「たる」【N1】
用法
≪接続≫
N+たる┃以下接続例
V:なし
A:なし
Na:なし
N:王だ+たる
≪意味・使い方≫
XたるY
- Xという立場のY <”Y” in the position of “X”>
- XとYには名詞がきて、「Xという立場のYなら、~は当然だ、~をするべきだ」と、話者の強い判断を言いたいときに使う
- 主に高貴な立場や品格のある人物や物事を形容する際に使われる
- 人について言う場合は「~たる者(もの)」を使う
- かなり文語的な表現で、小説やドラマなどでよく見かける
よく一緒に使われる言葉・文型・表現
「もの」「なければならない」
例:学生たるもの、勉強しなければならない。
例文
王家の娘たるものこのくらい当然です。 (As a princess of the royal family, this is only natural.)
冒険者たるもの一流であれ。 (As an adventurer, aim to be the best.)
男たるもの色恋沙汰に惑わされるな。 (As a man, do not be swayed by love affairs.)
紳士たるもの、普段使いの小物にこそこだわるべし。 (As a gentleman, pay attention to the details of everyday items.)
役者たる者、感謝を一番に表現出来ずにどうする。 (As an actor, how can you not express gratitude first and foremost?)
剣士たるもの、刃物の扱いには慣れていて当然だ。 (As a swordsman, it’s only natural to be skilled with blades.)
監督たるもの、絶対に議論に負けてはならない。 (As a director, you must never lose an argument.)
決闘者たる者ルールとマナーは守りましょう。 (As a duelist, let’s uphold rules and manners.)
執事たるもの、この程度のことができなくては務まりません。 (As a butler, you must be capable of handling tasks like this.)
その男は、知識者たる者が持つべき厳粛な表情をしていた。 (That man had a solemn expression befitting a scholar.)
王としての使命を果たすべき人物たる者、その責任は重い。 (As someone meant to fulfill the duty of a king, the responsibility is heavy.)
彼女は巧妙な策略家たる一面を見せた。 (She showed her skill as a cunning strategist.)
彼は師匠たる存在で、多くの若い芸術家に影響を与えた。 (He served as a master and influenced many young artists.)
類似文型とその違い
「たる」と「ともあろう」は、いずれも古風な表現で、前につく名詞について話者が高く評価しているときに使いますが、微妙なニュアンスの違いがあります。
「たる」は、「~という立場であれば~は当然だ」と、話者の判断を強調する表現です。主に高貴な立場や品格のある人物や物事について使われます。例えば、「一国の王たる者は、国民を守る責務がある」といった形で使われます。現代の日常会話ではあまり使われることはありませんが、文学作品や古典的な文章で見られることがあります。
一方、「ともあろう」は、「~のような立派な立場なら~すべきではない」と、話者のマイナスの感想を述べる表現です。例えば、「一国の王ともあろうお方が、国民を軽んじるとは許せない」といった形で使われます。こちらも、文学作品や古典的な文章で見られます。
これらの表現はどちらも古風であまり日常的には使われませんが、文学的な表現やフォーマルな文書で見かけることがあります。また、使われる文脈によって微妙なニュアンスの違いがありますので、注意が必要です。
参考文型
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