【22課】教案:名詞修飾(動詞)

みんなの日本語 初級I 第二版』完全準拠。
導入や練習の仕方、教師として知っておきたい文型のポイントなどを解説します。

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学習項目

練習A
1.名詞修飾(V+N)
2.NはV+Nです
3.V+Nは~です/ます
4.V+Nを~ます
5.V+Nが~です/ます
6.V+N(時間/約束/用事)があります/ありません

教案

新出語彙

動詞は着脱動詞がメインです。のちの練習で使うので、語彙指導の段階である程度定着させておきましょう。

★ポイント

  • します:ネクタイは「しめる」という動詞も使えるが、ここでは「着る・履く・被る・(眼鏡を)かける」以外はすべて「する」で統一する。時計やアクセサリー類も「する」でよい。

練習A-1:名詞修飾(V+N)

ここでは、動詞の普通形+名詞の名詞修飾の形を導入、練習します。なお、名詞の名詞修飾は2課などで、形容詞の名詞修飾は8課で、現在・肯定形に限って教えています。名詞・形容詞の否定や過去を使った名詞修飾(金持ちではない彼、辛かった日々、など)は、ここでは扱いません。

(有料) 名詞修飾を教える順番

導入

名詞、形容詞の名詞修飾を思い出しながら、「名詞修飾」の概念を理解させます。

◆子供が車の絵本を読んでいる絵を見せる
T:男の子が本を読んでいます。どんな本ですか。
S:車の本です。
T:そうですね。字を見てください。多いですか、少ないですか。
S:少ないです。
T:そうですね、字が少ない本です。難しい本ですか。
S:いいえ、簡単な本です。
T:はい、簡単な本ですね。これは、子供が読む本です。
(以下のように板書し、リピートさせる)

くるま の   ほん
じが すくない ほん
かんたんな   ほん
こどもが よむ ほん

◆続いて、大人が小説を読んでいる絵を見せる
T:じゃ、これはどんな本ですか。
S1:字が多い本です。
S2:難しい本です。
T:そうですね。誰が読む本ですか。
S:大人が読む本です。
T:はい、大人が読む本です。子供が読まない本です。

じが おおい    ほん
むずかしい     ほん
おとなが よむ   ほん
こどもが よまない ほん
◆英語の本を読んでいる男の子の絵を見せる
T:男の子は、きのう、英語でハリーポッターを読みました。
 (英語版と日本語版の本の写真を見せる)男の子はどちらの本を読みましたか。
S:左の本を読みました。
T:そうですね。これ(左)は、男の子が昨日読んだ本です。これ(右)は、昨日読まなかった本です。
きのう よんだ    ほん
きのう よまなかった ほん

T:本の前は、どんな本ですか?説明しています。車の本、や、難しい本、これはもう勉強しましたね。きょうは、子供が読む本、読まない本、昨日読んだ本、昨日読まなかった本、動詞のどんな?を勉強します。動詞は何形ですか。
S:普通形です。
T:そうです。名詞の前、動詞は普通形を使います。

   N   の  N
 イadj.-い   N
 ナadj.-な   N
 V[ふつう]  N

練習

◆様々なものを見せ、名詞修飾を作らせる
T:(写真を見せて)北海道で撮りました。どんな写真?
S:北海道で撮った写真(リピート練習)
T:(本を見せる)明日読みます。
S:明日読む本(リピート練習)
T:(鞄を見せて)新宿で買いました。
S:新宿で買ったかばん(リピート練習)
T:(ノートを見せて)昨日使いませんでした。
S:昨日使わなかったノート(リピート練習)
(繰り返す)

◆『文型練習帳』113ページを使うなどして、「~物・人・所」を作る練習

練習A-2:NはV+Nです

名詞修飾節の中の主語には、必ず「が」を使うというルールがあります。ここでは「は/が」の使い分けのルールの一つとして教える必要はありませんが、とにかく「名詞修飾の中は「が」」と覚えさせましょう。

導入:これはV+Nです

◆導入
T:(時計を見せて)これは何ですか。
S:時計です。
T:はい。これは時計です。デパートで買いました。これは・・・?
S:デパートで買った時計です。

これは   とけいです。
   ↑デパートで かいました
=これは デパートでかった とけいです。

◆学生の持ち物を使って名詞修飾の文を作らせる
T:それは何ですか。
S1:これはコンビニで買ったお茶です。
(何人か繰り返す)

◆修飾節の「が」を導入
T:(自分で撮った写真を見せる)これは何ですか。
S:写真です。
T:そうです。私はこの写真を撮りました。これは、私が撮った写真です。

これは   しゃしんです。
   ↑わたしはしゃしんをとりました
=これは わたしとった しゃしんです。

T:ここ、見てください。(「が」のところを指す)
 私は写真を撮りました。「は」を使いますね。でも、どんな写真ですか?説明します。わたし「が」(強調)撮った、写真です。「は」じゃありません。「が」を使います。

