「なしに」「なしで」「ことなしに」【N1】
用法
≪接続≫
V辞書形こと/N+なしに┃以下接続例
V:すること+なしに
A:なし
Na:なし
N:休みだ+なしに/なしで
≪意味・使い方≫
XなしにY。
- XしないでY、XなくY <instead of doing X, do Y.>
- ふつうはXするが、XしないでYする、Xしないでそのままでいる、という意味
- Xの名詞は、動作性のある動詞や、「~する」がつく動詞のみ
- Yが否定の文の場合、「~するには」ということもできる
- 「~なしに」よりも「~なしで」のほうが、くだけた言い方
例文
話し合いなしには問題を解決することはできない。
あのチームは練習なしに試合に出たから、負けた。
今まで一度も借金なしに生きてきたが、カジノで負けて初めて50万円借金をした。
民主主義は批判なしには正常に機能しない。
裁判なしに拘束する強制収容所の設置が断行された。
許可を得ることなしに彼の部屋に入り込んだ。
手を触れることなしに彼の心を感じ取った。
食事をすることなしに仕事に取り組んだ。
彼は休みなしで毎晩働いているから、授業中はいつも寝ている。
経験なしでスキルを磨くことはできない。
類似文型とその違い
「Xなしに」と「Xぬきで」は、どちらも「Xがない状態で」という意味になりますが、使い方やニュアンスが少し違います。
まず、「Xなしに」はXに名詞のほかに「動詞+こと」を入れることができますが、「Xぬきで」はXに名詞しか入れることができません。
- 〇 寝ることなしに働く。
- 〇 食事なしに働く。
- × 寝ることぬきで働く。
- 〇 食事ぬきで働く。
また、「Xなしに」のXの名詞は、動作性のある動詞のみですが、「Xぬきで」のXの名詞は、動作性がなくてもかまいません。
- 〇 休憩なしに勉強する。
- × お酒なしにパーティをする。
- 〇 休憩ぬきで勉強する。
- 〇 お酒ぬきでパーティをする。
次に、「Xなしに」には「ふつうはXするが、Xしない」、「Xぬきで」には「Xを入れない」というニュアンスがあります。したがって、「3時間休憩なしに勉強した」というと、一般的に3時間勉強するならいくらかの休憩時間があってもよいがそれがなかった、というニュアンスになり、「3時間休憩ぬきで勉強した」というと、3時間の勉強時間の中に休憩時間を入れなかった、といったニュアンスになります。
このように、「Xなしに」と「Xぬきで」は意味合いが似ていますが、Xに入る言葉の品詞や名詞の動作性、またニュアンスに違いがあります。
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