『みんなの日本語 初級I 第二版』完全準拠。
導入や練習の仕方、教師として知っておきたい文型のポイントなどを解説します。
学習項目
練習A
1.今〇時〇分です
2.Nは〇曜日です
3.Nは〇時から〇時までです
4.〇時にVます
5.〇時から〇時までVます
6.毎日Vます/昨日Vました
7.Vます/Vません/Vました/Vませんでした
教案
新出語彙
この課では、初めて動詞が出てきます。絵カードを使って導入・練習しましょう。ほかにも、時間に関する言葉や曜日など、覚えなければならない言葉がたくさんあります。のちの練習の中でも、逐一確認しましょう。
練習A-1:今〇時〇分です
導入:〇時/〇分
時計の絵などを使って、時間の言い方を練習します。何度も繰り返し練習しましょう。
フラッシュカードはこちら➔4 FC 助数詞 分 時
★ポイント
・4時=○よじ ×よんじ
・9時=○くじ ×きゅうじ
・0時=れいじ(通常深夜を指す)
・30分=さんじゅっぷん or はん
・「午前/午後」は時間の前につける
・13時=午後1時
『みんなの日本語』では、「10分」は「じゅっぷん」を採用しています(『翻訳・文法解説』166ページには「じっぷん」も記載されています)。なお、練習B等にでてくるのは「5分」と「10分」だけです。細かい「〇分」の言い方の練習は余裕があればでいいでしょう。
練習B-1
◆絵を拡大したものを使い、「〇時です」を答えてもらう
T:(例の絵を見せる)
S:3時です。(リピート練習)
(続けて1~4も行う)
導入:今〇時〇分です
T:今何時ですか。(時計を見る)
S:9時15分です。
T:午前ですか、午後ですか。
S:午前9時15分です。
…ごぜん/ごご 〇じ 〇ふん です。
T:ここは東京です。東京は今午前9時15分です。S1さん、お国はどちらですか。
S1:ベトナムです。
T:ベトナムは今何時ですか。
S1:ベトナムは今午前7時15分です。
T:S1さん、S2さんに。お国は・・・?
S1:お国はどちらですか。
S2:中国です。
S1:中国は今何時ですか。
S2:中国は今午前8時15分です。
(同様に繰り返していく)
練習B-2
◆絵を拡大したものを使用。ペアワークにしてもよい
T:東京は今何時ですか。(リピート練習)
S:午後6時です。(リピート練習)
(続けて1~4を行う)
◆B-2にある地域以外でも行うと練習になる
練習A-2:Nは〇曜日です
導入:曜日、今日・明日・昨日など
カレンダーなどを使って、曜日の言い方と「今日・明日・明後日・昨日・一昨日」を練習します。何度も繰り返し練習しましょう。
げつようび・・・きのう
かようび ・・・きょう
すいようび・・・あした
もくようび・・・あさって
きんようび
どようび
?なんようび
導入:Nは〇曜日です
T:今日は・・・(火曜日を指す)
S:今日は火曜日です。
T:はい。今日は火曜日です。明日は?明日は何曜日ですか。
S:明日は水曜日です。
…~は 〇ようび です。
「昨日は何曜日ですか」と聞きたいところですが、この課は「昨日」は過去形を使うことを特に強調したい課です。「昨日は何曜日ですか」という問い自体は「不変的事実として昨日は何曜日か」という意味ですが、ややこしいので避けたほうが無難です。
導入:助詞「と」(並列)
T:日本語のクラスは何曜日ですか。
S:火曜日、木曜日・・・
T:日本語のクラスは火曜日と木曜日です。
T:(銀行の絵を見せて)これは何ですか。
S:銀行です。
T:(【やすみ:ど・にち】と書いておく)休みはいつですか。
S:土曜日と日曜日です。
T:(美術館の絵を見せて)これはなんですか。
S:美術館です。
T:(【やすみ:げつ・すい】と書いておく)休みはいつですか。
S:月曜日と水曜日です。
4課では、名詞の「休み」と動詞の「休みます」が出てきます。この2つは意外と中級になってもポロっと間違えます。「休み(です)」は名詞であることを強調し、休日や店休日は名詞の「休み」を使うことを確認しておきましょう。
練習B-3
◆絵を拡大したものを使用
T:きょうは何曜日ですか。(リピート練習)
S:火曜日です。(リピート練習)
T:あしたは・・・?(質問を作るよう促す)
S:明日は何曜日ですか。(リピート練習)
T:何曜日ですか?
