教案に”決まった形”というのはないのですが、概ね下記のような形になっています。
教案1課~50課解説はこちら
記載項目
- 授業実施日:授業を実施する日を記載します
- 担当教員名:授業実施者、つまり自分の名前を記載します
- 使用テキスト:主教材(例:『みんなの日本語』)から副教材(例:『聴解トピック50』『みんなで読もう読解初級編』)までを記載します。それから、だいたいどの教科書でも課というものがあるので、それも記載します
- 目標:その日できるようになること、達成すべきこと
- 文型:扱う文型
- 教具:自作のピクチャーカードや文字カード、プロジェクターまで、とにかく”使う物”のことです
- 凡例:略称、記号を教案内で使っている場合は、それらの意味を最初に記載します
教案の書き方例
授業実施日:20XX年8月2日
担当教員名:田中 花子
使用テキスト | 『みんなの日本語 初級Ⅱ 第2版』 第42課 |
目標 | 様々な物の使用用途を説明できる、聞いてわかるようになる |
文型 | Vジの/N+に使います |
教具 | ピクチャーカード(練習B-5) 文字カード(練習B-5) フラッシュカード(じしょ形) 電子辞書、ソムリエナイフ |
凡例 | T:教師の言葉 S:学生の言葉 TS:教師から学生に ST:学生から教師に G:ジェスチャー FC:フラッシュカード PC:絵カード(VPC:動詞絵カード) LC:文字カード WB:ホワイトボード ◆:目標・これからやる事 ★:レアリア |
時間 | 教師と学習者のやりとり | 教具 |
【導入】5分
【練習】10分 |
◆まずは簡単なもので導入後、 T:これは何ですか(電子辞書を見せる) S:電子辞書です T:そうです。これで何をしますか S:言葉を… T:言葉…?しら? S:調べます T:電子辞書は、調べます、使います。WB 電子辞書 は 調べます➔調べる のに使います。 (全体リピート) T:じゃこれは?(ソムリエナイフを見せる) WB T:ここは何形ですか(「調べる」「開ける」を指さす) |
★電子辞書
★ソムリエナイフ
フラッシュカード(じしょ形) |
簡単な流れを示したものですが、書き出しはこんな感じです。文字を消せばフォーマットとしても利用できます。
教案チェック
教案チェックとは、自分が作った教案を上司や同僚に確認してもらうことです。
①:作成
②:提出
③:指導者に赤ペンを入れてもらう
④:赤ペンを訂正し
⑤:再提出
⑥-1:OKをもらう ⑥-2:④に戻る
学校で勤務し始めた頃ならば1カ月から2カ月間、養成講座ならば受講中にこの教案チェックをしてもらいます。その際、提出する形としては上のような丁寧な書き方が望ましいでしょう。
当サイトの教案ページと体裁が違いますが、教案ページのものは全て、誰かに見せるためのものではなく、飽くまで私にとってわかりやすい教案を目指したものです。
それから後述しますが、教案ページには台詞を書いていますが、台詞を書くのを推奨しているわけではなく、わかりやすさを重視して書いてあるだけなのでご注意ください。
教案見ながら授業
教案とは、授業の前に、今日できるようになる事(目標)、時間配分、使用教材、教師と学習者の会話の流れ、学習者が質問するであろう事柄に対する教師の返答とその方法を記したものです。
経験が少ない内は『授業前に予習するための詳細な教案』と『授業中にチラッと見るための簡単な流れを記した教案』を作っておくといいです。
自転車の乗り方と同じで、繰り返しやることで補助(教案)なしでできるようになりますが、どうしても授業中頭が真っ白になるという人もいます。具体的には下のようなものです。昔私が使っていたもので、みんなの日本語1版の2課のものです。
基本:肯定→否定→質問→答え方
2コマ目
A-1
これは<物>です B-1
Q:これは<物>ですか
A:はい、そうです。
A:いいえ、そうじゃありません。B-2
Q:これは何ですか
A:~です◆B-3
3コマ目
A-2
Q:これは<物>ですか、<物>ですか
A:<物>ですB-4
これは<内容>の<物>です
A-3
これは何の<物>ですか◆B-5 ◆C-1
A-4
これは<人>の<物>です
①Q:これは<人>の<物>ですか
A:×
4コマ目
②Q:これはだれの<物>ですか
A:~さんの<物>です◆B-6
A-5
これは<人>のです
A-6
この<物>は<人>のです
◆B-7◆B-8◆C-2
★2課新出語PC★ノート★B-1のPC★「?」カード★B-2のPC★?カード★日本語/英語の辞書★コンピューター/カメラ/時計/自動車の雑誌★各国車のロゴ(日本・韓国・中国・ドイツ・アメリカ)★B-5のPC★C-1のPC★カード★本★かばん★ノート★えんぴつ★人物PC★~先生紙★時計
こういう進行表でおおざっぱにやり方をメモしておけば、次に何をすればいいのか一目でわかります。というか、セリフの書いてあるようなものはもう持って行かない方がいいです。そういう方の授業を個人レッスンでよく拝見するのですが、頼りないというか。一日の授業で話す事全てを台詞におこして、10ページぐらいになってましたが、学生(役の私)よりも、教案を見る時間の方が長く・・・。要はカンペ見ながら授業やっている訳ですから、学生は心配になります。
あるから見る!
なければ見ない!
のです。
それから、各文型ごとに、「これができたら今日は良し!!」という達成すべき目標を作るのもいいかもしれません。それを頭に入れて授業準備をし、後は披露するだけです。
つまり、「次に何をするか」を考えると、①が終わったら②、②が終わったら③・・・と言う風になってしまうので、最初に⑩を決めれば、勝手に②③④⑤…がクリアできます。
人によってやりやすいやり方があると思いますが、私はそんな風にやってますし、初級に限らず、中級も上級も同じようにできると思います。
教案通りやるのもいいですが、学生のおもしろい回答や冗談、発言を授業に入れ込む柔軟性も必要ですので、あまりキツキツで教案は作らず、多少のゆとりも持たせましょう。
教案は授業後に作る
教案というのは飽くまで予想です。学生がこうきたらこう返す、先生がこう言ったら向こうはこう来るという推測を机上で思い描いているに過ぎません。完成度はせいぜい5%ぐらいでしょうか。
では100%に『近づける』にはどうすればいいのでしょうか。それは、授業後に教案を作り直すのです。
推測で書いた教案にリアリティが増します。教案はドラマの台本ではありません。セリフなんか書くのではなく、学生の誤用例や練習中に起こった失敗、ハプニング等々をメモしておくのです。そうすることで同じ過ちを繰り返さずに済みます。まさに転ばぬ先の杖。
どれだけ教本を読破しても、どれだけ先輩に話を聞いても得られないものがあります。それらは実際の授業でしか得られません。
そういう風に考えると宿題の添削もテストの添削も楽しくなります。誤用や間違えやすい助詞などをどこかに記録して、将来自分が同じところを教える際にそれを見て教えるでしょう。学生は先生が『事前に』教えてくれたおかげでテストで、実生活で間違えずに済みます。もちろん宿題でも学生はその間違いをおかさず、先生は添削が楽に、学生は日本語が上手に、といいことずくめです。
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