【にほ×ナゾ】解答・解説┃問4~問6

あきのTwitter(@nihonazo)にて、授業で使える謎を制作・紹介しています。

日本語レベル、謎解きレベルも載せておりますので、目安にしてください。

 

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当サイト管理人による、日本語教師養成個人レッスンの詳細はこちら

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問4「「じしょ」はAですか。Bですか。」

日本語レベル:★★★☆☆
謎解きレベル:★★★☆☆

ひらめいた学生に、ヒントを出してもらうのもいいですね。

 

活動例
T :「辞書」は、Aのグループですか。Bのグループですか。
S1:かぜ、くじ、ピアノ、2・・・
T :わかっても、答えを言わないでください。手を挙げてください。
S2:うーん、わかりません。
T: じゃあ、ヒントです。「線」はAのグループ、「鍵」はBのグループですよ。
S1:(……!!)わかりました!
T: S1さん、じゃあ、ほかにAのグループかBのグループのものはありますか。
S1:「ギター」はAで、「橋」はBですね。
S2:ギター、ピアノ、・・・ああ!

解答
A
(Aは「ひく」、Bは「かける」と一緒に使うことば)

解説
日本語にたくさんある、同じ音でも意味が異なることば(同音異義語)と、よく一緒に使うことばの組み合わせ(コロケーション)を使った問題でした。Aのグループのことばはすべて「ひく」と一緒に使うことができて、Bのグループのことばはすべて「かける」と一緒に使うことができます。「辞書」は「辞書をひく」と言えますから、Aが正解でした。

今回の問題は、実施するなら中級レベル位がよいかと思いますが、Bのことばを例えば「保険」「わな」などにすれば、もっと上のレベル向けにすることもできます。
また、全てのコロケーションを知らなくても法則に気づけば問題は解けますし、新しいコロケーションの勉強にもなります。

問5「テニス教室の先生の名前はなんですか。」

日本語レベル:★★☆☆☆
謎解きレベル:★☆☆☆☆

解ける人は、すぐ解けます。

 

活動例
T:問題です。どうぞ。
S:・・・先生の名前はありません。
T:よく読めばわかりますよ。
S:チンさん、リンさん、ジャックさん・・・習っている人です。
T:問題を読みましたか?全部?最初から?
S:(……!!)ああ~わかりました!
T:問題は全部よく読まなければなりませんね。

解答
〇〇〇〇(自分の名前)

解説
質問は「テニス教室の先生の名前はなんですか。」ですが、問題文に「あなたはテニス教室の先生です。」と明記されています。実は、一見読解に見えるこの問題は、問題文と設問さえきちんと読めば、本文に該当する文章は読まなくても答えがわかる問題でした。反対にいえば、いくら本文をじっくり読んでも、問題文を読まなければ絶対に解けません。謎というよりはひっかけ問題のように感じた方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、この「問題文や設問を読む」ということは非常に大切です。何度言っても問題文や設問をないがしろにし、答え方を間違える学生は大勢います。そもそも外国語で書かれた問題文・設問を読むことは労力がいることですし、テストとなればそこに「時間制限」という焦りも加わりますから、読み飛ばしたくなる気持ちもわからないではありません。しかし、せっかく本文が読めていても答え方を間違えてしまっては非常にもったいないです。「問題文や設問をよく読み、だいじにする(=ないがしろにしない)ことの重要性」を、いかに伝えられるかがポイントです。

「問題文→設問→本文」の流れで読解問題に取り組むくせがついている学生は、すぐに答えがわかり、「これが問題?」と思うかもしれません。
この問題の出題意図は「問題文や設問をよく読み、だいじにすることの重要性」を説くところにありますので、すぐ解けた学生に対しても、いま一度その点を認識させるとよいでしょう。

問6「いいカタカナだけよんでください。」

日本語レベル:★☆☆☆☆
謎解きレベル:☆☆☆☆☆

カタカナだと、ちょっと難しいかもしれません。

 

活動例
S:カ、ホ?
T:「ホ」はこうです。(板書)
S:ム…マ…?
T:「ム」はこう、「マ」はこうですね。(板書)
S:カ、メ、り…
T:「り」はカタカナですか。
S:ひらがなです。…カ・メ・ラ!

解答
カメラ

解説
問3のひらがな謎に続くカタカナ謎です。カタカナのほうがむずかしいと感じる学生も多いようです。ハネの有無や字形など、細かいところに注目できるようになるといいですね。
慣れてきたら、学生同士で問題を作らせてもおもしろいかもしれません。

文字を左から右へ読むことは矢印で示していますが、必要であれば補足してください。

【コラム】日本語レベルと謎解きレベル

前回のコラムで謎解きについてお話ししましたが、実際に自分で体を動かしながら謎解きに挑戦できるイベントをご存知でしょうか。最近人気の「リアル脱出ゲーム」というイベントで、そのコンセプトは「自らが物語の主人公になり、さまざまな謎を解いて閉じ込められた部屋や状況から脱出する」というものです。「ひらめき」で謎を解き、脱出できた時の爽快感は、一度体験したら忘れがたいものです。

さて、このリアル脱出ゲームは、ほとんどの公演で「10歳以上」や「15歳以上」と対象年齢が書かれています。なぜこのような表示がされているかというと、前回述べたように、謎解きにはひらめきのほかに「一般的な知識」が必要だからです。それには、日本語だけではなく、英語や算数、地理などの知識も含まれています。これらの知識がないとひらめくことは難しく、ゲームがつまらないものになってしまいます。ですから、対象年齢の提示が必要なのです。

この「にほ×ナゾ」では、「一般的な知識」を必要とせず、日本語を勉強したからこそひらめくような謎を作っていきたいと思っています。「勉強した日本語を使ってひらめいた」という成功体験は、きっと学習者の記憶に残るでしょう。しかし、あまりに問題が簡単すぎたり難しすぎたりすると、学習者も嫌になってしまいます。「にほ×ナゾ」では、対象年齢のかわりに「日本語レベル」と「謎解きレベル」を提示しています。ただ、このレベルはあくまでも主観的なもので、目安にしかなりません。授業で使われる際には、ぜひその謎がクラスと合っているか、先生ご自身の目で見極めてくださいね。

謎を出題する際は、学習者のレベルにあっているか、しっかり見極めましょう。

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