S:水曜日です。(リピート練習)
(続けて2~4を行う)
練習A-3:Nは〇時から〇時までです
「から」「まで」は<時間>と<場所>の起点と終点を表しますが、4課では<時間>のみを扱います。また、「から」「まで」は常に一緒に使われるわけではなく、練習Cでは「試験は何時からですか。」の形も出ています。
導入
T:日本語のクラスは9時から10時半までです。(時間軸を板書し、起点=「から」/終点=「まで」をはっきり示す)
(銀行の絵を見せて)これは何ですか。
S:銀行です。
T:銀行は何時から何時までですか。
S:8時半から3時までです。
…〇じ から 〇じ まで です。
丁寧に導入したほうがいいクラスの場合は、「~から」➡「~まで」➡「~から~まで」➡「何時から何時まで」と、段階を分けて導入を行います。この課あたりからクラスの差が徐々に出始めますので、学生の理解度を見極めて、導入の速度や練習量をクラスに合わせていきましょう。
練習B-4
◆絵を使用。2人が会話している状況を示すとわかりやすい
T:(銀行の絵を見せる)これは何ですか。
S:銀行です。
T:銀行は何時から何時までですか。(リピート練習)
(【9:00~3:00】を見せる)
S:9時から3時までです。(リピート練習)
T:(郵便局の絵を見せる)これは何ですか。
S:郵便局です。
T:郵便局は・・・?(質問を作るよう促す)
S:郵便局は何時から何時までですか。(リピート練習)
T:(【9:00~5:00】を見せる)
S:9時から5時までです。
(続けて2~4も行う)
「銀行」や「郵便局」などの語彙は、しつこく尋ねその都度思い出させて定着させます。
また、ここでは「午前/午後」を使っていません。質問があれば、常識的に考えて「午前/午後」がわかる場合は省略しても構わない、ということを説明しましょう。
練習C-1
ペアワークで行います。初めにTとSで手本を見せるとよいでしょう。
C-1の型を使って、実際に町にある施設について話させてもいいです。
発展:電話番号
練習BやCには電話番号の言い方はないのですが、「会話」や課末の「問題」には取り上げられています。
今あまり電話は使われませんが、特に日本で生活するなら自分の電話番号を相手に伝えられるようになっておかなければなりませんので、導入しておきましょう。
★ポイント
・「2」は「にい」、ごは「ごお」となる(すべて二拍で読む)
・ハイフンは「の」と読む
・「0」は「ゼロ」「れい」どちらでも読むが、市外局番や「080」は「ゼロ」が一般的
電話番号は大切な個人情報です。クラス内で本当の番号を練習に使う際は十分に注意してください。ショップカードなどを使ってお店の電話番号で練習するのも一つの手です。
「先生の電話番号(連絡先)を教えてください」への対処法はこちら。
練習A-4:〇時にVます
導入:Vます(現在・肯定)
学習項目の動詞が語彙として定着していない場合は、絵カードを使うなどして繰り返し練習します。また、それらが「動詞」であることも確認します。
◆「私は〇時にVます」を導入
T:(「起きます」の絵カードを見せる)これは何ですか。
S:起きます。
T:(【6時(時計)】を見せる)私は6時に起きます。私は、6時に、起きます。
S1さんは?
S1:私は7時に起きます。
T:S2さんは?
