「にひきかえ」【N1】
用法
≪接続≫
普通形+にひきかえ┃以下接続例
V:する+の+にひきかえ
A:おいしい+の+にひきかえ
Na:にぎやかだな/である+の+にひきかえ
N:去年だ+にひきかえ/である+の+にひきかえ
≪意味・使い方≫
XにひきかえY。
- Xとは全く反対にYだ、Xとは大きく違ってYだ <in contrast to X,Y>
- 「Xは~なのに、Yは~だ」と、Xの事柄に対してYと対比し、不満を述べる場合によく使う
- 事実を描写する文型なので、後件に働きかけ・意志は来ない
- 漢字にするとわかりやすいが、「引き換え」は何かと何かを「交換」「対比」すること。物の場合は「~と引き換える」と助詞「と」を使い、事柄の場合は「~に引き換え」と助詞「に」を使う
- 前の文を受けて、「それにひきかえ」という言い方もある
よく一緒に使われる言葉・文型・表現
Yに「~ときたら」「~といったら」
例:なんで休日は一日があっという間に終わっちゃうんだろう。それにひきかえ平日の長さと言ったら。
例:原さんはあんなにいい人だ。それにひきかえ井上さんのあざとさときたら。
例文
まじめな兄にひきかえ、弟はいつも遊んでばかりいる。 (In contrast to his serious older brother, the younger brother is always playing.)
うちの息子は積極的なのにひきかえ、娘は消極的だ。 (While my son is proactive, my daughter is passive.)
英語にひきかえ日本語ときたら、漢字やカタカナが難しくて嫌になる。 (English, unlike Japanese, can be discouraging with its difficult kanji and katakana.)
田舎の人にひきかえ、都会の人は冷たい。 (Urban dwellers are cold compared to rural folks.)
友達がどんどん結婚していくのにひきかえ、私はまだ独身だ。 (While my friends are getting married one after another, I’m still single.)
うちの父は厳しいのにひきかえ、母は優しい。 (While my father is strict, my mother is gentle.)
去年の能力試験は難しかったのにひきかえ今年のは簡単だった。 (Last year’s proficiency test was difficult; in contrast, this year’s was easy.)
昔の若者はよかった。それにひきかえ今の若者ときたら……。 (The young people of the past were great; in contrast, today’s young people…)
なんで休日は一日があっという間に終わっちゃうんだろう。それにひきかえ平日の長さと言ったらない。 (Why do weekends pass by so quickly, while weekdays seem endless?)
昔の明道祭りは良かった、それにひきかえ今の明道祭りときたら……。 (The old Meidaisai festival was great; in contrast, the current Meidaisai festival…)
原先輩はいい人だよ。それにひきかえ井上先輩のあざとさときたら。 (Harasenpai is a good person, but in contrast, Inouesempai’s behavior is quite calculated.)
類似文型とその違い
「に対して」も「にひきかえ」も、いずれも「反対である」ということを言いたいときに使う文型ですが、込められるニュアンスが違います。
「に対して」は、前と後の事柄を中間的な立場で冷静に対比させるときに使います。一方、「にひきかえ」は、対比した結果個人的な不満がある場合に使う文型です。
例:田舎の人(×に対して ○にひきかえ)、都会の人は冷たい。
この町は昼は人がたくさんいるの(○に対して ×にひきかえ)、夜は静かだ。
このように、個人的な不満がある場合は「にひきかえ」、そうでない場合は「に対して」を使うのが適切です。
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