35課教案 「条件形」 ~ば~ほど ~なら

教案
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教師用メモ

1.条件形は新しい形で、しかも難しい(動詞の肯定形と否定形、い形容詞、な形容詞、名詞と数が多いから)ので、既習の絵カードがあるといい。

2.教科書で扱わない条件文の用法
①急げば間に合った(反実仮想)
②休みの日には、出かける人もいれば、ゆっくり家にいる人もいる(並列)

①の反実仮想は後件のた形に注目してほしい。「急げば間に合う」は教科書では教えるが、「~間に合った」とた形になった形は教えない。②は中級の文型で、条件の用法とはまったく異なるもの。

3.L35では条件文を扱うが、話題のナラのみ異質である

4.L25で既習のテモはタラの逆接として学習したが、この課でも同様に使える

◆「たらとば」教授項目
①機械の使い方:このボタンを押(したら・せば・すと)、お釣りが出ます
➁道案内:この道をまっすぐ行(ったら・けば・くと)、銀行があります
➂自然現象:冬にな(ったら・れば・ると)、寒くなります
以上3つは全てタラトバOK
➃冬にな(ったら・×れば・×ると)、スキーをしたいです(後件が意志)
➄説明書を読(んだら・○めば・×むと)使い方がわかります
➅学校を休(んだら・×めば・×むと) 電話してください(XがV→後件意志NG
⑦忙し(かったら・○ければ・いと)電話してください(XがAなら、後件意志OK)
※条件形の前の言葉がい形容詞・な形容詞などの状態性の言葉なら、後件は何でもいい
※トとタラは簡単だが、バが動詞か形容詞かで学生がよく悩む

「たら・と・ば 条件表現の違い」のさらに詳しい解説(授業で使える画像付き)はこちら(note)

教案

 

Vば、~ N4 【事実や、物の使い方、自然な成り行き、ルール】

 

- 教える際の留意点-

1.話し手が相手の発言内容を受けたり、その場の状況を受けて、判断を述べる。

A:使い方がわかりません。
B:わからなければ、説明書を読んでください。

話し手は「使い方がわからない」という言葉を聞いて、あるいは、その場の状況を判断して、その条件下で「説明書を読んでください」という判断を述べる。

2.形容詞の条件形(おいしければ、元気なら)はまだこの段階では教えない。

3.条件形文「バ・タラ」比較

①テクダサイ、マショウは意志性が強いので、タラの方が自然。
〇おいしければ 〇美味しかったら 買ってください。
〇晴れれば 〇晴れたら 行きましょう。

②どれも後件の意志性が薄いので、バの方が自然。
今日が◎終われば 〇終わったら 三連休だ。
これが◎終われば 〇終わったら 帰れる!
急行で◎行けば 〇行ったら 早く着くよ。

導入・練習

【電気屋で】
T:ここはどこですか(電気屋の写真を見せる)
S:電気屋です
T:そうです。この機械、使い方がわかりません。困りました。あ、店員さん、この機械の使い方がわかりません
T:このつまみを回します     、音が大きくなります。

このつまみを回します 、音が大きくなります。
      回せば

T:これは新しい形、条件形です。ば形という先生もいます
S:ば形が簡単です
T:そうですね。じゃ、ば形(じょうけん形)の練習をしましょう

私は個人的に「ば形」の方が言いやすく覚えやすいので好きなのですが、どの学校に行っても「じょうけん形」と呼ばれています。「ば形」派閥はほとんどいません。そして、注意しなければならないのは、他の先生と呼び方を合わせるということです。私は「ば形」と呼びたいから学生にも「ば形」で教える!と言い張っても、他の先生が「じょうけん形」と言っていたら、一番迷惑を被るのは学習者です。この呼称問題は「〇〇形」だけではありません。教室用語や文法用語なども同じです。その学校ごとに確認し、それに合わせるようにしましょう。

◆上の表を見ながら教える

T:じゃまずはいつもと同じ、2グループから。食べますは?
S:食べれば
T:見ますは?
S:見れば
T:簡単ですね。マスを消して、レバを付けるだけです。じゃ、次は3グループ
S:しれば
T:すれば。結婚?
S:結婚すれば
T:来ます?
S:きれば
T:くれば。じゃ、最後。1グループ。会います
S:会えば
T:書きます
S:書けば
・・・
T:大丈夫ですね。それではこれ(フラッシュカード)で練習しましょう