T:(女性向けファッション誌を見せる)これはどんな雑誌ですか。
S:女の人が読む雑誌です。
T:(絵本を見せる)これは?
S:子供が読む本です。

練習B-1

キュー出しで行ってもいいですが、できればPPTなどで絵とセリフを用いて行ったほうが理解しやすいです。

◆2人が会話している絵を見せる
T:(Aさんに帽子を持たせる)これは何ですか。
S:帽子です。
T:そうですね。Aさんは、この帽子をパリで買いました。(「パリで かいました」と、Aさんの上に吹き出しで出す)Aさんは言います。これは・・・?(文を作るよう促す)
S:これはパリで買った帽子です。(リピート練習)
(同様に1~4も繰り返す)

導入&練習B-2:~さんはVている人です

◆練習B-2の絵を拡大したものを用いて「~ている人」を導入・練習する
T:この絵を見てください。ミラーさんはどの人ですか。
S:その人です。
T:え?どの人?
S:電話しています。
T:そうですね。ミラーさんは、どの人?電話・・・
S:電話しています・・・電話している人です。
T:そうですね。電話しています、の普通形は電話している、です。

~さんは、どの ひとですか。
…~ている ひとです。

T:じゃ、佐藤さんはどの人ですか。
S:コピーしている人です。(リピート練習)
(同様に2~4も繰り返す)

練習A-3:V+Nは~です/ます

ここで着脱動詞+ているが出てきます。「Vている」は14課(進行)、15課(結果の状態/職業)で扱っていますが、この22課の「Vている」も含め主体はすべて「人」です。29課で「物」の変化の結果を描写する「Vている」が出てきます。詳しくは「て形」の11の機能 + 「ている」の機能にまとめてあります。

導入:~ている人は~さんです

T:このクラスで、眼鏡をかけている人は誰ですか。
S:S1さんです!
T:じゃあ、赤い靴を履いている人は?
S:…S2さんです!

めがねを かけている ひとは S1さんです。
あかいくつを はいている ひとは S2さんです。

練習B-3

◆拡大した絵を用いて行う。この絵を見ながら話している2人がいる、という設定でやるとよい
T:これは何ですか。
S:着物です。
T:AさんはBさんに聞きます。着物を着ている人は誰ですか。(リピート練習)
 (「わたなべ」と板書)だれですか。
S:渡辺さんです。
T:じゃ、これは?(赤い靴を指す)
S:靴です。
T:そうですね。色は?
S:赤いです。
T:はい、じゃ聞いてください。赤い靴を・・・?
S:赤い靴を履いている人は誰ですか。(リピート練習)
T:(T「はやし」と板書)
S:林さんです。
(同様に2~4も繰り返す)

着脱動詞がまだ定着していない場合は、活動の前にもう一度復習しておきましょう。なお、学生同士でやらせて問題なさそうなら、ペアワークでもよいでしょう。

導入:V+Nは~です

◆「人」以外も導入
T:私は池袋に住んでいます。S1さんは?
S:新宿に住んでいます。
T:そうですか。S1さんが住んでいるところは新宿です。

S1さんが すんでいる ところは しんじゅくです。

T:S2さん、この水はどこで買いましたか。
S:コンビニです。学校の隣にあります。

S2さんが みずをかった コンビニは がっこうのとなりにあります。

一文が長くなってくるので、確実に理解させましょう。

練習B-4&B-5

◆キュー出しで行う
T:弟がうまれました、ところ、北海道です。文を作って下さい。
S:弟が生まれたところは北海道です。(リピート練習)
(同様に1~4,B-5も繰り返す)

少々退屈な練習ですが、普通形+名詞をパッと言えるようになるために繰り返しましょう。文が長くなるので、PPTで補助的な絵や文を出して視覚的に確認させながら行うと効果的です。

練習A-4:V+Nを~ます

ここでは、名詞修飾節を目的語にする方法を学びます。

「~を」以降のバリエーション:
知っています 見せます 買います 飲みます 聞きます 読みます 書きます 買います 借ります 貸します 待ちます 見せます 教えます 作ります 使います 知ります 忘れます 覚えます 弾きます 調べます 心配します

導入

T:この言葉は何ですか。(先週の授業で勉強したが、学生が忘れていそうな言葉を見せる)
S:わかりません。
T:先週勉強しました。
S:忘れました。

    ことばを わすれました。
↑せんしゅうべんきょうしました

T:ここは?(下線の部分を指す)
S:先週勉強した
T:そうですね。

    ことばを わすれました。
↑せんしゅうべんきょうしました
せんしゅうべんきょうした  ことばを わすれました。

◆「N+Vを~てください」などの練習
T:S1さん、そのスマートフォン、新しいですね。
S1:はい。先週買いました。
T:そうですか。私も新しいスマートフォンが欲しいです。新しいスマートフォンを売っている店を教えてください。
S1:新宿のビックカメラです。
T:ありがとうございます。

T:じゃ、S1さん、S2さんに。(「安いノートパソコン」「売っています」「所」のキューを出す)
S1:S2さん、安いノートパソコンを売っているところを教えてください。
S2:秋葉原がいいですよ。
(同じようにキュー出しで繰り返す)

