言葉の乱れの例とその原因「とゆう」「~弱、~強」「っす」

私見が多分に含まれています。

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全然

本来は否定表現と共起する言葉でしたが、次第に肯定表現、さらに時が流れ否定表現と、紆余曲折を経て今に至ります。
現在は「肯定表現と一緒に使うな!」という方がいるわけです。ではなぜ肯定表現と共起するのでしょうか。

これは音によるものです。日本人は濁音がつく音を強い、大きい、多い、硬いなどと思います(オノマトペ(擬態語と擬音語)の恣意性 『ベギラゴン』が強そうに聞こえる理由)。その感覚はオノマトペのみならず、単語単位にも及びます。「ぜんぜん」は濁音+畳語(繰り返し)があるので、強調を表すために肯定と使われているのです。

~とゆう

「という」が変化した形です。「という」より口の負担が軽いので、口語ではもっぱら「とゆう/(っ)てゆう」が使われます。以下に例文を書いてみました。

「~とゆう」ってゆー言い方が嫌いとゆう人が多いとゆう調査が行われた。最近そーゆー記事が多いけど友達も「てゆーかウチもそーゆー言い方するし」ってゆっててがっかりしたとゆーことがあった。

敷居が高い

  • あの店、一度でいいから行ってみたいんだけど、敷居が高いんだよね

「ハードルが高い」との混同です。

「違くて」

「違くて」は非常によく使われる言い方です。正しくは「違っていて」です。ちなみに、「それ、違くない?」は「それ、違わない?」が正しい形です。

「違う」は動詞なのに、状態を表すので、このような誤用が頻発するのだと考えられます。

話 話し

「話」は名詞、「話し」は動詞です。

  • ちょっと 〇話 ✕話し があるんだけど。
  • 彼に ✕話 〇話し に行きます

~弱 ~強

「10人弱/強」を例にとります。

  • 誤用:は「11人~13人程度」強は「11人~15人程度」
  • 正用:弱は「7人~9人程度」強は「16人~19人程度」

「10より少し弱い、少し強い」と覚えるといいです。

っす

  • 大丈夫っす
  • 食べるっす
  • 行くっす

「です」が短くなった形。

水族館は「すいぞくかん」とは発音せず「すいぞっかん」と発音する現象と同じです。すいぞっかんは許されているのですが、この「っす」は許容される度合いがかなり低いので、使用は避けた方が賢明です。

「、、、」「。。。」

中点を使うべきところを「、、、」と「。。。」を使って表しています。

さらに正確に言うなら、中点は6つ置かなければなりません。

「・・・・・・」

のようにです。小説などでは必ず中点6つが用いられます。

しかし、実際に中点を6つ用いるとかた過ぎますし、まじめ過ぎます。しかも、スマホなどでは中点を入力するのに少し手間がかかります。そこで、読点と句点が代わりに用いられているというわけです。

まぢ

「まじ」がそもそも若者言葉ですが、それをさらにくだいたのが「まぢ」です。「じ」も「ぢ」も同じ音なのですが、若者は新しいものが好きなので、「まじ」と昔からある言い方ではなく間違っている言い方、新しい言い方「まぢ」を好むのだと考えられます。

「ぃやです」「ゅった」

母音を小さく表記した言い方です。これが使われる原因として考えられるのは、かわいさでしょう。

「ゅった」ですが、正しくは「いった(言った)」が「ゆった」になり、さらに「ゅった」と変化したのです。

誤用だらけの例文

上記誤用をできるだけ多く使って文を作ってみました。

利用例としては、

  • 企業研修での日本語の指導
  • 留学生の日本語指導

で使えるかと思います。

  1. 文を配布
  2. 誤用を見つけさせる
  3. 解説

の順で実施してみてください。

以下例文

「すいません。今日は朝から具合が悪かったんですが、なんとか電車に乗って、今そっちへ向かっています。ホントすいません。部長はもう先方の方におられますか。だったら教えてください。直接そっちへ行きます。」

今日も部下が遅刻だ。毎朝毎朝何様のつもりだ。しかも日本語はめちゃくちゃで、謝罪のメールをLINEで送ってくる。俺はそいつにこう返信した。

「もう先方の人はお見えになられているぞ。12時までに来れるな?」

メールを送っていたらもう一人の部下の田中がこう言ってきた。

「先輩、自分は準備があるんで先に行かさせていただきますね。」

他、言葉の乱れ

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コメント

  1. ヨシダマコト様
    「せざる負えない」ではなく「せざるを得ない」です。他人に読んでもらう文章はきちんと確認してから送信するようにしましょう。記憶力の優れている子供の頃に間違った言葉を教えられることで、そのまま覚えこんでしまう場合もあります。

  2. 言葉に関して、私の記憶で焼き付いているのが、1978年、その時人気のある売れているむミュージシャン、民放女子アナなど鼻濁音ができない。歌の歌詞でも、鼻濁音に関しては、地方出身者の方々の地域では、鼻濁音が存在しないということを聞き芸能界は地方の人が多いのだろう。しかしせっかく良い曲でもがぎぐげごの鼻濁音がとびぬけてしまい聞き苦しい。

    1998年ごろ、ひとつの結論がでたのです。幼稚化したということ、36歳の主婦がちがくてという言葉を使っていたので、びっくりを通り越した。私の記憶では、幼児期に言葉を覚えていく過程で間違えざる負えないタイミングと、区切りで覚えたことを、覚えています。血液の血のことを「血がでている」の言葉で、血のことを血が、覚えて、けがした時「ちがが」でた。と騒いでました。また、違くても言ってましたが、血がとか違くてとは言わないということ、また、金色と銀色逆に覚えてしまい。戻すのに少し時間がかかりました。銀色のほうが金色に感じてしまって。近所の子が自動車のことをブーブーと言って皆から「まだ、ブーブー」て、言っているのか、やめろ言われていました。

    結論から言えば、幼稚化してきていると認識すれば、最近のあおり運転、高齢者のブレーキとアクセルの間違いなど、いろいろあり取り上げたら1万ページでも足らないと思います。

  3. 私の性格に起因する物なのでしょうが、65歳を過ぎたここ最近見聞きする乱れた日本語によって神経を逆なでされる事が多くなって参りました。言葉がぞんざいであるとか、敬語の使用法が間違っているとかについては、「自分も若かった頃はそうだった。」と納得できるのですが、「~みたいな・~的(自分的・君的・〇〇さん的)」の様に悉く「確定・断定」を忌避する言葉遣い・文章に続けて出会いますと、些か精神的に参ってしまいます。
     自分の記述する文面で助詞を極力省か無い様に留意し、話し言葉でも「が・の・に・を・て・は」は端折る事の無い様に心掛ける事で私が昨年発症しました脳出血のリハビリに役立てて参りましたが、どうも前述の何でも暈かす・自分の意見を出さない風潮はその復旧・治癒の大きな妨げになって居ります。対処方法について御意見・御指導を賜りますれば幸甚と存じます。