変換練習はFC(フラッシュカード)が便利です。以下のリンクを押すと、無料でダウンロードできます。

FCはこちら➔35課のFC 条件形

【電気屋で】
T:このイスを見てください。大きいですね。あー気持ちよさそうです
S:マッサージ!
T:そうです。マッサージのイスです(マッサージチェアのコントロールパネルの写真を見せる)
S:うわ、難しいです
T:店の人に聞きます。このイスの使い方がわかりません
T:ここを押します イスが動きます

ここを押します イスが動きます。
ここを押せば、イスが動きます。

S:先生、次のテストはいつですか
T:次は・・・わかりません
S:じゃ、誰に聞きますか
T:そうですね。田中先生に聞きます・わかります。田中先生に聞けば、わかりますよ

T:桜はいつ咲きますか。冬?夏?
S:春に咲きます
T:春になります 咲きます
S:春になれば、桜が咲きます

S:春になると、桜が咲きますと同じですね
T:すごいですね。覚えていますか。そうです、同じです。なると、なれば
S:なったらは?先生
T:同じです

↑こういう話の流れに、ほとんどはなりませんが、なることもあります。私は先週なりました。もしそうなったら、先述した内容のことを教えましょう。「たらとば」で一番最後に教えるのが「ば」であることからもわかるように、この条件表現で最も難しいのが、条件形(ば形)です。「と」は後件が全部無意志、「たら」は制限なし、しかし「ば」だけは複雑な制限がある。先生自身もこの制限についてよく予習してから授業に臨んだ方がいいでしょう。

◆複文練習
事実や自然な成り行きを述べる。後件はL19「~になる」L32「~でしょう」L13「~たい」など色々な既習文型と合わせて練習すれば練習に幅をもたせることができる。

  • 秋になれば、木の葉の色が変わります。
  • 道ができれば、村の生活がもっと便利になります。
  • 急げば、9時の新幹線に間に合うでしょう。
  • おじいさんに聞けば、昔のことがわかります。
  • 機会があれば、アフリカへ行きたいです

◆Aが困った状況でBに助言を求め、Bは助言をバで行う
A:テレビがつかないんですが
B:このボタンを押せばつきますよ

◆会話練習
A:もうすぐ春ですね
B:そうですね。春になれば、この辺では花見ができますよ
A:そうですか。楽しみです

Vナイ+なければ、~

- 教える際の留意点-

1.集団授業だと、条件形の変換の定着がまだできていない段階で、この否定形の導入となることが多い。条件形の否定形を入れる事で、肯定形もぐちゃぐちゃになってしまう。個人授業で時間に融通がきくなら、肯定形の定着をしっかりはかってから否定形に入った方がいい。

導入・練習

◆「すれば」と「しなければ」を比較しながら導入
T:明日は台風ですね
S:学校休みですか
T:さあ、どうでしょうね。台風来ます、学校が休みになります。バ形は?
S:来れば、休みになります
T:じゃ来ません・・・?
S:来なければ、休みになりません

T:あれ、メガネメガネ
S:先生、見えませんか
T:はい、私はメガネがあれば、見えます。でも、メガネがなければ、見えません

◆下の表を見ながら活用練習

◆後件作成で、ちゃんと「~ば」を理解しているかを確認。
許可がなければ、ここでは写真が撮れません

はしがありません
働きません
電車に乗りません
ごはんを食べません

この仮定の表現、いわゆる「たらとば」は23課から始まっています。しかし、この仮定を理解できない学習者が多いです。口ではわかったと言っていますが、後件作成で見事に、ばんばん間違えてくれます。テストも酷い有様です。ですので、是非このタイミングで、わかったと言っている学習者に当てて、わかっていないことを自覚させましょう。

◆会話練習
A:すみません。お湯が出ないんですが…
B:左のつまみを回しましたか
A:つまみ?
B:左のつまみを回さねければ、出ませんよ

Aければ・Na/Nなら、~ 【形容詞・名詞の条件形】

- 教える際の留意点-

1.動詞の条件形の肯定否定が入り、ここでさらに違う形が入る。通常、て形やない形などの「〇〇形」を教える時は動詞の変換のみを教えれば済むのだが、この条件形は形容詞と名詞にもあるので、学習者の変換がぐちゃぐちゃになる。実際、学校で、集団授業をやっているところなら、変換の定着はあきらめざるを得ず、条件形の意味を教えることに専念した方がいいだろう。

2.「なら」の後には読点がある。

1.「Na・Nだったら」は過去形との接続であり、現在形との接続は「Na・Nなら」となる。違いは過去形の方が仮定性が強くなるだけでほぼ同じ。「Na・Nだったら」はL25で既習