例:話しています・人 売っています・所 捨てます・所 勉強します・所 捨てました・所 買いました・薬 泊まりました・ホテル 降ります・駅

練習B-6

◆キュー出しで行う
T:彼にあげます、お土産を買います。文を作って下さい。
S:彼にあげるお土産を買います。(リピート練習)
(同様に1~4も繰り返す)

練習A-5:V+Nが~です/ます

ここでは、「名詞修飾節+ 好き・ほしい・わかる・要る」などの形を学びます。

導入

T:皆さん、アルバイトをしていますか。
S:はい、しています。
T:日本語はどうですか。難しいですか。
S:難しいです。
T:わかりますか。
S:いいえ、わかりません。
T:そうですね。難しいですね。わかりません。何がわかりませんか。
S:日本語。
T:日本語がわかりません。誰が使いますか?
S:アルバイトの人は使います。
T:アルバイトの人・・・
S:・・・が使う日本語をわかりません。
T:日本語を?わかりません、の前は?
S:日本語がわかりません。
T:もう一度。アルバイトの?
S:アルバイトの人が使う日本語がわかりません。

    にほんごが わかりません。
↑アルバイトのひとは つかいます
アルバイトのひとが つかう  にほんごが わかりません。

T:わかります、わかりません、は、「を」じゃありません。「が」ですね。

T:じゃ、カキアゲ先生の日本語は?
S:わかります。遅いです。易しいです。
T:どうぞ。先生・・・?
S:先生が使う日本語がわかります。

T:どんな人が好きですか。私は頑張って働いている人が好きです。S1さんは?
S1:お金をたくさん持っている人が好きです。
(数名に聞いていく)

好き・嫌いの例:どんな 先生、仕事、会社、所、食べ物、など

練習B-7

◆キュー出しで行う
T:外でします、スポーツが好きです。文を作って下さい。
S:外でするスポーツが好きです。(リピート練習)
(同様に1~4も繰り返す)

練習A-6:V+N(時間/約束/用事)があります/ありません

導入

T:S1さんは今朝、朝ごはんを食べましたか。
S1:いいえ、食べませんでした。
T:どうして?
S1:時間がありませんでした。
T:なんの時間?
S1:えー、朝ごはんを食べる時間がありませんでした。

    じかんが ありませんでした。
↑あさごはんを たべます
あさごはんを たべる  じかんが ありませんでした。

練習B-8

◆例を確認してから、ペアで練習させる。

「用事がある」「約束がある」は、断りの理由をやわらかく伝える効果があります。例えば、「カラオケに行きますか」と聞かれ、「いいえ、部長と食事します」と言うより「部長と食事する約束があります」と言ったほうが、「残念ですが」というニュアンスが伝わります。違いを聞かれたらそのように説明しましょう。

活動

3ヒント

◆「3つのヒントから答えを考えるクイズ」を考える
活動の流れ:
1.例として「人がたくさんいるところです」「電車に乗る前に行くところです」「ときどきコンビニがあります」を出し、答えを考えさせる(答えは駅)
2.同じようなクイズを作らせる(3つのヒントのうち2つは名詞修飾を含む文にするよう伝える)
3.グループ、あるいはクラス全体でクイズ大会をする

便利な道具を作ろう

◆ドラえもんのどうぐのような、便利な道具を考えさせ、発表する
活動の流れ:
1.各自、便利な道具と、それがどんな道具か、使い方などを説明する文を考えさせる
(例がないと難しいので、Tが例を提示する。例えば「ビデオめがね:見たものを全部覚えることができる眼鏡です」など)
2.さらにその道具を絵に描き、みんなの前で絵を見せながら説明する
3.誰の道具が1番ほしいか投票する

教師用メモ

名詞修飾について

国語文法と日本語文法で呼び方が違います。
国語文法:連体修飾
日本語文法:名詞修飾

名詞修飾は使う機会は多いのに、学生が全く使おうとしない名詞修飾。ここで教えても、授業中や休み時間などではしばらくは使ってくれませんが、こちらが辛抱強く使い、使用を促します。

名詞修飾節内の主語に付く「の・が」の使い分け
①これは彼が作ったケーキです。 ②これは彼の作ったケーキです。 本来、名詞修飾(22課)節内の主語は上記の①のように「が」になります。日本語教育機関、初級レベルではそのように教えます。 しかし、この「が」は「の」で言い変え可能な場合と言い変...

授業に役立つプリント

着脱動詞(はきます・着ます・かけます・かぶります)の練習プリント

答え

 

◆練習問題

答えと解説はこちら

Quizzes of basic Japanese┃初級日本語クイズ【Archive7】
Instagramに投稿した「Quizzes of basic Japanese 初級日本語クイズ」のアーカイブを紹介しています。問題のあとに解答と解説が続きます。 This page introduces the archive of "...

 

【21課】教案:~と思います、~と言います、~でしょう?
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【23課】教案:~とき、~と
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