というもの
このページでは「というものだ」と「というものではない」の二つの文型について解説する。この二つは、形は単なる肯定・否定で対になっているのだが、用法は単純に反対というわけではないので注意。
「というものだ」用法① 本当に~だ
接続
ふつう形+┃以下接続例
V:する+というものだ
A:難しい+というものだ
Na:元気+というものだ
N:雨+というものだ
意味・使い方
1.本当にXだ。それが本当の/当然のXだ。
2.話者の強い主観を表すので、「1足す1は2というものだ」という文は非文となる。正しくは「1足す1は2だ」である。
3.過去形や否定形はなく、常にこの形。例えば「というものではない」とすると用法が変わってしまう。
4.表現:苦労したかいがあったってもんだ(口語:ってもんだ)
一緒によく使う言葉
「愛情・友情・当然」
例:友達が困っている時に助けるのは当然というものだ。
参考文型:「というものではない N2」
「というものだ」は否定形にすると「というものではない」となるが、それは形の上だけでの話で、意味用法が単純に反対になるわけではない。「というものではない」は「とはいえない」という意味である。
・楽器は習えば自然にできるようになるというものではない
例文
家で家事をするのが女性というものだという考え方が昔はあった。
部下が失敗をしたら、責任を負うのが上司の責任というものだ。
学校に大金を払って学校で寝るのはお金の無駄というものだ。
勝者がいるから敗者がいる。それが勝負というものだ。
A:お母さん、学費や家賃払ってくれてありがとう。 B:子どものために何かするのが親というものだから、気にしないでいいのよ。
デート中はお金を払うのが男ってものでしょ?
それが人の魅力というものだ。
それが公正というものだと思う。
アートとは自己表現であるというものです。
長時間労働はますます酷くなり、労働者もこれが社会というものだと納得している者もいる。
一度倒され、修行し、強くなる!それが主人公というものだ。
家を建てて、子ども生んで、それが幸せ/普通の人生というものだという考え方が昔はあった。
今の子どもは家でゲームばかり。それでは体が強くならないというものだ。
友達が困っている時に助けるのは当然というものだ。
一年で漢字を5000覚えるのは無理というものだ。
初日に遅刻するなんてただのバカというものだ。
「というものだ」用法② 物の説明
接続
ふつう形+┃以下接続例
V:する+というものだ
A:難しい+というものだ
Na:元気+というものだ
N:雨+というものだ
意味・使い方
1.物を説明する際に用いる
例文
これはエアーバッグというもので、安全のためすべての車についています。
この線は「側章」というものらしいです。燕尾服など格式の高い礼服に付いていることがあります。
巷では三連休というものだそうですが、私にはまったく関係ありませんね。
「ものではない」用法
接続
ふつう形+┃以下接続例
V:する+というものではない
A:難しい+というものではない
Na:元気+というものではない
N:雨+というものではない
口語であれば「というものじゃない」となることもある。さらに「というもんじゃない」「ってもんじゃない」という形もある。
意味・使い方
1.Xを一部否定したり、「Xだけではだめだ」という時に用いる
・勉強はすればいいというものではない(ただ勉強するだけではダメ。ちゃんと読解なら読解の解法、聴解なら聴解のをわかっていないとダメ)
比較文型:「わけではない N2」
1.全体の中の一部を否定する言い方
比較文型:「とは限らない N3」
例文
ネットリテラシーって長年ネットやっていれば身につくというものでは全然ない
数が増えすぎると大変なので増えればいいというものではない
正論であれば、犠牲をかまわず断行してよい、というものではない。 ─山岡荘八
だからと言ってテキトーに乗り越えればいいというものではない
「部下の失敗はただ叱れば良いというものではない。失敗を自覚している時には慰めも又必要です。」松下幸之助
情報は武器だ 持っていると良いが多ければ良いというものではない
何でも当事者意識を持てば良いというものではない
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