はじめて中級・上級クラスを担当する先生へ:授業の特徴と効果的な指導法

「知らないから怖い」という言葉があります。初めて中級や上級クラスを担当する際、未知の領域に対する不安を感じるのは自然なことです。

これまで初級クラスしか指導した経験がない先生にとって、中級・上級クラスの授業内容や求められるスキルは大きく異なるかもしれません。この記事では、中級・上級クラスの特徴と、効果的な指導のポイントを解説します。

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中級クラスの特徴と指導のポイント

1. 文型の多さと効率的な指導

中級クラスでは、初級に比べて扱う文型の数が飛躍的に増えます。文型の意味や接続方法に加え、実際の使用場面や例文を提示する必要があります。

初級では一つの文型を丁寧に導入し、意味や接続を説明した後、フラッシュカード(FC)や機械的練習を通じて定着を図りますが、中級では限られた時間内に複数の文型を効率的に教えることが求められます。たとえば、初級で1つの文型に30分かける場合、中級では同じ時間内に3つの文型をカバーできるスピード感が必要です。

指導のポイント:文型指導では、量とスピードを意識しつつ、学生が実践で使えるように具体的な文脈を提供することが重要です。たとえば、「~からといって」のような文型を教える際は、日常会話や試験問題で頻出の使用例を提示すると効果的です。

2. 例文作成の工夫と効率化

中級クラスの準備で特に負担となるのが、適切な例文の作成です。文型にぴったり合った自然な例文を量産するには、時間と工夫が必要です。たとえば、通勤中の電車内でメモを取りながら例文を考える、出先で導入や練習で使えそうなものの写真をとりあえず撮るなど、そういった習慣をつけると効率的に準備を進められます。

おすすめの方法:インターネットを活用して「~からといって」などの文型を検索すると、自然な文脈で使われている例文が多数見つかります。これにより、以下の利点があります:

  • 日本人が実際に使う自然な表現
  • 試験や日常会話で役立つ文脈

こうしたツールを活用することで、準備時間を大幅に短縮し、質の高い例文を提供できます。

3. 試験対策と学生の緊張感

中級クラスは、日本語能力試験(JLPT)や留学試験を目指す学生が多く在籍するレベルです。

文型学習が中心である一方、リスニングや読解などの副教材も活用し、総合的なスキル向上を図ります。学生は試験に向けて高いモチベーションと緊張感を持って授業に臨むため、教師もその期待に応える準備が必要です。

指導のポイント:試験対策を意識した授業設計を行い、学生の学習意欲を維持しましょう。たとえば、模擬試験の問題を活用して文型の使い方を練習することで、実践的な学習環境を提供できます。

4. 質問への対応力

中級になると、学生の質問が格段に増えます。初級では質問自体が少ないか、比較する文型が限られているため、教師への負担は軽めです。しかし、中級では「『内に』と『間に』の違いは?」「『たとたんに』と『が早いか』の使い分けは?」といった具体的な質問が頻発します。これに対応するには、教師自身の知識を深めることが不可欠です。

おすすめの準備:中級向けの参考書(例:中級用参考書)を熟読し、文型の微妙な違いを整理しておきましょう。また、複数の参考書を参照することで、学生の質問に柔軟に対応できる知識を蓄積できます。

5. 中級ならではの授業の楽しさ

中級クラスの準備は大変ですが、教室での実践は非常にやりがいがあります。授業前の雑談やスムーズな導入を通じて、学生との信頼関係を築きやすくなります。

前日は「明日は何を話そうかなあ」と考えるのはなかなか楽しいものがあります。

中級クラスの新たな挑戦:意見表明とアウトプット

中級クラスの大きな特徴は、初級の「インプット中心」から「アウトプット中心」への移行です。

初級では語彙や文法の習得が主目的ですが、中級では学生が学んだ知識を活用して意見を述べたり、討論や作文に取り組む機会が増えます。具体的には、以下のような活動が中心となります:

  • 討論やディベート:相手を説得するスキルや論理的な表現力を養う。
  • 小論文や作文:複雑なテーマについて自分の意見をまとめる。
  • データ分析:グラフや表を読み取り、意見を述べる。

指導のポイント:授業では積極的に学生を巻き込み、クラス全体の参加を促すことで活発な議論を展開しましょう。また、口頭練習を怠らないことが重要です。たとえば、シャドーイングを取り入れることで、イントネーションや発音の精度を高め、ディベートやスピーチでの自信につなげられます。

中級のまとめ:長くなりましたが、中級は初級で獲得した知識を使って様々な事を実践する場、ということです。学生の成長を実感できる瞬間が多く、教師としてのやりがいも大きいでしょう。

上級クラスの特徴と指導のポイント

上級は上記の事を踏まえた授業をします。つまり、もう上記全ての事がほぼ問題なくできるという事を前提にして授業を行います。以下に、上級クラスの特徴と指導のポイントを整理します。

1. 高度なアウトプットの重視

上級クラスでは、ディベート、ディスカッション、プロジェクトワークといった活動を通じて、学生の論理的思考力や社会言語能力を磨きます。中級では文法の細かい誤りは許容される場合もありますが、上級では正確な表現と適切なコミュニケーションが求められます。

指導のポイント:日本語教育能力検定試験で学ぶ「コミュニケーション能力」や「社会言語能力」を意識した授業設計を行いましょう。たとえば、ディベートでは論点の明確さや反論の構成を指導し、学生の表現力を高めます。

2. 学校でしかできない学びの提供

上級クラスの学生は、個人学習で文型や語彙のブラッシュアップが可能なレベルに達しています。そのため、授業では「学校でしかできない学び」を重視しましょう。グループディスカッションやプレゼンテーションなど、対話を通じて成長できる活動を取り入れることが効果的です。

おすすめの活動:プロジェクトワークを通じて、学生が共同で課題に取り組む機会を設けましょう。たとえば、地域の問題をテーマにしたプレゼンテーションや、実際のニュース記事を基にしたディベートなど、実社会とリンクした内容が学生のモチベーションを高めます。

3. 初級・中級・上級の学びの違い

以下の図式で、各レベルの学びの特徴を整理します:

  • 初級:インプット中心(語彙・文法の習得)
  • 中級:インプットとアウトプットのバランス(意見表明や討論の基礎)
  • 上級:高度なアウトプット(論理的表現や社会言語能力の深化)

初級・中級・上級の学びの違い

まとめ:中級・上級クラスを成功させるために

中級・上級クラスは、初級とは異なる準備とスキルが求められますが、学生の成長を間近で感じられるやりがいのある場でもあります。

文型の効率的な指導、例文作成の工夫、試験対策、質問への対応、アウトプット重視の授業設計を通じて、学生の日本語力を最大限に引き出しましょう。初めての挑戦に不安を感じるかもしれませんが、適切な準備と情熱があれば、必ず充実した授業を実現できます。

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