働きたい留学生と学びたい留学生が混在する”教育”現場

日本語学校は勉強するところ、なのでしょうか。日本語学校の果たす目的とは何なのでしょうか。

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当サイト管理人による、日本語教師養成個人レッスンの詳細はこちら

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日本に滞在する外国人の属性

まずはこちらのデータをご覧ください。日本で働いている外国人の種類です。

  • 高度人材:高い技術や専門性を持つ
  • 留学生週28時間働く事ができる
  • 技能実習生:国際交流の一環とされ、日本へ技能を習得するために、3年間の期限付きで来日している彼らは農業や建設などの分野でフルタイム働く事ができる
  • 日系人:分野や期間の制限なしに働くことが認められている
    国はこの枠組みを拡充していく方針です。
    以上2014年6月12日放送のNHK『クローズアップ現代』( http://www.nhk.or.jp/gendai/digest/gaikokujinrodosha.html )より

混在する2つの目的

外国人の入口の一つとして日本語学校があります。学校が何をする場所なのかは言うまでもありません。そして、そこに出稼ぎ、労働を目的とした外国人が大量流入しているのが日本語教育機関の現実です

学生ビザで入国し、働く。28時間?現場の日本語教師の誰もが知っています。そんなのは建前だということを。留学生も、彼らが働くアルバイト先も、そしてそれを監視する機関すらも知っているのが現実です。

日本は単純労働での来日を許していません。しかし、現在来日している彼らの多く、特に非漢字圏は、実質労働目的です。日本語学校が単純労働者の隠れ蓑になっているのです

原因

これまで何度も見てきました。進学目的で学ぶ留学生が出稼ぎ留学生に染められてだめになっていく姿を。断言しますが、労働目的の学生が悪いのではありません。悪いのは日本です

1.背景
 「留学生30万人計画」は、日本を世界により開かれた国とし、アジア、世界の間のヒト・モノ・カネ、情報の流れを拡大する「グローバル戦略」を展開する一環として、2020年を目途に30万人の留学生受入れを目指すものです。
以上文部科学省、「留学生30万人計画」骨子の策定についてより抜粋

国も必死なのでしょう。日本語教育現場を見ると、目標を達成するためならば手段は選ばないという彼らの本懐が見えてきます。結果として、入ってきている留””生は留””生なのですから。

もう一つ原因として、日本の労働力不足です。外国人に頼らなければ日本が回らないのが現状です。ワークビザで来日した人では足りません。日本人とワークビザ滞在者では足りない部分は留学生で補てんしている訳です。

解決策

簡単です。入国審査を厳しくすればいいだけです。もうホントこれだけなのですが、上述の通り、30万人計画や労働力不足がこれを邪魔します。しかし、近年異常な就労状況と不法滞在の増加により、ある程度は審査が厳格化され始めているようです。

以下、西日本新聞社の留学生の入国審査、法務省厳格化 除籍・退学10人以上の日本語学校に( https://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/article/310972/ )より抜粋

法務省の入国管理当局が2月に入り、中国など5カ国からの留学生について、2015年の除籍・退学者が10人以上となった日本語学校に対し、入国前の審査を厳格化する方針を順次、伝えていることが分かった。留学生の不法な就労や残留の抑止が狙い。・・・
 法務省によると、対象国はほかにベトナム、ネパール、ミャンマー、スリランカ。同省担当者は「5カ国は留学生数が多く、不法残留が増えている。不法就労の情報もある」と説明する。・・・
 入管当局はこれまで、母国からの仕送り能力を審査するため、現地の金融機関の残高証明書などの提出を義務付けてきた。これに加え、7月入学分から、残高の裏付けとなる出入金明細書や預金通帳の写しを新たに提出させることで、審査をより厳格化する。

どうなんでしょうね。結局いたちごっこな気もしますが。

留学の目的は様々です。アニメが好きだから、日本文化を学ぶため、日本でアイドルになりたい、日本の大学で学びたい、漫画を描きたい、電子工学を学びたい・・・色々あるんですが、そこに日本で稼ぎたい」が混ざってしまってはいけないんです

日本語教育機関での常識

食や製造の担い手はもはや外国人がいないと成り立たないのに、日本人は外国人を受け入れようとしません。外国人の悪口をいつも言っている私の大家が住んでいるアパートの近くの店には外国人が常にいます。参政権がないから政治家もどうにかしようとしない。票持たざる者の対応は昔から後回し

日本語教育機関で働いている人の中では常識ですが、留学生の多くは日本語教育機関では仕事の疲れから授業中はほとんど寝ている者が多く、一部では「日本に来る外人は富裕層だ」などと言われています。

誤った考えです。

貧困に苦しむ人は世界中にいます。日本人だって比喩ではなく、”死ぬ”ほど働いています。しかし、だからといって外国人を奴隷制度に組み込んでいいい理由にはなりません。建前と本音を違える日本の技能実習生制度には呆れるばかりです。

「じゃ帰国すれば?なんで来日したの?」

と言う方もいらっしゃるかもしれません。外国人の多くはうまい話を仲介手数料目当ての業者に聞かされ、来日するのです。考えてみてください。来日前に「時給400円、残業代は未払いで、休みは不定期、半年に一回はお約束します。ついでに給料も未払いになりますが日本へ来ませんか」と言われ、来る人がいますか。

日本語学校の存在理由

日本語学校は勉強するところ、とは言い切れません。外国から騙して連れて来た外国人を働かせるための助けを行っている学校は多く、それをどうにかしようと各機関ゆっくり、ゆーっくりと対策を練っているところです。

毎日睡眠時間1、2時間の留学生を起こし、彼らの悲鳴を聞いています。しかし、そんな状況はもう何十年も前から続いていることです。中国人の出稼ぎ時代が終わり、非漢字圏の時代が来たにすぎません。

私ができるのはこうやって文字を書くことぐらいですが、日本がこの状況を打開するために、私はこれからもここでぼやいていこうと思います。

コメント

  1. そうですね。
    留働生……いますいます。
    あっしは、20課辺りから学生に向けて「働くこととは?」というような質問を頻繁にします。
    始めは、目先のお金を稼ぐことしか頭になかった学生も、それは正解じゃ無いことに気付いて考えるようになります。
    そのうちに、1人、また1人と「もっと稼ぐためには、今の日本語力や学歴ではダメだ」ということを口にし始めるヤツが出てきました。
    これは、まだまだ少数派ですが、これからも質問をし続けてみようとおもっています。