「が早いか」【N1】
用法
≪接続≫
V辞書形/Vタ形+が早いか┃以下接続例
V:する+が早いか
V:した+が早いか
A:なし
Na:なし
N:なし
≪意味・使い方≫
Xが早いかY。
- Xの直後にYをする <no sooner do Y after X>
- Yには意志・命令・依頼などや、否定の文は来ない
- 「XとYとどちらが早いかわからない」という、Yの早さを強調する表現
- 「辞書形+が早いか」と「タ形+が早いか」は同じだが、「辞書形+が早いか」のほうがよく使われる
- かたい表現だが、書き言葉でもあまり使われない
1.『みんなの日本語』40課で勉強する「前件が早いか後件が早いかわからない」の「が早いか」
2.後件に自然現象や自発を使うと不自然
?洗濯物を干すが早いか、雨が降りだした
?国の家族に会うが早いか、涙が出てきた
例文
彼は家へ帰るが早いかパソコンの電源を入れる。
満員電車のドアが開くが早いか人が降り出した。
国で大きな地震があったのを聞くが早いか彼は家に電話した。
店が開くが早いか客はセールの売り場に走った。
ベルが鳴るが早いか彼は急いでトイレへ走った。
彼はとてもお腹が空いていたので、座るが早いか、「いただきます」も言わないで食べ始めた。
彼女は食べるものが決まっているから、店に入るが早いかいつもメニューを見ないで注文する。
川で溺れている子どもを見るが早いか、彼は走り出した。
近所の犬は私が近くを通るが早いか、吠えてくる。
類似文型とその違い
「たとたんに」【N3】
「と思うと」【N2】
「か~ないかのうちに」【N2】
「そばから」【N1】
「なり」【N1】
「や否や(やいなや)」【N1】
「が早いか」を含め、これらはすべて「XたとたんにY」「Xと思うとY」のように使い、「Xの直後にY」という意味を持つ文型で、XとYがほぼ同時に起こることを表します。XとYの主語は同じでも異なっていてもかまいません。
これらの文型は、使う場面やニュアンスが微妙に異なります。
まず、使う場面についてです。「たとたんに」「と思うと」「そばから」は、会話でもよく使われます。「なり」「か~ないかのうちに」は、頻度は高くありませんが会話で使われます。「が早いか」「や否や」はかたい表現、書き言葉として使われますが、「や否や」の方がよく使われます。
次に、それぞれの文型が持つニュアンスです。「たとたんに」は、突然起こったマイナスな変化について言いたいときによく使います。例えば、「彼は就職が決まったとたんに学校を休むようになった」のように使います。
「と思うと」は、XとYが反対の行為である時によく使います。例えば「彼は怒ったかと思うと笑いだした」のように使います。自分のことを言うときには使えません。
「か~ないかのうちに」は、これらの文型の中では一番XとYがほぼ同時であることを強調することができます。例えば、「彼は話を聞き終えるか聞き終えないかのうちに、部屋を出た」のように使います。
「が早いか」は、XとYとどちらが早いかわからない、とYの早さを強調することができます。例えば、「ベルが鳴るが早いか彼は急いでトイレへ走った」のように使います。
「そばから」は、何度XをしてもすぐYになってしまう、というマイナスな繰り返しを言うときに使います。例えば、「大切な話を聞いたそばから忘れてしまう」のように使います。
「なり」は、Xの状況のままYをする、というときに使います。Yは話者にとって望ましくないことが多いです。例えば、「彼は授業が始まるなり寝てしまった」のように使います。
「や否や」は、Xが終わるのを待ち構えていた、というニュアンスがあります。例えば、「彼は授業が終わるや否や教室を飛び出した」のように使います。
このように、これらの文型は全て「Xの直後にY」という意味ですが、使う場面やニュアンスが異なります。まとめると以下の通りです。
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