「たりとも~ない」「といえども~ない」【N1】
用法
1+助数詞+たりとも/といえども~ない┃以下接続例
V:なし
A:なし
Na:なし
N:1秒/人/つ+たりとも/といえども~ない
≪意味・使い方≫
Xたりとも/といえどもYない。
- 1XもYない <not even 1X>
- 最低限を表す「~も」に最も近い使い方をする。例:謝罪は一度<たりとも/も>なかった。
- 最低限のものを挙げて、「ひとつもない」と強く全否定する言い方。
- 「Yない」の部分を、単に「ない」とすることもできる。
- 「たりとも~ない」と「といえども~ない」は同じ意味だが、「といえども」はかなり古い言い方で、現在ではほぼ使われない。
1.指示用法「感動のラストを1秒たりとも見逃すな!」のような文の場合は、否定ではなく、話者の聞き手に対する「絶対に~しろ/するな」という意志が表れる
例文
あなたのことを忘れたことなど一瞬たりともない。 (I have never forgotten about you, even for a moment.)
汚職まみれの彼に、もはや一日たりとも政権を担う資格はない。 (He, tainted with corruption, is no longer qualified to hold political power for even a single day.)
一瞬たりとも集中を途切らす事ができない。 (I cannot afford to lose focus even for a moment.)
食事に行こうが旅行に行こうが、彼女には一銭たりとも払わせるつもりはない。 (Whether going out for a meal or on a trip, I have no intention of letting her pay even a single cent.)
懇親会だとか社員旅行だとか、仕事以外で一秒たりとも会社に関わりたくない。 (I don’t want to be involved with the company for even a second outside of work-related events like social gatherings or company trips.)
あの日のことを1日たりとも忘れたことはない。 (I have never forgotten about that day, not even for a single day.)
謝罪は一度たりともなかった。 (There was not even a single apology.)
いまだに一度たりとも同意を得られていません。 (I have yet to receive any agreement, not even once.)
一歩たりとも引かずに戦った。 (I fought without taking a single step back.)
わたしは一円といえども出したくない。 (I don’t want to spend even a single yen.)
1分といえども残業なんてしたくない。 (I don’t want to work overtime, not even for a minute.)
職場外では職場の人とは一秒といえども会いたくない。 (Outside of work, I don’t want to meet any of my colleagues, not even for a second.)
類似文型とその違い
~も【助詞】
「あなたのことを忘れたことなど一日たりともない」と「あなたのことを忘れたことなど一日もない」の違いは非常に微妙で、実際にはほとんど違いがありません。両方の表現は、「一日も忘れていない」という意味で、どちらも「全く」というニュアンスを持ちます。
ただし、微妙なニュアンスの違いとしては、前者の「たりとも」は、特に重要なことや強調すべきことがある場合に使われることが多いという点があります。
つまり、「あなたのことを忘れたことなど一日たりともない」と言うことで、「あなたを本当に大切に思っている」という強い気持ちが表現されます。一方、「一日もない」と言う場合は、より一般的な表現であり、特に強調する必要がない場合に使われることが多いと言えます。
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