【40課】教案:~か、~かどうか、Vてみます

みんなの日本語 初級II 第二版』完全準拠。
導入や練習の仕方、教師として知っておきたい文型のポイントなどを解説します。

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学習項目

練習A
1.<疑問詞>~か、~
2.~かどうか、~
3.V[テ]みます

教案

新出語彙

久しぶりに助数詞が出てきます。重さや長さの単位も出てくるので、違う単位を使っている国の学習者がいる場合は、1cmや1gがどのくらいなのかも確認しましょう。

★ポイント

  • (問題が)でます:ここでは「出題される」の意味。「出ます」はいろいろ意味があり、とる助詞も様々なので注意。「喫茶店を出ます」(14課)、「大学を出ます」(16課)、「おつりが出ます」(23課)、「試合に出ます」(32課)、「ボーナスが出ます」(42課)、「バスが出ます」(46課)
  • センチ/ミリ/グラム:これ以外の単位は『翻訳・文法解説』の95ページに載っている。ミリはml(ミリリットル)にも当てはまるほか、kmもkgも「キロ」(37課)で通じるなど、日本の生活でよく聞く言い方を教えるのもよい

練習A-1:<疑問詞>~か、~

教科書では「か」の前が4品詞のものを扱っていますが、疑問詞が直接接続することもできます。余裕があれば教えましょう。なお、この「疑問詞+か」は、レポートのタイトルや議論のテーマなどを表すときによく使われます。中級以降、必ず必要になる言い方なので、しっかり練習しましょう。

導入

◆動詞
T:S1さんは昨日たばこを吸いましたか。
S1:はい、たくさん吸いました。
T:何本吸いましたか。
S1:あー1、2、3……わかりません。
T:きのう何本たばこを吸いましたか。わかりません。これを一つの文にします。昨日何本たばこを吸ったか、わかりません。

きのう なんぼん たばこをすった か、わかりません。

T:じゃ、次の漢字のテストはいつですか。
S:わかりません。
T:次の漢字・・・?
S:次の漢字のテストはいつあります、あるか、わかりません?
T:そうです、次の漢字のテストはいつあるか、わかりません。

つぎのかんじのテストは いつ ある か、わかりません。
T:「か」の前は何形?
S:普通形です。
 

文が長く言いにくいので、口が慣れるまでは後件を「わかりません」に固定し練習するとよいです。

◆イ形容詞
T:サッカーボールとバスケットボールと、どちらが大きいですか。
S:ええ!?わかりません。
T:サッカーボールと?
S:サッカーボールとバスケットボールと、どちらが大きいですか、、大きいか、わかりません。
T:そうですね。イ形容詞も普通形です。

サッカーボールとバスケットボールと、どちらが おおきい か、わかりません。

余裕があれば、ついでに「センチ」も導入しましょう。下のサイズはいずれも大人用・男子用です。

S:先生、答えは?
T:サッカーボールは、これ。(22cm、と見せる)何センチですか。
S:にじゅうにセンチです。
T:バスケットボールは、これ。(24.5cm、と見せる)
S:にじゅうよん、ご・・・
T:にじゅうよんてんご、と読みます。何センチ?
S:にじゅうよんてんごセンチ。
T:どちらが大きいか、わかりましたか。
S:はい。バスケットボールのほうが大きいです。
 
◆ナ形容詞、名詞
T:(アルミホイルを見せる)これ、使ったことがありますか。
S:はい、あります。
T:どちらが表ですか。
S:表?わかりません。
T:どちらが?
S:どちらが表だか、わかりません。
T:名詞とな形容詞は、「だ」を使いません。
S:どちらが表か、わかりません。
どちらが おもて か、わかりません。

「どちらが表だかわかりません」という言い方もあるのですが、ここでは教えません。

S:どちらが表ですか。
T:うーん、実は表と裏がありません。どちらも同じです。
S:ええー。
 

◆「わかりません」以外
T:来週、校外学習がありますね。
S:はい。
T:朝、学校じゃなくて、○○駅で集まりますよ。
S:ええ、そうなんですか。
T:どうやって行くかわかりますか。
S:わかりません。
T:じゃ、調べておいてください。

○○えきまで どうやって いく か、しらべておきます。

練習

◆『名詞』と『疑問詞カード(以下のような裏に磁石がついたカード)』をセットにして見せ、文を自由に作らせる

T:旅行、どの
S:どのホテルに泊まるかわかりません。

T:大学、どこ
S:どこの大学に入るか決めていません

T:結婚、いつ
S:先生がいつ結婚するかわかりません

T:S1さん、どうして
S:どうして休んでいるか、わかりますか

練習B-1

◆キュー出しで行う
T:非常口はどこにありますか、確かめておきます。非常口は・・・?
S:非常口はどこにあるか、確かめておきます。(リピート練習)
(同様に1~4も行う)

