「に過ぎない」【N2】
≪接続≫
V/Na/N普通形+に過ぎない┃以下接続例
V:する+に過ぎない
A:なし
Na:にぎやかだ(である)+に過ぎない
N:本だ(である)+に過ぎない
≪意味・使い方≫
Xに過ぎない。
- ただXであるだけだ <it’s just/only X>
- その程度だ、それ以上ではない、と、Xの程度の低さを強調するときに使う
- 漢字で書いても、ひらがなで書いてもいい
1.現在形のみに接続すると書いてある参考書もあるが、過去を表す場合は「子どもにすぎなかった」と後ろを変える場合と、「私は当たり前の事をしたにすぎません」の場合と、2つある
2.イ形容詞とも接続するとある参考書もあるが、色々なイ形容詞で文を作ろうとして、できなかった。ある行為(動詞)や事物(名詞)に対しての評価、感想を述べるので、状態を述べるイ形容詞とは相性が悪いからだと思われる。
3.説明が難しい。品詞によって意味も異なってくるため、例文や非文を多く示して掴んでもらうしかない
よく一緒に使われる言葉・文型・表現
「ただの」「ほんの」「わずか」「あくまで」
例文
あの真面目な政治家が国民の金を使ったという話は噂にすぎない。
この問題の答えがわかる人はわずか5%にすぎない。
彼は金持ちではなく、父親が金持ちなのだ。彼は金持ちの息子にすぎない。
それはあくまで推測に過ぎない!断言するのはおかしい!
彼はただの友達にすぎない。
これはただのアイデアにすぎない。
彼の考えはただの空想にすぎない。
私たちの計画はあくまでも予定にすぎない。
私の家はほんの小さなアパートに過ぎない。
この仕事は私にとってただの義務に過ぎない。
類似文型とその違い
「なんか」「なんて」【N3】
「など」【N2】
「くらい」【N3】
「ごとき」「ごとく」【N1】
「にすぎない」を含め、これらはすべて「Xなんか」「Xにすぎない」のように使い、Xを軽視しているという話者の感情を表します。軽視とは、軽く見る、重要だと思わない、大事にあつかわない、という意味です。
これらの文型は、使う場面や直前の品詞などが異なります。
まず、使う場面についてです。「なんか/なんて」「くらい」は、日常会話でよく使われます。「など」は、すこしかしこまった言い方で、あらたまった場面で使われます。「にすぎない」は、書き言葉で使われます。「ごとき」は少し古い表現で、マンガやドラマのセリフとして使われることが多いです。
つぎに、Xに使えることばの品詞についてです。「Xなんか/なんて」「Xなど」は、Xは名詞のみです。例えば、「ピアノの練習なんか/なんてもうやりたくない」「英語であいさつをすることなど容易だ」のように使います。
「Xくらい」は、Xは動詞、イ形容詞、ナ形容詞、名詞です。例えば、「ひらがなを書くくらいできる」「少し体調が悪いくらいでは休めない」「論文は、内容が正確なくらいでは足りず、深い考察が必要だ」「今どきスマホくらい誰でも持っている」のように使います。
「Xにすぎない」は、Xは動詞、ナ形容詞、名詞です。例えば、「日常会話ができるにすぎない」「彼は日本国内でのみ有名にすぎない」「彼はただの友達にすぎない」のように使います。
「Xごとき」は、Xは名詞(おもに人物)のみです。「ごとき」のあとには「が」または「に」が続きます。例えば、「彼ごときが私たちを止めることはできない」のように使います。
最後に、文末に使えるかどうかです。これらの中で、文末に使えるのは「にすぎない」のみです。
例:〇可能性にすぎない。
×可能性なんかだ/などだ。
×可能性くらいだ。
×可能性ごときだ。
このように、これらの文型は全てなにかを軽視しているという話者の感情を表しますが、使う場面や直前の品詞などが異なります。まとめると以下の通りです。
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