお酒を飲んだら、眠くなります。
同様にして他の学生にもお酒を飲んだらどうなるか聞く。
■練習■
◆【Vたら】の他の例文を使って変換練習
「お金があります・?」
「駅まで歩きます・20分かかります」
「駅までバスで行きます・?」
「意見がありません・終わりましょう」
「この薬を飲みます・?」
「バスが来ません・?」
「学校が休みになります・?」
Aかったら・Na/Nだったら、 N4 仮定条件
- 教える際の留意点- 1.「Na・Nだったら」は過去形との接続であり、現在形との接続は「Na・Nなら」となる。「Na・Nなら」はL35で扱うのでここでは非提出 「~たら」の後件に使える表現:ます・たい・になります・ましょう・てください |
導入・練習
■導入■
T:(エアコンの絵カードと値札30万円を見せる)エアコンは高いです。高いですから?
S:買いません
T:高いです、買いません。高かったら、買いません
【板書】
高かったら、買いません。
T:高くないです?(1万円の値札のついたエアコンを見せる)
S:買います
T:高くないです、買います。高くなかったら、買います
【板書】
高くなかったら、買います。
T:これは私の家のエアコンのリモコンです。どうですか(複雑な、ボタンの多いリモコンを見せる)
S:難しいです
T:そうですね。じゃこれは?(簡単な、ボタンの少ないリモコンを見せる)
S:簡単です
T:皆さんはどちらを買いたいですか
S:簡単です
T:高いです、買います。高かったら、買います。じゃ、簡単です、買います。簡単・・・?
S:簡単だったら、買います
【板書】
簡単だったら、買います。
T:簡単じゃ?
S:簡単じゃなかったら、買いません
【板書】
簡単じゃなかったら、買いません。
T:1万円です?
S:1万円だったら、買います
【板書】
1万円だったら、買います。
1万円じゃなかったら、買いません。
T:名詞とな形容詞は同じです。
■練習■
◆い形な形名詞のフラッシュカードで活用練習
◆【A・Na・Nたら】 前件変換の後作練習
パソコンが安かったら、買います。
◆どうしますか・何をしますか(L23でやっているが、もう一度説明後練習)。
どうします:困ったときに尋ねる言い方
何をしますか:予定を聞いたりするときの言い方
携帯電話が故障します・どうしますか
日曜日天気が悪いです・どうしますか
パスポー「~と」をなくします・どうしますか
日曜日いい天気です・何をしますか
休みを2ヶ月もらいます・何をしますか
Vタ+たら N4 確定条件
- 教える際の留意点- 1.「~たら」の後件に使える表現:ます・たい・になります・ましょう・てください・に行きませんか 2.「~たら」・「~てから」(L16)違い |
導入・練習
■導入■
◆確定である「~たら」の用法を際立たせるために、後件を「~ませんか」固定で導入。
T:S1さんは勉強が終わったら何をしますか
S1:寝ます
T:じゃ一緒に遊びませんか
S1:いいですよ
T:S1さんは授業が終わります・遊びます。授業が終わったら、遊びます
【板書】
授業が終わったら、遊びます。
■練習■
◆後件に「てください」などの文型も入れて練習の幅を広げる
T:日曜日私の家へ遊びに来てください。
S:先生の家はどこですか。
T:駅に着きます・電話してください
【板書】
駅に着いたら、電話してください。
「家へ帰ります・アルバイトに行きます」
「勉強が終わります・家へ帰ります」
「~時になります・休みましょう」
「夏休みになります・?」
◆「~たら、Vテください」の会話練習
Q:会議室にいますから、その仕事が終わったら、来てください
A:はい、わかりました
■活動■
「~だったら、何する?」
一つのお題を用意し、そのお題で文を作って、次の人に紙をパスしていく。まずは例をホワイトボードでやって見せる。クラスの端からと、真ん中からと、書いてしまった人が手持無沙汰にならないようにする。最後に発表
①100万円があったら、何をしますか → ②100万円あったら、アメリカへ旅行します → ③アメリカへ旅行したら、何をしますか → アメリカへ旅行したら、友達を作ります → ④~
・1日が25時間です(1時間何をしますか)
・男になります
・女になります
・金持ちになります
・車をもらいます(どこへ行きたいですか)
・日本語が上手になります
Vテ・Aく・Naで・Nで+ても、~ N4 逆接
- 教える際の留意点- 1.逆接を表す文型。前件成立→後件成立を表す「~たら」とは反対の用法。 2.後件に使える表現:ます・になります・なければなりません・形容詞 3.接続詞の「でも」で概念理解を促す方法もある。 |
導入・練習
■導入■
◆まずは「~たら」を復習→「~ても」と繋げる
T:6+9=?、えーーーと・・・(指を使って計算)
S:15です
T:違いますよ!13です!
