さ入れ言葉について解説していますが、難しい話もあります。時間がない方は赤い文字の箇所だけお読みください。しっかり理解したい方はここからお読みください。
動詞のグループについて
動詞には3つのグループがあります。あるルールに従ってそのグループは分けられます。
- まず動詞を「ます形(連用形)」にします
読みます 食べます 来ます - マスの前を見ます
読[み]ます 食[べ]ます 来ます(これは覚えるしかありません) - マスの前の文字を伸ばして言った時に[イ]になるものは1グループ(五段活用)で、[エ]になるものは2グループ(一段活用)です※。します・来ますは3グループ(変格活用または、カ変動詞とも)です。
※一段活用には数は少ないですが、例外があり、起きます 見ます 借ります います 降ります 浴びます 足ります 着ます などはマスの前が[イ]ですが、2グループです。
さ入れ言葉
「~(さ)せていただきます」というのは聞き手に対して、自分の行為が許可を得られて行ったものであることを表す表現です。
「~(さ)せてください」というのは許可を得る際の丁寧な表現です。
さ入れ言葉の例
- 行かさせていただきます
- 飲まさせていただきます
- 書かさせてください
- 手伝わさせてください
見分け方と原因
以下は、動詞を「~させる(使役と呼びます)」にする場合のルールです。
1グループの動詞:「さ」が不要(一部を除く)
2・3グループの動詞:「さ」が必要
上の4つの例は全て1グループなので、訂正すると以下のようになります。
- 行かさせていただきます ➔行かせて
- 飲まさせていただきます ➔飲ませて
- 書かさせてください ➔書かせて
- 手伝わさせてください ➔手伝わせて
それでは1グループの「話します」はどうなるでしょうか。「話させていただきます」は正しいか正しくないか。
正解は正しいです。使役の作り方を表にしたので、ご覧ください。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲはそれぞれグループを表します。
表の見方は、ⅡとⅢは見ればわかると思います。Ⅰは「ます」の前が「い・き・し・ち・に・ひ・み・り」のイ段のどれかなので、それをア段に変えればいいだけです。
- 取ります➔取ら+せます
- 行きます➔行か+せます
といった具合です。
話を「話します」に戻して、さきほど 1グループの動詞:「さ」が不要 と書きましたが、動詞の「ます」の前が「し」の動詞は上の使役の作り方に則り、「し」が「さ」になります。
動詞の「ます」の前が「し」の動詞の「させていただきます」の作り方
- 話します➔話さ ます➔話さ せていただきます
- 出します➔出さ ます➔出さ せていただきます
- 押します➔押さ ます➔押さ せていただきます
- 消します➔消さ ます➔消さ せてください
- 下ろします➔下ろさ ます➔下ろさ せてください
- 返します➔返さ ます➔返さ せてください
2・3グループの「させていただきます」の作り方
これは簡単です。ごちゃごちゃしたルールはありません。上の表を見てもわかる通り語幹に「させ」を加えるだけです。
- 食べ させ ます➔食べ させ ていただきます
- 始め させ ます➔始め させ ていただきます
- かけ させ ます➔かけ させ てください
- 変え させ ます➔変え させ てください
さ入れ言葉のおかしな使用場面
「それでは本日の議題を話させていただきます」
例えばAさんが議題を話そうとした時にBさんやCさんが自分も議題を話したいと挙手、議題を話す人をその場の皆でじゃんけんをして取り合い見事Aさんが皆から話す許可を勝ち取った場合ならばこのセリフは適切です。しかし、議題を話す人は元々決まっているのですから、別に「させて」と言わなくてもいいのです。
「させていただきます」という言い方は
- 自分で判断して行う行為
- 自分が行う事があらかじめ決まっている行為
には使いません。
ではこの場合、どのように言えばいいのか。言い方は様々ありますが、そもそも「議題を話す」というのは少し違和感があります。かといって、「議題を言う」はぶっきらぼうな感じがします。他にも「議題をお知らせします」「議題をお伝えします」「議題を述べます」どれも聞き慣れず、違和感が拭えません。
そこで、動詞を使わないで、以下のように言い方を変えるのもすっきりしていいでしょう。
「本日の議題は、〇〇です。」
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