外国人の名前の特徴と呼び方、覚え方

外国人の名前は覚えにくいものです。その国の名前に慣れない内は特に難しいです。私も当時、人生初のクラスで困惑したのをよく覚えています。

当時の私のように、新人が心配するのは「間違って発音したらどうしよう」「苗字で呼ばないといけない国なのかな」「この長い名前はどこからどこまで呼べばいいんだろう」だと思います。これから色々注意点は紹介していきますが、最初に言っておきたいのが、

学習者は優しい

ということです。「先生、ちょっと違う」や「こう呼んでください」と言われることはあっても、怒ることはありません。私も毎学期学習者に確認しています。ですから、あまり肩ひじ張らずにリラックスして呼びましょう。

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外国人の名前は難しい

ベトナム人の名前は特に難解で、発音もローマ字通り(ベトナム語はローマ字を使う)に書いても違う、というより書き表せないようなものもあります。いくつか思いつくものを

フン、ファン、フェン、フィン、フオン、フォン、フェン、フイエン、タン、ティン、ディン、テイン、カン、カイン、キン、ナン、バン、ビン、チン、クン、クィン、クオン、クアン、クエン、グエン、ルオン、リン、ミン、シン、オアン、オアイン、ズン、ズオン、アン、アイン、

これらはベトナム人の名前です。ベトナム人は2013年1月からどっと増え、4月になるとさらに多くのベトナム人流入が始まりました。その際、苦労したのが名前です。様々な国籍の外国人に教えてきましたが、彼らのが特に難しいです。ミャンマー人も少しこれに似ていて、拗音が多いのですが、難しいかもしれません。

しかし、フンとフオンとフォンはわかりにくいですが、日本ならば、祐太と悠斗、勇馬、裕子も同じ事です。

それに名前を覚えないと授業ができないのでやるしかないのです。

どこを読めばいいの?

外国人の名前は国によって長さも発音も呼んでほしい箇所も違います。

発音

よくこんな会話を学期始まりにします。
T:えーっと、フイエンさん
S1:先生、フェンです
T:フェン?さん
S1:違います。フィエン
T:フィエン
S1:違います。フェン
この後もまだまだ続くのですが、最終的に私が言うのは
T:日本人にはちょっと難しいなあ。フイエンさんね

冷たく感じますが、いちいち訂正していたらキリがありません。
ちゃんと発音してほしい気持ちはよくわかります。しかし、外国人の名前は外国人には発音しづらいものです。旅行なり留学なりしたことがある人ならわかると思いますが、日本人の名前を正しく発音してくれる外国人は多くはありません。

「たろ↑お(太郎)」「よっしーださん(吉田さん)」「あけーぃね(あかね)」等々、どれもへんてこなイントネーション、発音ですが、妥協しています。彼らにも妥協してもらうしかありません。仮に先生が正しく発音できたとしても、一歩学校を出れば、バイト先、友達、市役所、様々な場面で日本人に名前を呼ばれます。フイエンと履歴書なりパスポートに書かれているなら、日本人はフイエンと呼びます。

教師が学習者の名前の言い方に”合わせる”のではなく、学習者を日本人の名前の言い方に”合わせてもらう”のです

読む箇所

先生によって全ての名前を呼ぶ人、名前の一部を呼ぶ人といますが、役職にもよりますが、全部覚える必要はありません。
二十文字以上に達する名前の人もいます。名前を全て覚えるのも大変ですが、授業中に読み上げるのも時間がかかります。

多くの場合、学習者に「こう呼んでほしい」と言われる(言われなければこちらから聞く)ので、それだけを覚えれば大丈夫です

同じ名前がいる事に注意

しかし、言いやすく、覚えやすい名前、しかも学習者がそう呼んでほしいという名前、「コウさん」や「キムさん」「グエンさん」などは注意が必要です。他にも似ている名前の人がいる可能性が高いからです。たとえそのクラスにコウさんが一人だったとしても、次のクラスでそのコウさんと別のコウさんが合流することもしばしばです。

私はいつも「コウ」+αで覚えています。例えば、「コウテキさん」、グエンさんも多いので、「グエンティさん」のように覚えます。

しかし、アジア圏ならそれほど長い名前もないので、全部覚えてしまうというのも手です。韓国人と中国人は特に漢字なので非常に覚えやすいです。韓国は苗字で「金(キム)」が多いですが、下の名前は違うことが多いです。中国はバリエーションが多く、漢字の読み方に慣れれば大丈夫です。覚えやすさ、言いやすさでランキングをつけるならば、中国、韓国が個人的には上位です。

コラム

Googleで「苗字の数」と検索すると、以下のようなものが出ます。
韓国  :300
ベトナム:800
日本  :300000

さきほども言いましたが、学習者に「どう呼んでほしいか」を聞きましょう。私は毎学期以下のようなやり取りをして授業を開始しています。

T:どう読むの?
S:バーヴァナ・バーラチャン ドランです

T:どう呼んでほしい?
S:ドランと呼んでください

T:他の先生はどう呼んでるの?
S:ドランです
T:じゃそれでいい?
S:はい

新入生でなければ②が手っ取り早いです。

さらに、これはただ名前を聞いているだけのようですが、簡単なテストにもなっています。ふつう形を理解できるか、一回で聞き取れるか・答えられるか、発音、敬語、性格、授業への姿勢などを調べることができます。

「私の名前は変です、嫌いです」

「私の名前は変です、嫌いです」と上級の学習者に言われたことがあります。外国人の名前を日本“風”に呼ばれるのが気に食わないらしいのです。

「公的な文章は仕方がありません。でも、何かかわいいニックネームを先生、考えてください」とせがまれたので、色々と、私なりにかわいい名前を提案しましたが全却下。

結局「やっぱり今のままでいいです」と言われ、考え損。そもそも日本人の私が考える”かわいい”は彼らにとっては”かわいくない”のです。オノマトペ同様音に対する印象はお国柄なので、私が考えてあげても無駄なのです。

覚え方のコツ

覚え方のコツは2つ。

「休み時間に反復練習をして、数分で覚える」です。席順通りに名前を書いた紙を作り、名前と顔を一致させていく。これを2、3回もすれば覚えられます。

もう一つ、授業初日にクラスの写真を撮り、A4でカラー印刷。名前を書きます。

まとめ

  • 日本人の発音とイントネーションに慣れてもらう
  • 同じ名前に注意する
  • 名前は一部+αで覚える
  • 学習者に名前を聞いてもいい
  • 休み時間に覚える、写真で覚える
  • 学習者は優しい

先にも述べた通り、注意する時、ほめる時、呼ぶ時、集団で雑談する時、学習者の名前を覚えなければ授業も談笑もできないので、名前はクラス運営において非常に重要です

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