完全攻略!意志動詞・無意志動詞とは

意志、無意志?

動詞には人の意志を含むもの、そうでないものとで二分することができます。
「食べる」は意志を含む動詞で意志動詞です。「(雨が)降る」は意志を含まない動詞で無意志動詞です。

それでは簡単なクイズをしてみましょう。「食べる」は意志であり、「食べられる」は無意志です。その下の動詞はそれぞれどちらでしょうか。答えは画像の直下にあります。

答え 左上から始まり、下に進む
いいむいいむむいむいむむいむい

「~になる」

「病気になる」は「病気になってください」と言えないので無意志ですが、「先生になる」は言えるので意志です。
ここで、恐らくこのような人が出てくるでしょう。

「病気になってください」は言えるでしょ?(怒)

学習者にも同じような人がいます。もし学習者に言えるでしょ?(怒)と言われたらこのように説明します。

S1:「病気になってください」は言えるでしょ?(怒)
T:S1さん、今!すぐ!ここへ来てください(S1がTの前に来る)。はい、来ることができます
T:S1さん、今!すぐ!病気になってください。さあ、早く!さあさあ!
T:(空に向かって叫ぶ)雨!降ってください!すぐ降ってください!

これでだいたい納得します。意志の説明としては適当ではありませんが、意志の所在について初級段階では詳しく説明することは間接法でもない限り100%不可能なので、このように説明します。

名詞と形容詞は全て意志を含まない

「元気てください」「親切ませんか」「優しましょう」「学習者ませんか」「テレビてください」
全て✕です。名詞や形容詞、副詞などもそうですが、それらには意志は含まれていません。

意志が絡む文型

以下はもう少し具体的な例です。

  • L39
    手紙を読んで、(  )
     ×国へ帰りました(意志V
     〇びっくりしました(無意志V
  • L39
    車(  )ように、貯金します
     ×を買う(意志V
     〇が買える(無意志V
  • L42
    車(  )ために、貯金します
     〇を買う(意志V
     ×が買える(無意志V

意志表現・無意志表現

意志表現とは、文型に意志を含む表現のことです。「じゃ意志文型と呼べよ」とツッコミが来そうですが、可能動詞などもこれにあたるので、「表現」と呼ぶことにします。

意志表現の一例

  • ~たいです
  • ~ませんか
  • ~ましょう
  • てください

これら意志表現は無意志動詞と使うことができません

✕明日遊びに行きますから、雨が降らないでください
✕今日はとてもいい天気ですから、雨が降れません
✕漢字が書けたいです

この考え方は、あらを探そうと思えばいくらでも探せるということにも留意しなければなりません。「わかる」は無意志ですが、意志表現の「~ませんか」と接続し、「分かりませんか」とすることもできます。しかし、この「ませんか」は誘いと確認の用法があり、確認ならば「わかる」に接続でき、誘いならばできない、など初級でなくとも複雑なことはわかります。あまり深入りはしないことが意志無意志を教える上で重要なことです。

「する」は意志、「した」は無意志

✕ギャンブルのせいで、離婚する
〇ギャンブルのせいで、離婚した

上の2つの文を比べた時、より違和感があるのは「する」が使われた文です。これは文型「せいで」の制限によるもので、「せいで」の後件には意志表現は来ません。これを例えば、

〇ギャンブルのせいで、離婚しそうだ

とすれば違和感のない文となります。
では、なぜ「する」が意志を含み、「した」が含まないのかというと、「した」は単なる事実描写であるからです。

じしょ形・ない形(現在形):これからの行動を表す
た形・~なかった(過去形):完了した行動を表す

「Xする」はそれを書いた人なり言った人が行動を表明することになり、意志を含む表現となるのですが、「Xした」は終わった事実を述べているだけです。

もちろん、じしょ形とない形といっても動詞の性質により意志か無意志かが決定するので、その点は注意してください。例えば、「雨が降る」はじしょ形ですが、前述の通り、無意志です。じしょ形かた形かで見分けるというよりも、その動詞が意志動詞で、かつ現在形なら意志を表し、過去形ならば無意志に変わると覚えておくといいでしょう。

自動詞≠無意志動詞

「自動詞は全て無意志動詞である」と勘違いされている方がいますが、違います。自動詞が多いというだけで、イコールではありません。このように勘違いする学習者も多いので、しっかり違うと言っておかなければなりません。そしてなぜ教師も学習者もこのような勘違いをするのかというと、意志無意志を教え始めるのが、自他動詞を教える時期と重なっているからです。

  • 消えます(電気が)
  • 壊れます(コップが)
  • 折れます(木が)
  • 破れます(紙が)
  • 汚れます(服が)
  • 外れます(ボタンが)
  • やせます

これらは29課で教える自動詞であり、全て無意志動詞です。しかし、

  • 学校へ行く
  • 9時に起きる
  • 部屋で踊る
  • 近所を回る

これらは全て自動詞であり、意志動詞です。他にも「助詞のガが付く言葉は無意志」と勘違いする人もいることに注意です。

関連
移動動詞は自動詞か他動詞か

意志無意志同形

  • ドアが開く ドアを開く
  • 風が吹く 笛を吹く
  • 水が出る 家を出る

他にも数は少ないですが、同形のものがあります。ちなみに3つとも初級で出る単語です。

知っておくことが大事

ひとしきり意志無意志について説明した後、いつものことですが、学習者の顔を見ると生気が抜け切っています。しかし、教師にとって大事なのは知っておくことです。

そして、もし36課の時点で意志無意志について教えるのならかなりレベルの高いクラスでした方が無難でしょう。教えずにやったとしても、この課以降意志・無意志が大活躍してしまうのですが、質問が出る事はあまりありません。

そして、よく可能Vとのみ接続すると教える教師がいますが、危険です。そうすると以下のようなやりとりになってしまいます。

S:わかれるように、勉強します
T:だめ。わかるように
S:どうしてですか。可能動詞でしょ?先生は「可能動詞+ように」と言いました
T:だめなものはだめ
S:はあ?ちゃんと説明しろよ

「わかる・忘れる・(病気に)なる」これらは無意志動詞なので、可能動詞にできません。

かなりレベルの高いクラスですること、と述べましたが、下クラスで教えていても質問はくるときはくるので、常に意志無意志について説明できるようにしておくことが肝要です

それと、文法用語は使わないで教えたいという人もいます。私もその意見には大賛成です。条件や目的、移動、行動、列挙、推測などという文法用語を私は授業では決して使いません。だから、この意志無意志という語を使うことにも抵抗がありますが、言わなければ納得、満足しない学習者がいるのも事実なのです。

まとめ

長くなりましたが、よくわからなかった方は最低でもこれだけは覚えておいてください。

「てください」「ましょう」「たいです」などと接続できるのが意志動詞、しないのが無意志動詞

です。必ずしもそうだとは言い切れませんが、その理由は上で述べてきた通りです。

以上、意志無意志について、できるだけ平たく書いたのですが、いかがでしたか。
何度も推敲し、これでも文字数はかなり抑えたつもりです。頭の中で整理できている人はいいのですが、できていない人は今のその衝撃を覚えておいてください。学習者が意志無意志について初めて説明された時の気持ちがソレです。

学習者にはこのように文字や口頭ではなく、わかりやすく図で示しています。皆さんも是非初級の学習者でもわかるような図を作成してみてください。

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