名詞修飾節内の主語に付く「の・が」の使い分け

①これは彼作ったケーキです。
②これは彼作ったケーキです。

本来、名詞修飾(22課)節内の主語は上記の①のように「が」になります。日本語教育機関、初級レベルではそのように教えます。

しかし、この「が」は「の」で言い変え可能な場合と言い変えが難しい場合とがあります。初級レベルでもたまにですが、学習者にこれについて聞かれます。

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修飾節内が長いものほどノが使いにくい

まずは例文を見てください。

  • 昨日新宿で新しくできたばかりのおしゃれな若者向けの
    店で買ったはとても可愛いでしょう?

上の文は許容度が低い文です。「昨日新宿で~買った」が「」を修飾しています。このように修飾節内が長いものほど「の」が使いにくくなります。文が長くなる場合は「が」を使った方がより自然に聞こえます。

主語の所有物じゃないものは「の」が使いにくい

主語の所有物じゃないものは「の」が使いにくくなります。許容度で昇順↓

【A】

〇 Aさんが私に書いた地図
✕ Aさんの私に書いた地図

「Aさんの~」でも確かに意味はわかりますが、一瞬戸惑います。地図はもう私のものです。このような文は「Aさんが~」とする方がより自然になります。

【B】

〇 Bさんが私にくれた時計
✕ Bさんの私にくれた時計

上の【A】の例文ですが、地図はAさんが書いたものです。つまりその場で作られたもので、Aさんのものでも、「私」のものでもありません。しかし、【B】の時計はもともとBさんのものです。時計はもう「私」のものになっているので、「Bさんの~」だと許容度がかなり低くなります。個人的には✕としましたが、△、もしくは〇という方もいるかもしれません。

〇 彼が連れて来た人
△ 彼の連れて来た人

連れて来た人は彼の所有物ではありません。

〇 田中さんが旅行した所はイタリアです
△ 田中さんの旅行した所はイタリアです

イタリア=個人の所有物ではない

「彼の私に書いた地図」「彼の私にくれた時計」だと誰のものか判然としない、ということです。

従属節の内と外の関係

「が」と「の」で意味が違う文があるので、以下でそれらを紹介します。

  • 彼が料理を作る音がする

上の文では、料理を作っているのは彼だということがわかります。

  • 彼の料理を作る音がする

作っているのは誰か、誰のための料理かわかりません。いわゆる曖昧文というものです。

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