S2:私は7時半に起きます。
◆質問文を導入
T:S3さんは?S3さんは、何時に、起きますか。
S3:私は7時15分に起きます。
T:S4さんは、何時に起きますか。
S4:私は6時半に起きます。
◆「毎朝」「今晩」など導入
T:S5さんは、毎朝(指を使って繰り返し、のジェスチャー)何時に起きますか。
S5:私は毎朝6時に起きます。
◆「寝ます」も導入
T:(「寝ます」の絵カードを見せる)これは何ですか。
S:寝ます。
T:(【11時(時計)】を見せる)私は11時に寝ます。私は、11時に、寝ます。
S6さんは?何時に寝ますか。
S6:私は12時に寝ます。
T:S7さんは?毎晩、何時に寝ますか。
S7:私は毎晩1時に寝ます。
T:S8さんは、今晩、何時に寝ますか。
S8:私は今晩10時に寝ます。
◆練習
T:S8さん、S9さんに。(「起きます」の絵と【まいあさ】を見せる)
S8:S9さんは、毎朝何時に起きますか。
S9:私は毎朝6時に起きます。
(何回か繰り返す)
練習B-5
T:(例の絵と【毎朝】を見せる。時間は隠しておく)毎朝何時に起きますか。(リピート練習)
(【7:00】を見せる)
S:7時に起きます。(リピート練習)
T:(1の絵と【毎晩】を見せて)毎晩・・・?(質問を作るよう促す)
S:毎晩何時に寝ますか。(リピート練習)
T:(【11:00】を見せる)
S:11時に寝ます。
(続けて2~4も行う)
練習A-5:〇時から〇時までVます
導入
◆パワーポイントを使うとやりやすい
T:(「勉強します」の絵を見せる)これは何ですか。
S:勉強します。
T:(「田中さん」という架空の人物を設定、絵を見せる)田中さんは、毎晩、勉強します。
毎晩、(アニメーションで【7:00~9:00】を出す)7時から9時まで勉強します。
T:S1さんは、毎晩、何時から、何時まで、勉強しますか。
S1:8時から9時まで勉強します。
この質問では、「勉強しない」という答えも想定されます。否定形はこの段階でまだ触れないほうがいいので、心配な場合は学生に聞かず、いくつか架空の人物の例を見せるだけでもいいです。
練習B-6
◆例を使って変換練習の型を見せてから、ペアで練習する
パワーポイントを使って、AさんとBさんの会話として見せると理解させやすい
T:(Aさんのセリフで)毎晩何時から何時まで勉強しますか。(リピート練習)
(Bさんの上に吹き出しで【7:30~9:30】を出し、セリフで)7時半から9時半まで勉強します。(リピート練習)
ペアワークのやり方は様々です。まだ文がうまく作れそうにないと感じたら、全体で正しい文を確認してからペアでもう一度練習させてもいいでしょう。また、終わってからTのキューに続いて全体でリピート練習すると、最後に正しい文を自分の口で練習して終わることができます。
練習A-7:毎日Vます/昨日Vました
導入:Vました(過去・肯定)
T:(「勉強します」の絵カードを見せる)これは何ですか。
S:勉強します。
T:今日、勉強します。明日、勉強します。昨日、勉強しました。(過去形を強調)毎日、勉強します。
あした べんきょうします。
きのう べんきょうしました。
まいにち べんきょうします。
板書は色を変えるなどするとわかりやすいです。板書が大変ならパワーポイントを使うのがおすすめです。肯定/否定/現在/過去の4色を決めて使い続けることで、学生も視覚的に認知しやすくなると思います。
T:(「働きます」の絵カードを見せる)これは何ですか。
S:働きます。
T:きょう?
S:はたらきます。
T:あした?
S:はたらきます。
T:きのう?
S:はたらきました。
T:まいにち?
