「や否や(やいなや)」【N1】
用法
≪接続≫
V辞書形+や否や┃以下接続例
V:する+や否や
A:なし
Na:なし
N:なし
≪意味・使い方≫
Xや否やY。
- Xの直後にYをする <no sooner do Y after X>
- Xが終わるのを待ち構えていた、というニュアンスがある
- Yには意志・命令・依頼などは来ない
1.Xが終わるのが待てない、というイメージがあるので、XとYに関連性がない場合や、不意に起こったことについて使うと不自然になる
例:?仕事が終わり外に出るや否や、雨が降り出した。
例:?ケータイを落とすや否やアラームが止まらなくなった。
例文
彼は部屋に入るや否や、すぐに仕事を始めた。
彼は給料日はいつも仕事が終わるや否やすぐにATMへお金を引き出しに行く。
ジムさんはお母さんの顔を見るや否や、泣き出した。
彼はそのゲームを買うや否や、ずっとそのゲームをし続け、学校に来なくなった。
彼は仕事が終わるや否や、「失礼します!」とオフィスを飛び出していった。
会議が始まるや否や、社長は厳しい口調で語りだした。
先生が退室するや否や、生徒たちはさっそくおしゃべりを始めた。
ゴールが決まるや否や、サポーターたちは歓声をあげた。
類似文型とその違い
「たとたんに」【N3】
「と思うと」【N2】
「か~ないかのうちに」【N2】
「がはやいか」【N1】
「そばから」【N1】
「なり」【N1】
「や否や」を含め、これらはすべて「XたとたんにY」「Xと思うとY」のように使い、「Xの直後にY」という意味を持つ文型で、XとYがほぼ同時に起こることを表します。XとYの主語は同じでも異なっていてもかまいません。
これらの文型は、使う場面やニュアンスが微妙に異なります。
まず、使う場面についてです。「たとたんに」「と思うと」「そばから」は、会話でもよく使われます。「なり」「か~ないかのうちに」は、頻度は高くありませんが会話で使われます。「が早いか」「や否や」はかたい表現、書き言葉として使われますが、「や否や」の方がよく使われます。
次に、それぞれの文型が持つニュアンスです。「たとたんに」は、突然起こったマイナスな変化について言いたいときによく使います。例えば、「彼は就職が決まったとたんに学校を休むようになった」のように使います。
「と思うと」は、XとYが反対の行為である時によく使います。例えば「彼は怒ったかと思うと笑いだした」のように使います。自分のことを言うときには使えません。
「か~ないかのうちに」は、これらの文型の中では一番XとYがほぼ同時であることを強調することができます。例えば、「彼は話を聞き終えるか聞き終えないかのうちに、部屋を出た」のように使います。
「が早いか」は、XとYとどちらが早いかわからない、とYの早さを強調することができます。例えば、「ベルが鳴るが早いか彼は急いでトイレへ走った」のように使います。
「そばから」は、何度XをしてもすぐYになってしまう、というマイナスな繰り返しを言うときに使います。例えば、「大切な話を聞いたそばから忘れてしまう」のように使います。
「なり」は、Xの状況のままYをする、というときに使います。Yは話者にとって望ましくないことが多いです。例えば、「彼は授業が始まるなり寝てしまった」のように使います。
「や否や」は、Xが終わるのを待ち構えていた、というニュアンスがあります。例えば、「彼は授業が終わるや否や教室を飛び出した」のように使います。
このように、これらの文型は全て「Xの直後にY」という意味ですが、使う場面やニュアンスが異なります。まとめると以下の通りです。
- 「XたとたんにY」:突然起こったマイナスな変化<会話◎>
- 「Xと思うとY」:XとYが反対の行為である<会話◎>
- 「XかXないかのうちにY」:XとYがほぼ同時であることを強調<会話〇>
- 「Xが早いかY」:XとYとどちらが早いかわからない<書き△>
- 「XそばからY」:マイナスな繰り返し<会話◎>
- 「XなりY」:Xの状況のままY(話者にとって好ましくない行為)をする<会話〇>
- 「Xや否やY」:Xが終わるのを待ち構えていた<書き◎>
よく一緒に使われる言葉・文型・表現
Xに「終わる」等、Yに「急いで」「すぐに」等
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