「あげく」【N2】
用法
≪接続≫
Vタ形/Nの+あげく┃以下接続例
V:した+あげく
A:なし
Na:なし
N:議論の+あげく
≪意味・使い方≫
XあげくY。
- いろいろXしたあとで、Y <After X, Y>
- いろいろXという努力をしたのに、Yという残念な結果になった、と言いたいときに使う。話者の「あーあ、結局だめだったよ」という悔しい気持ちが出る
- Yにはいい事・軽い事は来ない
- Xには時間のかかる動詞、またはする動詞の名詞が来る。1回だけしたことは来ない
×結婚したあげく、離婚した - 漢字で書くと「挙句」となる
1.「あげくの果て(に)」という慣用表現もよく使われる
よく一緒に使われる言葉・文型・表現
「いろいろ」「さんざん」「長い時間」
例:ウエディングドレスをどれにするかいろいろ迷ったあげく、1日では決められなかった。
例文
さんざん走ったあげく間に合わなかった。 (After running frantically, I didn’t make it in time.)
その店を一日中探したあげく、結局見つからなかった。 (After searching for that store all day long, I still couldn’t find it.)
さんざん心配をさせられたあげく、何事もなかったかのように娘は帰ってきた。 (After causing us so much worry, my daughter returned home as if nothing had happened.)
謝らないどころか嘘に嘘をかさねたあげく偉そうにしている。 (After piling lie upon lie without apology and acting arrogantly, he continues to do so.)
長い間の交渉あげく、両国の合意は得られなかった。 (Following lengthy negotiations, an agreement between the two countries could not be reached.)
何度も話し合いを重ねたあげく、二人は離婚を決意した。 (After numerous discussions, the couple decided to divorce.)
大雪が降り続いたあげく、交通機関は麻痺し、都市は孤立した。 (After heavy snowfall, transportation systems were paralyzed, and the city became isolated.)
大規模な調査をしたあげく、たいした成果は得られなかった。 (Following an extensive investigation, no significant results were obtained.)
ウエディングドレスをどれにするかいろいろ迷ったあげく、1日では決められなかった。 (After much deliberation on which wedding dress to choose, I couldn’t make a decision in just one day.)
300億もつぎ込んだビル建設事業は、大金と時間をかけたあげく中止になった。 (The building construction project, which poured in 300 billion yen, ended up being canceled after investing a significant amount of money and time.)
類似文型とその違い
「XあげくY」も「XすえにY」もどちらも「Xの結果、Yになった」と言いたいときに使いますが、使える場面が違います。
「XすえにY」は、Yがプラスの場合でもマイナスの場合でも使えます。対して、「XあげくY」は、Yがマイナスの場合にしか使えません。
例:
さんざん議論した(〇すえに ×あげく)、ついに合意に至った。
さんざん議論した(〇すえに 〇あげく)、結局合意には至らなかった。
このように、「あげく」と「すえに」は、後に続く文がもたらすニュアンスが異なります。
「あげくに」と違いはないと書いてある参考書もありますが、そんなことはありません。
A 10以上もの病院を回ったあげく、ついに彼を治せると言う医者が現れた
B 10以上もの病院を回ったあげく、とうとう彼は息を引き取ってしまった
Aは落ち着きが悪いです。「あげくに」は悪い結果を導くものなので、Bの文が自然です。
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