【JLPT N1】「に即して(にそくして)」

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「に即して(にそくして)」【N1】

用法

≪接続≫
 N+に即して
┃以下接続例
    V:なし
    A:なし
  Na:なし
    N:規則+に即して

≪意味・使い方
 Xに即してY。

  1. Xに従って <in conformance with X>
  2. Xにはルールや事実などが入り、「Xの通りに/Xに合わせてYする」と言うときに使う
  3. Yに名詞が来て名詞修飾の形にする場合は「Xに即したY」となる

例文

介護を受ける人の実態に即して可能なことを精一杯やる。 (We will do our best to accommodate the needs of the people receiving care based on their actual situation.)

障害者差別解消法をガイドラインに即して解説します。 (We will explain the Disability Discrimination Act in accordance with the guidelines.)

アニメの世界の話なのだから、現実に即していなくてもよいのではないか。 (Since this is a story set in the world of anime, it doesn’t necessarily have to adhere to reality.)

来年あたりにはもうちょっと現実に即して適応できているかもしれない。 (By next year, we might be better adapted to the changing reality.)

契約の変更に即して、必要な手続きを踏むべきだ。 (You should follow the necessary procedures in accordance with the contract change.)

会社は環境保護政策に即して、再生可能エネルギーへの投資を増やしている。 (The company is increasing its investment in renewable energy in line with environmental protection policies.)

我々は市場の変化に即して、新製品の開発を計画している。 (We are planning the development of new products in response to changes in the market.)

指示は緊急の状況に即して発せられた。 (The instructions were issued in response to the emergency situation.)

違反行為にはルールに即して罰則が与えられる。 (Violations are subject to penalties in accordance with the rules.)

もっと現代に即した形でアピールしないと、商品の魅力は伝わらない。 (If we don’t appeal in a more contemporary way, the product’s charm won’t come across.)

類似文型とその違い

に則って【N1】
に沿って【N2】
に従って【N3】
(の)通りに【N3】

「~に即して」もふくめ、これらはいずれも「~に合うように」といった意味を表す文型ですが、接続や使える文脈に違いがあります。

まず、接続に関しては、「に則って」「に即して」「に沿って」が名詞のみに、「に従って」は動詞辞書形と名詞に、「通りに」は動詞辞書形とタ形、および名詞に接続します。

次に、5つすべてが共通して使える文脈は、「指針になるもののとおりに~する」というものです。
例:規則(〇に則って 〇に即して 〇に沿って 〇に従って 〇の通りに)処罰する。

ただし、「に則って」「に即して」はかたい言い方で、会話ではあまり使われません。反対に、「に沿って」「に従って」「(の)通りに」はやわらかい言い方なので、かたい文脈ではあまり使われません。したがって、すべて同様に使われる、というわけではなく、その文脈に適した言葉を選ぶ必要があります。
例:被害者団体は、法令(〇に則った 〇に即した △に沿った △に従った △の通りの)対処を要求している。
例:出口は、案内の看板(△に則って △に即して 〇に沿って 〇に従って 〇の通りに)進むと見えてきますよ。

一方の変化や出来事に合わせて何かをする、と言いたい場合には、「に即して」のみ使えます。
例:市場の変化(✕に則って ○に即して ✕に沿って ✕に従って ✕の通りに)新製品を開発する。

また、前件と後件が同時に変化する、と言いたい場合には、「に従って」のみ使えます。
例:台風の接近(✕に則って ✕に即して ✕に沿って 〇に従って ✕の通りに)風が強くなる。

そして、場所を基準にして何かをする、と言いたい場合には、「に沿って」のみ使えます。
例:川(✕に則って ✕に即して 〇に沿って ✕に従って ✕の通りに)道が続いている。

以上のように、これら5つの文型は同じような意味を持っていますが、接続、使える文脈や細かい意味に違いがあります。

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