  • エアコンが安ければ、買います
  • 給料が高ければ、働けます
  • 日本語が上手なら、~

↑この図のようにして教えるとわかりやすい。「い」のところが全て「ければ」に変換している。

導入・練習

◆「福引」後件は「Nなら、~がもらえます」で固定

T:皆さん、これを知っていますか
S:?
T:これは福引といいます。時々デパートにあります。たくさん買い物をすると、福引券がもらえます。そして、これをします(福引のやり方を簡単に説明する。それから、簡単な絵カードを作っておく。内容は①=ハワイ旅行 ②=ゲーム機 ③=ティッシュ のように、番号と商品を対応させたもの。文字だけでなく、実際のゲーム機の絵などを見せると盛り上がる)。一番、ハワイ旅行です

一番です ハワイ旅行です。
  なら、
T:じゃ、②は?
S:PlayStation8!二番なら、ゲームです
T:じゃ③は?

・・・

◆アルバイト求人情報

T:(先生お手製のアルバイト求人情報を見せる)


S:給料が高い!楽しいです!働きたいです!
T:どんな人なら、働けますか
S:日本語が上手なら、働けます
T:他には?
S:頭がよければ、働けます
後件は「~ば、働けます」で固定して練習すると言いやすい


T:きのうエアコンが壊れました
S:大変ですね。暑いでしょう
T:ええ、とても。今日買いに行きます。でも今月は(財布から6千円出し見せる)
S:お金がありませんか
T:ええ、全然ありません。でも暑いですから、安いのは買えます。(★エアコン数種類のPCとその下に値段100万~5千円を見せる)このエアコンは?
S:高いですね
T:100万円、買えません…。あ、このエアコンは?
S:五千円ですから、買えます
T:これは高いですから、買いません。これは安いですから、買います。安ければ、買います。高ければ・・・?
S:買います
T:買いません!
※この条件が難しく、よく理解できない学習者が多い。「高ければ、買う」と言う学習者が多いので、他にも様々な例文などを示し、【前件成立→後件成立】という考え方を示す

◆A・Na・N条件形練習
後件はテクダサイとマショウなどの働きかけと、マスのみで練習する。

T:皆さんは暑いですか、寒いですか
S:暑いです
T:暑ければ、エアコンをつけてください。

おいしければ、もう一つ買ってください。
具合が悪ければ、帰りましょう。
雨なら、やめましょう。

疑問詞+V条件+ばいいですか

 

- 教える際の留意点-

1.「~んですが」で、今の自分の状況を前置きとして説明し、後件で助言を求める用法。

2.L26「~んですが、~たらいいですか」同様、ある状況についてそれを解決するための情報、助言が欲しい時に使う。二つの違いは特にない。

導入・練習

◆復習

T:25課でこれを勉強しました。覚えていますか

駅へ行きたいんですが、どうやって行ったらいいですか。 L25
T:今日はこれを勉強します
駅へ行きたいんですが、どうやって行けばいいですか。 L25

S:先生、何が違いますか
T:同じです

◆文が長いので、まずは前件を省いた形で練習

T:この人は何をしていますか(アルバイトをしている人の写真を見せる)
S:アルバイトをしています
T:見てください。困っていますね。店長に何と言いますか
S:これをどこに置きますか
T:これをどこに置けばいいですか

T:この人は?
S:どれを切ればいいですか

T:日本人は「    ばいいですか。」の前に、これをよく使います

    んですが、    ばいいですか。

T:もう一度見てください。この荷物をお客さんにもらいました
S:この荷物をお客さんにもらったんですが、どこに置けばいいですか

T:これは?
S:この料理を作りたいんですが、どれを切ればいいですか

T:留学試験を受けます
S:留学試験を受けたいんですが、どこで申し込めばいいですか

◆活動PW。『どうすればいいですか』
クラスの国が中国だけなら、「中国の」常識を教えあってもいい(同国でも知らなかったりするので問題ない)

N+なら、~ N4【話題・取り立てのナラ】

- 教える際の留意点-

1.どうしてみん日はこんなにややこしいことをするのかと思うほど、邪魔な文型で、条件の「なら」を教えた後に、この取り立ての「なら」を教えなければならない。用法が異なるので、注意しながら教える必要がある。

2.L26「~んですが、~たらいいですか」同様、ある状況についてそれを解決するための情報、助言が欲しい時に使う。二つの違いは特にない。

導入・練習

◆わかりにくい用法なので、イメージしやすいよう後件を「がいいですよ」に絞ってまずは導入する、それから練習をして、さらに表現を広げて練習する。

T:旅行したいです。どこがいいですが
S:先生!私の国、いいです。ソウル!ハロン湾!長城!
T:旅行なら、ソウルがいいですよ

旅行です なら、ソウルがいいです。
旅行なら、ソウルがいいです。

T:皆さんも日本を旅行したいですか。どこがいいですか
S:富士山!箱根!北海道!
T:旅行なら、~?

