よくこう相談されます。
「私のクラス/学校は学生のレベル差が激しくて困っています」
私は決まってこう返します。
「どこも同じです」
レベルを揃える難しさ
どこも同じです。私が今まで勤務した学校、聞いた話でも『私の学校は皆いつも同じレベルです』というのは一切ありませんでした。そして今後もないでしょう。
レベルを完璧に揃えるなんてできません。多寡はあれ必ず凸凹になるものです。
そもそも揃えられるのか
細かいところを見ていくとキリがありません。この学生は漢字が弱い、この学生は形容詞の接続が苦手、活用がとびっきりできない、語彙力が乏しい、読解力が低い……。ロボットに教えるのならわかりますが、相手は人です。まったく同じペースで勉強している、してきた、していくわけでは決してありません。
最後の読解などは、日本人でも早い人と遅い人がいます。そこに日本語能力が加わるので、一人一人何が原因(文法のせい、語彙力のせい、読解スキルが備わっていない、根本的に読むのが遅い、など)で読むのが遅いのかを究明していくのは難しいです。学期が3か月で終わるような学校ならば究明している間に先生が変わってしまいます。
どのように対応すればいいのか
細かいところは見ず、もっと大きな視点でクラスを眺めてみましょう。
つまり、N3を持っていなくて、N2を取りたい人が集まるクラスならば、それはもうレベルが揃っている、と言ってしまわないと仕方がありません。
先述した、「この学生は形容詞の接続が苦手」「活用ができない」「語彙力が」「読解力が」と見ていき、それをクラス分けの基準にしていたら、クラスなんか編成できません。
「差がある」「教えにくい」と嘆くよりも、「目標は同じだから大丈夫!皆だいたい同じ!」とポジティブに考えた方がいいです。
クラス編成
「N3を持っていなくてN2を取りたい人が集まるクラス」ならばまだマシです。酷い学校だと、
- 「N2を持っていないので、N2クラスに入っている人」
- 「N2を持っているが、N1クラスがいっぱい、もしくはN1を教えられる教師がいないためN2クラスに入れられた人」
この2つが混在したクラスもあります。教師の数が足りないのにも関わらず、学生をじゃんじゃん入れるバカな経営者がいる学校です。さらに劣悪な「EJUを目指す学生」と「JLPTを目指す学生」がいっしょくたにされているところまであります。
これが本当の、レベル差が激しいクラスです。そんな学校が結構金を持っていて、意外と業界内でも淘汰されず生き残ったりしていたのですが、最近はそういった学校の取り締まりも厳しくなってきているのをご存知かと思います。ニュースでも悪質な斡旋業者として逮捕されています。
参考記事を以下にまとめました。
まとめ
レベル差は必ずあります。ないクラスはほぼありませんが、あるとしたら皆が同じスタートラインにいるゼロ初級ぐらいです。
レベルが進むにつれてそれぞれ力に差が生まれていきます。それは個人の関心や趣向によって異なります。
個別にきめ細かな対応をしなくてもいい、とは言いませんが、気にしすぎもよくありません。学校は集団授業です。プライベートレッスンではないので、ある程度は仕方がないとあきらめることも必要です。
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