テレビに映りやすい留学生と、映りにくい優秀な留学生

連日報道される労働環境についてのニュース。労働超過、サビ残、過労死、自殺、この辺の言葉がよくタイトルで見られます。

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当サイト管理人による、日本語教師養成個人レッスンの詳細はこちら

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必要人員数の少なさ

保育士、介護士・看護師、アニメーター、飲食店、コンビニ、配送業、派遣・アルバイトなどは日本において必要な人員が多く、必然的に被害者(当事者の親戚、友人、伴侶まで)が多くなるのです。

被害者が多ければメディアに露出する機会も多くなり、世間にその実態が暴かれる機会も増えます。

  • あの大企業で過労死!
  • あの大企業が残業代未払い!

こんな見出しで。
反対に、被害者が少ないとメディアには取り上げられません。日本語教育業界がいい例です。
しかし、まだ小さな記事であったり、ネットニュースの隅で見られる程度ですが、近年日本語教育業界が取り上げられるようになりはじめました。被害者が増えてきたのです。

日本語教育業界の”被害者”

では、この日本語教育業界の”被害者”とは誰でしょうか。

留学生、日本語学校提訴 学費稼げず滞納「退学は不当」 佐賀地裁 西日本新聞
2017年11月21日

佐賀県鳥栖市の日本語学校で学んでいたスリランカ人留学生の男性(30)が、半年先の学費を滞納したことを理由に退学処分とされ、精神的苦痛を受けたとして学校側に処分取り消しと慰謝料など約254万円を求めて佐賀地裁に提訴した。男性によると、学校側から「月200時間働ける」などと虚偽の説明を受け、多額の借金をして来日したが、実際は入管難民法の就労制限で週28時間しか働けず、学費が払えなくなったという。
引用元:西日本新聞(https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/374783/ )

日本語学校を訴える被害者、留学生は稀です。それを知っている学校側も「どうせあいつらは何も言って来ない」とやりたい放題です。これは佐賀で起こったことですが、日本各地でこのようなことが起こっています。訴えるに至ったのは私が知る限り、これが初です。

もう一つ、テレビで取り上げられた外国人実習生がテレビで取り上げられたものです。こちらは小さな報道ではありません。

長時間労働、賃金不払い…外国人実習生を取り巻く 日本の”実態”とは:ガイアの夜明け テレビ東京
2017年8月1日

「外国人技能実習制度」というシステムのなかで彼らが直面する過酷な労働現場を取材。その実態を明らかにするとともに、外国人労働者と共生を図る企業の取り組みを追う。
コンビニエンスストアや飲食店で目にする、外国人店員の姿。今後、労働人口が減少する日本では、外国人はますます重要な労働力となりつつある。
引用元:テレビ東京( https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/business/entry/2017/014380.html )

仕事中、指が機械に切断され働けなくなったので中国帰れと言われた実習生や、給与の未払分を請求中に全部持って逃げた経営者が印象的でした。
この間はNHKでも特集が組まれていました。この業界のテレビ出演が増えているのを感じます。

以上のように、この業界の被害者とは、日本に来日した外国人のことです。日本語教師も、と言いたいところなのですが、私たちは間接的に被害を受けているに過ぎず、直接的な被害者は彼らなのです。

記者の意図

私の仕事について取材を受けることがあります。以下が聞かれる内容です。

  • あなたの労働環境は?
  • あなたの学校は?
  • あなたはこの現状に対しどうすればいいと思う?

上のように、彼らの質問はだいたい同じです。記者もできるだけ扇動的な記事を書きたいのでしょう。

  • 日本語教師の魅力は?
  • なぜこの仕事を始めたんですか

のような質問はされません。記者(購読者や視聴者)が知りたいのは魅力やきっかけではなく、この業界の闇であり、初めの頃は「なぜそんなネガティブなことばかり聞きたがるのか」と憤りすら感じていましたが、ある時考え方が変わりました。

以前はメディアのエサにすらされなかったこの業界。労働環境の悪さが世間で取り沙汰されるようになったおかげでエサぐらいにはなったのです。まずは現状を世間に認知してもらわなければ始まりません。エサで結構、じゃんじゃん暴いてください。

世間に知ってほしい優秀な留学生の存在

真剣に勉強している留学生は話題になりません。取り上げてもおもしろくないからです。

メディア:これは留学生が頑張って勉強している様子です。とても楽しそうですね。先生まで活き活きしていますよ
視聴者:ふーん

しかし、私が日本人に知ってほしい、メディアに取り上げてほしいのはこのような学習者です。必死で日本語と格闘し、日本で夢を叶えるため努力しています。
この業界の汚いところはメディアにまかせて、私はきれいなところ、記者と世間の興味がない

  • 日本語教師の魅力は?
  • なぜこの仕事を始めたんですか
  • 日本語学習者の目標は?
  • 日本語学習者の様子は?

を伝えていきたいです。

この記事も結局ネガティブなことばかりになりましたが、当サイトでは留学生との何気ない会話授業風景なども書いているので、興味のある方は是非ご覧ください。

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