T:皆さんは考えたらわかります。私は考えてもわかりません
【板書】
考えたら、わかります。
考えても、わかりません。
◆Sの言語を教えてもらう
T:中国語で「私は先生です」は・・・ヲ―シュールー?
S:ヲーシューラオシュー!
T:ヲーシュールーショ?
【板書】
何度習っても、わかりません。
◆
【板書】
01142378957
T:この番号を覚えてください。いいですか。(番号を消す)1,2,3・・・はい、S1さん、さっきの番号は何番ですか
S1:忘れました
【板書】
覚えても、すぐ忘れます。
■練習■
◆「~たら」は後件作成練習にとても向いている。学生の自由な発想でおもしろい練習になるので、このタイミングで是非入れたい
◆「~たら」「~ても」混ぜて練習
Q:~たら、~ますか
A:はい、~たら、Aいいえ、~ても
はい、熱があったら、休みます
いいえ、熱があっても、休みません
T:雨が降ったら?休みますか。
雨が降ったら、学校を休みますか
雨が降っても、学校を休みません
◆絵カードや文字カードを見せ、「~たら」か「~ても」どちらを使った文かを考えさせる。さらに後件も作成させる。下クラスは後件を与えるのみの練習にする
■活動■
◆「~ても、~します」
一つのお題を用意し、そのお題で文を作って、次の人に紙をパスしていく
クラスの端からと、真ん中からと、書いてしまった人が手持無沙汰にならないようにする
最後に発表
「もし」と「いくら」
- 教える際の留意点- 1.「もし」と「いくら」の後の言葉は程度が度を超すようなものを使う。もちろん、そうでない場合もあるが、違いをはっきり示すため 2.「もし」を使うと、仮定性が強くなる。会話で「もし犬だったら、どうする?」という話をするが、これが「犬だったら、どうする?」となると落ち着きが悪い 3.「もし」は実現困難なことに使うので、 |
導入・練習
■導入■
◆学生の部屋についての話
T:皆さんの家は狭いですか
S:はい、狭いです。汚いです。早く引っ越したいです
T:そうですか。これ(豪邸の絵カード)は100億円です。みなさん買いますか
S:買いません
T:どうして?広くてきれいです
S:高いです
T:今だけ1億円です。安いです。どうですか
S:高いです
T:じゃ100万円
S:大きいです。掃除が大変です
【板書】
いくら安くても、買いません。
いくら暑くても、エアコンをつけてはいけません。
◆もし
T:私は犬になることができません。0%です。犬は毎日寝ています。私も毎日寝たいです。犬になったら、もし犬になったら、毎日寝ます。
【板書】
もし犬になったら、毎日寝ます。
T:仕事をやめて、世界を旅行したいです。でも、お金がありません。100億円あったら、旅行したいです。
【板書】
もし100億円あったら、旅行したいです。
S:先生、「100億円あったら、旅行したいです。」と「もし100億円あったら、旅行したいです。」どちらがいいですか
T:もし100億円あったら、旅行したいです
S:どうしてですか
T:犬になることができますか
S:絶対にできません
T:そうです。0%です。100億円ありますか
S:0%です
T:じゃこれはどうですか
【板書】
仕事が終わったら、遊びます。
T:仕事は終わりますか
S:はい
T:100%終わります。ですから、
【板書】
もし仕事が終わったら、遊びます。
T:これは?
S:だめです
T:0%、もし。100%、もし、ありません。
授業記録
たらても
- お金があっても、?
- お金があったら、?
上の二文を同時に出すことで概念が理解できる。後件は
「~たら」:前件が成立すると、当然する
「~ても」:前件が成立したとしても、後件にはならない
「~たら」の仮定と確定
用法が2つあるのだが、別にどっちでもいい、というかそこにこだわらなくていい。上の教案では分けて教えているが、明確に分ける必要も、「これは仮定!これは確定の「~たら」!」と言う必要もない。
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