「ともあろう」【N1】
用法
≪接続≫
N+ともあろう┃以下接続例
V:なし
A:なし
Na:なし
N:王だ+ともあろう
≪意味・使い方≫
XともあろうY
- Xのような偉いY <A prestigious Y like X>
- 話者にとってXは敬う対象であり、「偉いXなのだから、~してほしい、~すべきだ/すべきではない」と、マイナスの感想を述べたいときに使う
- 人について言う場合は「~ともあろうお方(かた)」を使うことも多い
- 「XともあろうYが、」と、「が」を付けることが多い
1.皮肉でも使われるが、教授の必要はない。
例:〇〇さんともあろうお方がこんなミスをするんですね。
例文
元ジャーナリストともあろう人がきちんとした言葉が使えないのは悲しいです。 (It is sad to see someone who used to be a journalist unable to use proper language.)
公人ともあろう人が、そんな言葉を遣うなんて…。 (To think that a public figure would use such language…)
首相ともあろう人が持ち出す言葉ではない。 (It’s not the kind of language one would expect from someone who is the Prime Minister.)
先生ともあろうお方がまさか夫婦別姓に賛成されるとは。 (I can’t believe that someone who is or was a teacher would support separate surnames for married couples.)
常務ともあろうお方が約束を破るつもりじゃないでしょうね。 (I hope the executive won’t intend to break the promise.)
一国の主ともあろうお方が一人で各地を回るなど無防備にも程があります。 (It’s quite reckless for someone who is or was the leader of a country to travel around alone without any protection.)
殿下ともあろうお方が情けない。 (It’s pathetic to see someone who is or was a member of the royal family behave like that.)
世界的な著名な料理人ともあろうお方が、なぜメニューの盗用などしたのか。 (Why would someone who is a world-renowned and famous chef resort to menu plagiarism?)
美術の世界で高名な画家ともあろうお方が、贋作の密売に手を貸していたとは信じられない。 (It’s hard to believe that a highly esteemed artist in the world of art would assist in the illegal trade of counterfeit artwork.)
医学界で偉大な功績を持つ研究者ともあろうお方でも、この難病を治す薬を開発できないなんて。 (Even though they are a distinguished researcher in the medical field, it’s disappointing that they couldn’t develop a cure for this difficult disease.)
スポーツマンが目指す最高峰ともあろうオリンピックで、ドーピングが相次いだのは残念だ。 (It’s unfortunate to see doping incidents occur one after another in the Olympic Games, which athletes aspire to reach the pinnacle of.)
類似文型とその違い
「たる」と「ともあろう」は、いずれも古風な表現で、前につく名詞について話者が高く評価しているときに使いますが、微妙なニュアンスの違いがあります。
「たる」は、「~という立場であれば~は当然だ」と、話者の判断を強調する表現です。主に高貴な立場や品格のある人物や物事について使われます。例えば、「一国の王たる者は、国民を守る責務がある」といった形で使われます。現代の日常会話ではあまり使われることはありませんが、文学作品や古典的な文章で見られることがあります。
一方、「ともあろう」は、「~のような立派な立場なら~すべきではない」と、話者のマイナスの感想を述べる表現です。例えば、「一国の王ともあろうお方が、国民を軽んじるとは許せない」といった形で使われます。こちらも、文学作品や古典的な文章で見られます。
これらの表現はどちらも古風であまり日常的には使われませんが、文学的な表現やフォーマルな文書で見かけることがあります。また、使われる文脈によって微妙なニュアンスの違いがありますので、注意が必要です。
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