練習B-2

◆例を確認してから、ペアで練習する

ペアワークのやり方は様々です。まだ文がうまく作れそうにないと感じたら、全体で正しい文を確認してからペアでもう一度練習させてもいいでしょう。また、終わってからTのに続いて全体でリピート練習すると、最後に正しい文を自分の口で練習して終わることができます。

プラスアルファ

疑問詞か、~

T:校外学習、集まる時間は何時ですか。
S:知りません。まだ聞いていません。
T:集まる時間は何時か、まだ聞いていません。

あつまるじかんは なんじ か、まだきいていません。

T:「か」のまえに質問の言葉があってもいいです。

助数詞

助数詞は、「つ、枚、台、人」のみ11課で勉強しています。ここでは、「冊、個、本、杯」と、電車や部屋の「便、号」、単位の「キロ、グラム、センチ、ミリ」を扱います。すべて一度に覚えるのは難しいので、読み方は1~10と「何」を教え、練習は実際の生活で多用する1,2,3(または100,200,300)に重点をおいてやるといいでしょう。

◆冊、個、本、杯
T:ここにCDが何枚ありますか。
S:5枚あります。
T:じゃあ、本は?
S:3・・・
T:さんさつ、あります。本や雑誌は「冊」を使います。
(1~10、何冊を練習)
(同様にほかの助数詞も確認)
※『文型練習帳』p.99で文字で確認可

◆便、号
T:(電光掲示板の写真を見せる)これは何かわかりますか。
S:飛行機の案内です。
T:そうですね。これは?(便名を指す)
S:フライトナンバーです。
T:何と読みますか。
S:えぬだぶりゅー、にじゅうご?
T:日本語は、普通最後に「便」をつけます。
S:エヌダブリューにじゅうごびん。
(同様に号も確認)

◆単位
T:これはなんですか?
S:象です。
T:象は(6000kgと板書する)
S1:6000・・・(キロが言えない)
T:6000キロです。じゃ先生は?(50キロと板書する)
S:50キロです。

★余裕があれば「以上」と「以下」も入れる

助数詞はみん日Ⅰの『翻訳・文法解説』の168-169ページにまとまっています。また、『げんきⅠ』の380-381ページは音韻変化別にまとまっているので、論理的に理解したい学生にはお勧めです。


 

形容詞の名詞化

「高さ、長さ、重さ、大きさ、硬さ」を取り上げましょう。

T:じゃ、これは。(富士山の写真を見せる)
S:富士山です。
T:高さは?
S:え、たか、なんですか。
T:たかさ、です。何メートルですか。
S:3776メートルです。
T:そうですね。富士山の高さは3776メートルです。

ふじさんの たか は 3776メートルです。

T:たかいです、たかさ。「たかいです」はイ形容詞、「たかさ」は名詞です。

T:じゃ、これは?
S:万里の長城です。
T:万里の長城の・・・なが・・・
S:万里の長城の長さは21196キロです。

ばんりのちょうじょうの なが は 21196キロです。

(同様にほかのものも行う)

練習A-2:~かどうか、~

「S1さんがどうして休んだかどうかわかりません」などのような誤用がとにかく多くなります。これは二択あるものを言う時に使う文型なので、疑問詞がない事をよく言っておきましょう。非文を多く見せるのも効果的です。なお、日常では「どうか」を省略することも多々ありますが、ここでは「どうか」をつけて教えます。

導入

◆動詞
T:ごほごほ。
S:先生、大丈夫ですか。
T:風邪かもしれません。
S:病院へ行ってください。
T:うーん、でも風邪じゃないかもしれません。
S:どちらですか。
T:風邪ですか 風邪じゃありませんか わかりません。風邪かどうか、わかりません。

かぜ かどうか、わかりません。

T:風邪ですか 風邪じゃありませんか、風邪かどうか、とても短くて便利ですね。

◆イ形容詞、ナ形容詞、名詞
T:(「カレーラムネ」など、珍しい飲み物を見せる)これを見てください。
S:カレーラムネ?
T:ラムネは、ソーダです。カレー、わかりますか。
S:はい。でもカレーソーダはみたことがありません。おいしいですか。
T:わかりません。飲んだことがありませんから。おいしいか・・・
S:おいしいかどうかわかりません。

