日本語教育能力検定試験っぽく問題を作ってみました。解説は実際の教育現場で見られる誤用なども交えながら行っています。
問題
次の問題の【 】内に示した観点から見て、他と性質の異なるものを、それぞれ1~3の中から一つずつ選べ。
(1) 【動詞の3分類】
1 起きる 2 切る 3 ある
(2) 【動詞の意志性】
1 いる 2 ある 3 する
(3) 【形容詞】
1 多い 2 少ない 3 小さい
(4) 【形容動詞】
1 元気 2 静か 3 同じ
(5) 【指示詞】
1 あそこにあった本、知らない?
2 あの話が真実かどうかはまだわからない。
3 あれはペテルギウス座です。
(6) 【様態】
1 田中さんは風邪のようです。
2 田中さんは風邪みたいです。
3 田中さんが風邪だそうです。
答えと解説
(1) 【動詞の3分類】
1 起きる 2 切る 3 ある
答えは1です。日本語教育では動詞を3つに分類します。呼び方は機関によって様々ですが、一般的な呼び方は「~グループ」です。最も簡単な見分け方は動詞を「~ない」と否定形にするやり方です。「起きる」は「起きない」で2グループ、「切る」は「切らない」で1グループ、「ある」は「ない」で1グループです。よって、答えは1です。「ある」はよくグループを聞かれるので、すぐに返答できるようにしておくといいでしょう。
(2) 【動詞の意志性】
1 いる 2 ある 3 する
答えは2です。動詞には意志性を含むもの、含まないものがあります。「いる」と「する」はともに意志を含み、「ある」は含みません。詳しくは「完全攻略!意志動詞・無意志動詞とは」を参照のこと。
(3) 【形容詞の分類】
1 多い 2 少ない 3 小さい
答えは3です。「部屋に〇〇机があります」という文で考えます。選択肢の中で〇〇に入れられるのは「小さい」のみです。「多い人が公園にいます」のような誤用はよく見られます。
(4) 【形容動詞】
1 元気 2 静か 3 同じ
答えは3です。まず「彼は〇〇だ」という文で考えます。選択肢全て〇〇に入れられます。次に、「〇〇な彼だ」という文で考えます。選択肢の中で〇〇に入れた際、「〇〇な」となるのは「元気」と「静か」のみで、「同じ」は「同じな」とはなりません。「同じ」が名詞を修飾する時は「な」が取れるのです。これはよく学習者が間違える誤用なので、覚えておくといいでしょう。
(5) 【指示詞】
1 あそこにあった本、知らない?
2 あの話が真実かどうかはまだわからない。
3 あれはペテルギウス座です。
答えは2です。指示詞(これ・あちら・そんな・どの、など)は現場指示型(目前指示用法とも)と文脈的用法(文脈指示用法とも)に分けられます。前者は目の前にあるものを指示する際に、後者は話の中で出てくるものを指示する際に用いられます。1と3の文は目前、2は文脈指示用法です。
(6) 【様態】
1 田中さんは風邪のようです。
2 田中さんは風邪みたいです。
3 田中さんが風邪だそうです。
答えは3です。様態を表す文型はいくつかあります。上の3つの文型がその代表的なものです。「そうです」も「このりんごはおいしそうです」のように様態を表す文型ですが、選択肢3の文は「そうです」の別の用法、伝聞です。ちなみに、「そうです」は様態、直前、推測、伝聞といった、非常に多くの用法があり、日本語学習者が混乱する文型でもあります。また、上の様態を表す3つの文型の内、「ようです」「みたいです」は名詞に接続できますが、「そうです」のみ接続できないことにも留意しなければなりません。
他の問題は検定問題にまとめてあります。
当ページでは、あくまで模擬試験っぽく問題集を作っただけで、難易度は低めです。実際の選択肢は4~5つで、過去問のような難易度はありません。基本的な問題ですが、毎年問われるものを集めています。
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