「くらい」【N3】
用法①:程度
≪接続≫
普通形+くらい┃以下接続例
V:する+くらい
A:おいしい+くらい
Na:にぎやかだな+くらい
N:本だ+くらい
≪意味・使い方≫
XくらいY。
- Xと同じレベルでY <Y is almost at the same level as X>
- ある状態について、どのくらいかを強調したいときに使う
- Xは、話し手の意志がない動詞が多い
1.「これくらいの大きさのカバンが欲しい」の「くらい」と、程度を表すという意味では同じだが、ここでは大きさや重さなどではなく、状態の程度を強調する用例である
よく一緒に使われる言葉・文型・表現
「~たい」
例:叫びたいくらいうれしい
例文
彼女の調子はまあまあです、ちょっと疲れているくらいです。
Her condition is so-so, she’s just a little tired.
天気は晴れていて、暖かいくらいです。
The weather is clear and warm-ish.
締め切りの前は食事もとれないくらい忙しい。
雨が降っていたので、靴がびしょびしょになるくらい濡れた。
彼女は美人だけど、その服装はちょっとだらしなくて、年齢よりもずっと年上に見えるくらいだ。
このバッグはとても軽くて、本当に何も入っていないかと思うくらいだ。
あの人のスピーチは短くて、5分もかからなかったくらいだ。
このプログラムは非常に高速で、数十万件のデータを一瞬で処理するくらいだ。
あのレストランの料理はとても美味しくて、自分で作れるくらい簡単そうだ。
彼女は応募すれば採用されるくらい簡単なモデルの仕事をしている。
試験に落ちて、泣きたいくらいくやしかった。
私たちは10年以上もの付き合いがあるので、家族くらいの仲だ。
私は寒がりで、冷房をつけると冷蔵庫くらいの寒さに感じる。
昨日は暑くて、サウナくらいの蒸し暑さだった。
類似文型とその違い
「くらい」も「ほど」も同じように使うことができますが、「くらい」は程度が高いときにも低い時にも使うことができますが、「ほど」は程度が高い時にのみ使われることが多いです。
例えば、程度が高い場合は、「我慢できないくらいの痛さだ」、「我慢できないほどの痛さだ」のように、どちらも使うことができます。一方で、程度が低い場合は、「我慢できるくらいの痛さだ」とは言いますが、「我慢できるほどの痛さだ」とはあまり言いません。
このように、「くらい」も「ほど」も同じように使うことができますが、使われる場面によっては「ほど」がそぐわない場合があります。
用法②:軽視
≪接続≫
普通形+くらい┃以下接続例
V:する+くらい
A:おいしい+くらい
Na:にぎやかだな+くらい
N:本だ+くらい
≪意味・使い方≫
XくらいY。
- Xはかんたんだ、大切ではない <X is easy, not important>
- Xのことを下に見る、大切に思わない言い方
1.下記の「なんか」と似ていて、入れ替え可能な場合もあるが、出来ない場合も多いので「同じである」とは言わない方がいいt.com/
よく一緒に使われる言葉・文型・表現
「誰でも」「子供でも」
例文
読書くらい誰でもできるでしょう。
パソコン操作くらい子供でもできるはずです。
料理くらい誰でも作れるでしょう。
運動神経が悪くても、自転車の運転くらいできるはずです。
英語の基本文法くらい誰でも知っているでしょう。
誰でもダンスくらい覚えられると思います。
計算が苦手でも、お金の管理くらいできるはずです。
スポーツ観戦くらい誰でも楽しめるでしょう。
体調が悪いくらいで学校は休まない。
ゲームなんて子どもでもできるくらい簡単な趣味だ。
スポーツ選手くらい付き合おうと思えば簡単に付き合えるわ。
その規模のコンサートくらいだれでも主催できるよ。
いまどきスマホくらいだれでも持ってるよ。
外国語を勉強し始めてから1年しか経っていないけど、もう日常会話くらいはできるようになった。
類似文型とその違い
「なんか」「なんて」【N3】
「など」【N2】
「にすぎない」【N2】
「ごとき」【N1】
「くらい」を含め、これらはすべて「Xなんか」「Xにすぎない」のように使い、Xを軽視しているという話者の感情を表します。軽視とは、軽く見る、重要だと思わない、大事にあつかわない、という意味です。
これらの文型は、使う場面や直前の品詞などが異なります。
まず、使う場面についてです。「なんか/なんて」「くらい」は、日常会話でよく使われます。「など」は、すこしかしこまった言い方で、あらたまった場面で使われます。「にすぎない」は、書き言葉で使われます。「ごとき」は少し古い表現で、マンガやドラマのセリフとして使われることが多いです。
つぎに、Xに使えることばの品詞についてです。「Xなんか/なんて」「Xなど」は、Xは名詞のみです。例えば、「ピアノの練習なんか/なんてもうやりたくない」「英語であいさつをすることなど容易だ」のように使います。
「Xくらい」は、Xは動詞、イ形容詞、ナ形容詞、名詞です。例えば、「ひらがなを書くくらいできる」「少し体調が悪いくらいでは休めない」「論文は、内容が正確なくらいでは足りず、深い考察が必要だ」「今どきスマホくらい誰でも持っている」のように使います。
「Xにすぎない」は、Xは動詞、ナ形容詞、名詞です。例えば、「日常会話ができるにすぎない」「彼は日本国内でのみ有名にすぎない」「彼はただの友達にすぎない」のように使います。
「Xごとき」は、Xは名詞(おもに人物)のみです。「ごとき」のあとには「が」または「に」が続きます。例えば、「彼ごときが私たちを止めることはできない」のように使います。
最後に、文末に使えるかどうかです。これらの中で、文末に使えるのは「にすぎない」のみです。
例:〇可能性にすぎない。
×可能性なんかだ/などだ。
×可能性くらいだ。
×可能性ごときだ。
このように、これらの文型は全てなにかを軽視しているという話者の感情を表しますが、使う場面や直前の品詞などが異なります。まとめると以下の通りです。
- 「Xなんか/なんてY」:会話で使う、X→名詞、文末×
- 「XなどY」:あらたまった場面で使う、X→名詞、文末×
- 「XくらいY」:会話で使う、X→動詞・イ形容詞・ナ形容詞・名詞、文末×
- 「Xにすぎない」:書き言葉で使う、X→動詞・ナ形容詞・名詞、文末〇
- 「Xごときが/にY」:マンガやドラマで使う、X→名詞、文末×
参考文型
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