学生とうまくいかない時は。ある学生との記録

学生の叱り方について以前書きましたが、今回は叱らない、というやり方です。

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ある学生との衝突

ある学生と衝突しました。衝突というか、一方的に嫌われた感じですが。授業中話も聞かずに内職をしたり、漫画を読んだりとしていたので、注意しました。しかし、彼女は私の注意に対し怒りをあらわにし眉間にしわを寄せ「話しかけないでください」と言い放ちました。

困りました。授業中に彼女を指名しても彼女は「わかりません…」と答えるだけです。一人だけ無視するのも悪いと思いその後も果敢に指名していたら、ついに溜め息+無視。クラスは悪い雰囲気に。

私はいったん彼女と距離を置くという方法でこの初日から最悪の雰囲気を切り抜けることにしました。ようは放っておく、話しかけもしないし、当てもしない、ということです。

変化

放っておく措置を取ってから、彼女に次第に変化が現れました。

①前を見るようになった

一生懸命授業をやっていればいつか変わってくれるだろうと、とにかく授業をおもしろく、前を見たくなるような工夫をしました。

すると、彼女がチラチラとこちらをうかがうようになりました。まだ距離は遠いですが、いい兆候です。

②笑うようになった

当初、私が話し始めても見向きもしない聞きもしなかった彼女がこちらをチラチラと見始めたことで、私の授業中の動きを視認、笑うようになりました。

この頃はまだ内職はありました。つまり、私の授業は彼女が持って来たテキスト以下という評価です。

③授業中に発話するようになった

嫌いな人の言動に笑うことはしません。机間巡視で、やめていた「話しかけ」を再開。煙たがることもなく、うんうんと素直に頷き、答えを訂正するようになりました。発話も少しですがするように。

④相談されるようになった

元々内向的な性格の彼女で、授業中は静かなままですが、学校で挨拶をしたり(以前は無視)、授業中に質問したり、ついには人生相談までされるようになりました。

彼女は内職は完全にやめ、普通に授業を受け始めました。

①から④に至るまでに3か月かかりました。④になるまで、いや、②になるまでは授業に向かうのがイヤでした。笑い始めてやっと気が楽になりましたが、とにかくクラスに一人でもそういう子がいると結構やりにくいものです。

結果としてうまくいきましたが、「放置」がいつもこんな風にうまくいくわけではありません。しかし、他にも上述のような学生はいましたが、意外と「放置」➔こちらに関心を持ち始める➔授業に参加するようになる、という流れは何度も経験してきました。

「こんな性格の人もいるだろう」と考え、「じゃどうすればこのタイプの人とうまくやっていけるか」ということを考えるのは教案や例文、教材を考えるよりも苦慮します。

しかし、悪いことばかりでもありません。副産物もあります。その3か月内に作った私の教材はやけに気合が入っています。無理があるかもしれませんが、彼女のおかげでいい教材ができたとも言えます。

自分で検索

どのやり方がうまくいくかはわかりません。ネットで「学習者 タイプ別 対応」と検索して答えが出ることはなく、先輩教師に聞いた答えも参考にはできるでしょうが、自分にできるという確証はありません。

だったら、やり方、対応を変えるしかありません。その内、自分の中で「学習者 タイプ別 対応」が検索できるようになるはずです。

まとめ

今回は「放置する」やり方が正解で、うまくいきました。繰り返しになりますが、様々な学生がいて、それぞれの正解の対応を引き抜くのは大変難しいです。経験を積むとその精度は上がっていっている感じはしますが、それでも100%にはなりません。

  1. 叱る→効果なし、2へ
  2. 無視する→効果なし、3へ
  3. 笑顔で話しかける→効果なし、4へ
  4. 机間巡視で答えを訂正する→「え?なんでですか?」と質問してくる

と様々なやり方を試し続け、少しでも反応があったものを繰り返していき、他のやり方もゆっくり試していくといいのではないでしょうか。

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