 

「なら」の後件は「~がいいですよ」だけではありません。教科書にも「~が有名です」「~はどうですか」「~がいいと思います」があるので、まずは「~がいいですよ」、慣れたら色々置いてみると練習に幅ができて授業が楽しくなります。

 

S:国へ帰る前にお土産を買いたいです。日本のお土産は何がいいですか
T:日本のお土産、扇子が便利ですよ/キットカットがおいしい・有名ですよ/箸が安いですよ

◆教師と学習者で、口頭で応答練習
「~したいんですが…」→「Xなら、Yがいいですよ」
T:S1さんの国の海を見たいんですが
S1:海なら、ハロン湾がいいですよ

T:おいしい物を食べたいんですが
S:おいしい物なら、新大久保がいいですよ

T:私の電話代は毎月7000円です。高いですから、安いケータイを買いたいんですが
S:格安スマホがいいですよ

他:アルバイトをしたい・結婚したい・サッカーをしたい・中国語を勉強したい

◆会話で練習
Bがどうして勧めるのか、その理由をL28「~し~し」で述べる
A:温泉に行きたいんですが、どこかいい所ありませんか
B:温泉なら、雲仙がいいですよ。景色がきれいだし、あまり込んでいませんから
A:そうですか

新出語

かかります:L11時間/お金が L29鍵が L35:電話が

授業記録

 

条件形の呼称

て形はどの先生も呼び方に違いはないが、条件形と辞書形はある。
条件形・ば形
辞書形・る形・フォーマルフォーム
教える前に統一しておく。「条件形」が最も一般的だが、条件という言葉に抵抗感がある学習者もいる。

条件形「と・ば・たら・なら」でナラは他と異なる

①Nに付いて主題を表す 「カキアゲは?」「あいつならもう行ったよ」
主題を表す「は」と比べるとナラは『直前に相手が言及した事物を取り上げる』
②条件を表すナラは『前件が表す事柄の前に後件が表す事柄が起きる』場合がある
後→前「こっちに来るなら電話ちょうだい」
前→後「出かけるならたばこもついでに買って来てよ」
③前件がその場で知った事柄を表し、後件がそれに対する話し手の意志や判断を表す事も
「社長がそう言うんならそうなんでしょ」
④用法の違いに注意
祖父が生きていたなら、今頃・・・(生きていない
彼がいたなら、きっとこう言うだろう(彼はいない
こんなことになるなら、あの時やっておけばよかった(こんなことになっている

考察

たらとば

~と
繰り返し起こる現象 手順(機械の使い方)・道順
後件に「てください・ましょう・なければなりません」など意志のある文は使えない
×駅に着くと、電話してください
×冬休みになると、スキーに行きましょう
〇まっすぐ行くと、郵便局が見えます

たら
条件文のなかで制限が一番緩い
〇歩いて行ったら、1時間かかります
〇暇だったら、手伝ってください
〇1日25時間だったら、どうしますか


仮定と因果関係の用法がある

仮定
〇先生が来なければ、始められません
〇熱がなければ、お風呂に入ってもいいです
A〇今日忙しければ、明日来てください
B×駅に着けば、電話してください
〇お金があれば、買うつもりです
〇寒ければ、窓を閉めてください

因果関係
〇春になれば、桜が咲く
※ABどちらも後件は「てください」で、なぜAはいいのか。それはAは前件の述語が状態の言葉(ある・いる・可能動詞)・形容詞で、Bは動作性だから
?パスポートをなくせば、大使館へ行ってください
?ごはんを食べれば、帰ってください 〇食べたら
後件が無意志ならば、前件が動作性でも可
〇辞書を読めば、わかります
頭がよくなります

「ば」はタラと同じトと違うとは言えず、かなり条件によって変わってくる。そして、それを教えるのは初級では無理。タラトバを教える時は、トはこういう時、バはこういう時に使うと文型に合った用途で説明する

L17なければなりません

この文型をもって「なければいけません」をさらに詳しく説明することで、理解の助けにすることもできるが、できないクラスは余計混乱するので、説明することは避ける。

L33では「なければいけません」=「なければなりません」→「いけません」=「だめ」と教授しているので、さらなる文法オタクには満足のいく説明ができる

たらば

地域的なものかもしれないが、まれにご年配の方が、「~したらば、~だ」のような言い方をするのを聞く。
これは「×駅に着けば、電話してください」とは言えないが、「〇駅に着いたらば、電話してください」と言えることから、どちらかと言うとタラに近いものである

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