おいしい かどうか、わかりません。
T:カレー味だと思いますか。
S:ええ、でもソーダですね。
T:うーん、カレー味・・・
S:カレー味かどうか、わかりません。
カレーあじ かどうか、わかりません。

◆「かどうか」練習。後件は「てください」で固定
下線以外を板書、下線を考えさせる
1時までに 来られるか どうか、友達に聞いてください
荷物が 届いたか どうか、確かめてください
まちがいが ないか どうか、もう一度確認してください
銀行ではんこが 必要か どうか、教えてください
荷物の重さが 軽いか どうか、量ってください

「間違いがあるかどうか」より「間違いがないかどうか」のほうがいいのは、「間違いがない」という前提で物事を進めていて、それを確認してほしい、という気持ちがあるからです。このことは『翻訳・文法解説』p.96でも説明されています。

◆疑問詞をつけないことを確認
T:「田中さんは来るかどうかわかりません」これは何がわかりませんか。
S:田中さんは来ますか、来ませんか。
T:そうですね。じゃ、「田中さんはいつ来るかわかりません」これは?
S:田中さんはいつ来ますか。
T:そう。じゃ、「田中さんはいつ来るかどうかわかりません」これは?
S:???変です。何を聞きたいかわかりません。
T:そうですね。「いつ」は質問の言葉。「かどうか」は「Yes or No」の時に使います。一緒に使えません。

 

〇たなかさんは くる かどうか、わかりません。(きますか、きませんか)
〇たなかさんは いつ くるか、わかりません。(いつ きますか)
×たなさんは いつ くる かどうか、わかりません。

練習B-3

◆キュー出しで行う
T:8時までに来られますか、ミラーさんに聞いてください。8時までに・・・?
S:8時までに来られるかどうか、ミラーさんに聞いてください。(リピート練習)
(同様に1~4も行う)

練習B-4

◆例を確認してから、ペアで行う

質問は「何をしているんですか」で固定します。答えも「~んです」になるよう注意しましょう。

活動:お見合いをします

◆お見合い(未習語なので、簡単に説明する)をすることになったらどうするか、相手に何を聞きたいか考える

活動例:

  • グループで話し合って、出てきたものをまとめて発表する
  • 一人一つ考え、発表/板書してもらう
  • 思いつくだけ紙に書いてもらう

など

例文:

  • 何の仕事をしているか、聞きたいです
  • いつ/何で連絡するのが好きか、知りたいです
  • 初めてのデートでどこへ行くか、調べておきます。
  • 趣味は何か、教えてもらいます。
  • 辛いものが食べられるかどうか、聞きます。
  • 子どもが好きかどうか、聞いておきます。
  • 結婚したことがないかどうか、確認しなければなりません。

 

練習A-3:V[テ]みます

「Vてみます」のバリエーションは「てみたいです」「てみてもいいですか」「てみたら」「てみてください」「てみませんか」「てみたほうがいいです」「てみました」など様々です。

導入

◆試着の場面で導入
T:これは何をしていますか。
S:服を見ています。
T:そうですね。服を買う前に、何をしますか。
S:その服を着ます。
T:その服を着て、帰りますか。
S:いえいえ、その服がいいかどうか、確認だけです。
T:そうですね。その時は、「着てみます」と言います。

ふくを きてみます

S:これは、着ます、じゃなくて、着て、確認します、トライします、の意味です。

 

T:じゃあ、これは?(靴屋で)
S:くつを履いてみます。
T:(電気屋で掃除機を)
S:掃除機を使ってみます。
T:(デパートで試食を)
S:料理を食べてみます。

◆「てみます」のバリエーション
T:じゃ、最初の服屋です。この服を着てみます。店員に何と言いますか。
S:すみません、この服を着てみます。
T:お願いしましょう。いいですか?と聞いてください。
S:この服を着ても・・・?
T:着てみても
S:この服を着てみてもいいですか。

このふくを きてみてもいいですか。

T:「てみます」のところはいろいろな言い方に変えることができます。「着てみてもいいですか」「着てみたいです」「着てみましょう」・・・
S:「着てみたほうがいいです」「着てみませんか」「着てみてください」
T:いいですね!

 

練習B-5

◆拡大した絵を用いて行う
T:(例の絵を見せる)ここは服屋ですね。すみません、この・・・?
S:このズボンをはいてみてもいいですか。(リピート練習)
(同様に1~4も行う)

練習B-6

◆例を確認してから、ペアで練習する

「~かどうか」との組み合わせです。

練習B-7

◆拡大した絵を用いて行う

かなり自由に文を作ることができるので、学生から出る様々な答えを拾い、フィードバックしていきましょう。自分の経験をもとに文を作らせてみても面白いです。

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