S:はたらきます。
練習B-7
T:(例の絵と、【あした】を見せる)あした働きます(リピート練習)
(1の絵と、【毎日】を見せる)毎日・・・(文を作るよう促す)
S:毎日勉強します。(リピート練習)
(続けて2~4も行う)
練習A-7:Vます/Vません/Vました/Vませんでした
導入:Vません(現在・否定)
T:S1さんは、今晩勉強しますか。
S1:はい、勉強します。
T:日曜日、勉強しますか。
S1:いいえ、・・・
T:勉強しません。
S1:いいえ、勉強しません。
にちようび べんきょうしません。
T:S2さんは明日働きますか。
S2:いいえ、働きません。
T:S3さんは今晩8時に寝ますか。
S3:いいえ、8時に寝ません。
導入:Vませんでした(過去・否定)
T:S4さんは、昨日、勉強しましたか。
S4:はい、勉強しました。
T:S5さんは、昨日、勉強しましたか。
S5:いいえ、勉強しません・・・
T:勉強しませんでした。
S5:いいえ、勉強しませんでした。
にちようび べんきょうしません。
きのう べんきょうしました。
きのう べんきょうしませんでした。
「勉強しませんました」にならないよう、注意です。
T:S6さんは昨日働きましたか。
S6:いいえ、働きませんでした。
T:S7さんは昨日9時に寝ましたか。
S7:いいえ、9時に寝ませんでした。
練習:Vます/Vません/Vました/Vませんでした
◆口慣らしの練習
4課の動詞について、「Vます/Vました/Vません/Vませんでした」の形を言わせます。
動詞の絵カードを見せて「今日+○/昨日+×」などとキューを出して練習しましょう。
この練習だと「今日寝ません」や「昨日起きませんでした」といった文ができてしまいます。非現実的な文ですが、そこで学生がクスッと笑えば、この課の学習は成功です。
◆書く練習
『文型練習帳』14ページを使って、書く練習をしましょう。書かせている間、ひらがなが正しいか、活用が正しいかなど、机間巡視でチェックします。終わったら、ホワイトボードに同じ表を書き学生に答えを書かせて添削するなど、必ず正答の提示をします。
使用教材:
練習B-8
T:きょう勉強しますか。(リピート練習)
(【○】のカードを見せる)はい・・・?(答えを言うよう促す)
S:はい、勉強します。(リピート練習)
T:きのう勉強しましたか。(リピート練習)
T:(【×】のカードを見せる)
S:いいえ、勉強しませんでした。(リピート練習)
(続けて1~4を行う)
◆できるクラスなら、絵を提示して質問文を作るところからさせるとよい
T:(【きょう】と「勉強します」の絵を見せる)きょう勉強しますか。(リピート練習)
(【○】のカードを見せる)はい・・・?(答えを言うよう促す)
S:はい、勉強します。(リピート練習)
T:(【きのう】と「勉強します」のカードを見せる)きのう・・・?(質問を作るよう促す)
S:きのう勉強しましたか。(リピート練習)
T:(【×】のカードを見せる)
S:いいえ、勉強しませんでした。(リピート練習)
(続けて1~4を行う)
練習B-9
練習の前に、「〇時に」と「〇時から〇時まで」をもう一度確認します。
T:(「6時( )起きます。」と板書する)これは?6時・・・
S:に!
T:そうです。6時に起きます。質問は?(【?】カードを見せる)
S:何時に起きますか。
T:そうです。何時に起きますか。6時に起きます。
(「9時( )5時( )働きます。」と板書する)これは?
S:9時から5時まで!
T:そうです。質問は?(【?】カードを見せる)
S:何時から何時まで働きますか。
T:そうです。何時から何時まで働きますか。9時から5時まで働きます。
◆例をT→Sで確認した後、ペアで練習
活動:インタビュー
活動の流れ:
1.「あなたの国は今何時ですか」「毎朝何時に起きますか」などの質問と、答えを書く欄があるワークシートを配布。答えの欄には「わたし」と「 さん」がある
2.まず、質問に対して自分の答えを「わたし」の欄に書く。単語だけではなく完全文で書くよう指示する
3.次に、自分の答えが書き終わった人同士で、インタビューしあう
4.相手の答えを自分のシートに書き込む
5.余裕があれば、「~さんの国は今〇時です」などと発表させてもよい
教師用メモ
授業に役立つ資料
この課は、動詞の時制を教える大事な課です。とにかく授業いっぱい時制を意識させ、変換練習に充てましょう。
その際に用いるものとして以下の図と簡単な問題を作ったので、ぜひ活用してください。
問題
「夜」と「晩」の違い
1.夜:日没から日の出まで
晩:日暮れのあと。遅い時間。遅れる、という意味もある(晩婚など)
2.夜⇔昼 晩⇔朝
3.付く言葉が決まっている
○深夜 ×深晩
○夜中 ×晩中
○昼夜 ×昼晩 問わず~
×朝夜 ○朝晩
×三日三夜 ○三日三晩
○今夜 ○今晩
助詞
この課では、いくつか助詞が出てきました。助詞の使い方・用法、説明の仕方などを画像でわかりやすく説明したページを作ったので、ぜひご覧ください。
画像はそのまま授業で使えるので、ご活用ください。
コメント