「かというと」【N1】
用法①:反論
≪接続≫
普通形+かというと┃以下接続例
V:する+かというと
A:おいしい+かというと
Na:にぎやかだ+かというと
N:本だ+かというと
≪意味・使い方≫
XかというとY。
- Xかと聞かれたら、そうではなくYである <when asked if it’s X, it’s Y instead>
- YにはXを否定する内容が入る
1.自分または他人が期待していた状況や結果と実際の状況や結果との間に違いがあることを表す
2.前件と後件は主題が変わってはいけない
例文
退院して、もう大丈夫かというとそうでもない。
日本は安全かというとそうでもない。
彼が無理をしているかというと、そんなことはない。
もう一人前かというとまだ自信はありません。
それを活かせたかというと、できていないのではないだろうか。
ステージに見合うアーティストになれているかというと、まだ鍛えていかなければいけないなと思うところもあります。
日本の教育制度が優秀かというと、必ずしもそうとは言えない。
よく一緒に使われる言葉・文型・表現
Yに「そうでは(も)ない」「そんなことはない」「そうともいえない」など
用法②:説明
≪接続≫
普通形+かというと┃以下接続例
V:する+かというと
A:おいしい+かというと
Na:にぎやかだ+かというと
N:本だ+かというと
≪意味・使い方≫
Xかというと、Y。
- Xについて説明するとYである <to explain about X, Y>
- Xには疑問語(なぜ、どうして、何、等)が使われる
1.構造としては「疑問語+~+か」+「というと」である
2.Xが「なぜ/どうして」であればYは「~からだ」、「どのくらい」であれば「~くらいだ」と、後件の文を前件の疑問語にあわせる必要がある
例文
なぜ飲食店がドリンクを勧めたがるかというと、利益率が高いからだ。
なぜ初級が大事かというと、中級以上はその初級の知識がないとわからないからだ。
なぜその地域の子供が貧困なのかというと、大人達が貧困だからだ。
どうして人が日記をつけるかというと、毎日違う事が起こるからだ。
なぜこのレストランが人気なのかというと、美味しい料理とリーズナブルな値段が魅力的だからだろう。
どうしてこの映画が話題になったのかというと、物語の構成や俳優の演技が素晴らしかったからだと言われている。
私が何を言いたいかというと、これだけでは支援が足りないということです。
何を言いたいかというと、この仕事に対して私たちはもう少し努力すべきだということだ。
毎日どのくらい大変だったかというと、睡眠時間が平均3時間程度だったくらいだ。
よく一緒に使われる言葉・文型・表現
「なぜ~かというと、~からだ」「どうして~かというと、~からだ」「何を言いたいかというと、~ということだ」「どのくらい~かというと、~くらいだ」など
教師用メモ
学習者の誤用例と指導方法
用法①の文作成をさせた際、「彼は音楽のセンスが素晴らしいかというと、曲は素晴らしくない。」「日本の医療制度が先進的かというと、国民の負担も大きいです。」といった、前件と後件が微妙にずれた文が出てきてしまいました。
この用法においては、後件には前件を否定する文が来なければならず、前件と後件で主題が変わってはいけません。単に二つをならべて逆接しているわけではないので、学習者にはその違いをしっかり理解させる必要があります。
コメント