【チャート画像】「登録日本語教員」とは?│資格取得方法、ルート一覧、試験、現職者への措置など

令和6年(2024年)4月1日より、「登録日本語教員」の制度が始まりました。

これはなにかというと、簡単に言えば「日本語教員の国家資格」です。

これまで、日本語教師になるために絶対に必要な資格というものは存在せず、言ってみれば「私は日本語教師です」と名乗りさえすれば誰でもなれる状況でした。

それが、この「登録日本語教員」の制度が始まったことにより、いずれはこの国家資格がないと日本語教員にはなれない、国が認定した日本語教育機関では働けない、ということになると予想されます。

「登録日本語教員」制度の意義や目的については文部科学省の通達などを確認していただくとして、ここでは「どうやったら登録日本語教員になれるの?」「どうやって申請するの?「現職者だけど試験は必要なの?」といった疑問にお答えしていきたいと思います。

※この記事は2024年5月末日現在、「文部科学省」および「文化庁」のホームページで確認できる事項をもとに作成しております。各種申請にあたっては、必ずご自身で最新の情報をご確認ください。

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「登録日本語教員」の資格取得までの道のり

登録日本語教員になるためには、「日本語教員試験」の合格と「実践研修」の修了ののち、「登録日本語教員の登録申請」が必要です。

しかし、現職者である、養成講座を出ている、等様々な条件によって、試験や研修が免除されたり、「講習」で代用したりすることができるようになっています。

各ルート一覧

登録日本語教員になるために、下記の9つのルートが用意されています。

「経過措置」とは?
基本的に現職者(現在日本語教師として働いている人)のためのルートで、具体的には平成31年(2019年)以降、法務省告示機関、認定日本語教育機関、大学等で日本語教師として1年間、週1回以上働いたことがある人が対象です。養成講座を出ている場合はCまたはD、日本語教育能力検定試験に合格している場合はEのルートが適応されます。なお、現職者であることの証明として、指定の「在職証明書」の提出が必要です。

まずはご自身が登録日本語教員になるためにはどのルートをたどればいいのか、以下でご確認ください。画像のチャートの下に、もう少し詳しく文章でも記載しています。

なお、ここでのルートの名称は、一部を除き文化庁の「登録日本語教員の登録申請の手引き」をもとにしております。

(1)平成31年(2019年)以降、法務省告示機関、認定日本語教育機関、大学等で日本語教師として1年間、週1以上働いたことがある(現職者である)
  ・はい⇒(7)へ
  ・いいえ⇒(2)へ

(2)養成講座に通っている/いた
  ・はい⇒(5)へ
  ・いいえ⇒(3)へ

(3)これから養成講座に通う予定だ
  ・はい⇒(4)へ
  ・いいえ⇒試験ルート

(4)その養成講座は・・・
  ・登録実践研修機関と登録日本語教員養成機関の登録を受けている⇒養成機関ルート①
  ・登録日本語教員養成機関の登録を受けている⇒養成機関ルート②
  ※実際にこれらのルートが使えるようになるのは令和6年11月以降です

(5)学士以上を持っている(四大卒以上)
  ・はい⇒(6)へ
  ・いいえ⇒試験ルート

(6)その養成講座は・・・
  ・必須の教育内容50項目に対応した日本語教員養成課程(一覧はこちら)⇒経過措置Cルート
  ・上記以外⇒試験ルート

(7)日本語教育能力検定試験に合格した
  ・平成15年(2003年)3月31日以前に合格⇒経過措置E-1ルート
  ・平成15年(2003年)4月1日以降に合格⇒経過措置E-2ルート
  ・いいえ⇒(8)へ

(8)学士以上を持っている(四大卒以上)
  ・はい⇒(9)へ
  ・いいえ⇒経過措置Fルート

(9)養成講座に通っている/いた
  ・はい⇒(10)へ
  ・いいえ⇒経過措置Fルート

(10)その養成講座は・・・
  ・必須の教育内容50項目に対応した日本語教員養成課程(一覧はこちら)⇒経過措置Cルート
  ・平成 12 年報告に対応した養成課程(一覧はこちら)⇒経過措置D-1ルート
  ・法務省告示基準教員要件に該当する養成課程(具体的には示されていません)⇒経過措置D-2ルート
  ・上記以外⇒経過措置Fルート

養成機関ルート①

登録実践研修機関と登録日本語教員養成機関の登録を受けている機関で養成課程を修了した人が対象です。
※実際にこのルートが使えるようになるのは令和6年11月以降です

必須事項
1.応用試験

学士以上を持っておらず、これから養成講座を探す場合は、11月以降にこの条件を満たす機関を探すのが一番効率がいいです。

試験、研修、講習の詳細と登録申請方法はこちら
必要事項、金額、提出書類一覧はこちら

養成機関ルート②

登録日本語教員養成機関の登録を受けている機関で養成課程を修了した人が対象です。
※実際にこのルートが使えるようになるのは令和6年11月以降です

必須事項
1.応用試験
2.実践研修

①との違いは、実践研修が養成講座の内容に含まれているか否かです。

試験、研修、講習の詳細と登録申請方法はこちら
必要事項、金額、提出書類一覧はこちら

試験ルート

現職者ではなく、養成講座も出ていない場合は日本語教員試験に合格することで登録日本語教員になることができます。

必須事項
1.基礎試験
2.応用試験
3.実践研修

養成講座に通っている暇がない場合などでも、独学で試験の合格を目指せます。

試験、研修、講習の詳細と登録申請方法はこちら
必要事項、金額、提出書類一覧はこちら

経過措置Cルート

現職者であるなしにかかわらず、学士以上の学位を持っていて「必須の教育内容50項目に対応した日本語教員養成課程」(一覧はこちら)を修了すればこのルートが適応されます。

必須事項
1.応用試験

現職者でない場合、学士を持っているのであれば、いますぐにでも上記対応の日本語教員養成課程に入れば、応用試験合格のみで登録日本語教員になることができます。

こちらの経過措置の適応期間は令和15年(2033年)3月31日までです。

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経過措置D-1ルート

現職者であり、学士以上の学位を持っていて、「平成 12 年報告に対応した養成課程」(一覧はこちら)を修了すればこのルートが適応されます。

必須事項
1.講習Ⅱ&講習修了認定試験
2.応用試験

「平成 12 年報告に対応した養成課程」は「5区分の教育内容を実施している、現行告示基準教員要件に該当する養成課程」とも表記されています。

こちらの経過措置の適応期間は令和11年(2029年)3月31日までです。

試験、研修、講習の詳細と登録申請方法はこちら
必要事項、金額、提出書類一覧はこちら

経過措置D-2ルート

現職者であり、学士以上の学位を持っていて、「法務省告示基準教員要件に該当する養成課程」を修了すればこのルートが適応されます。

必須事項
1.講習Ⅰ&講習修了認定試験
2.講習Ⅱ&講習修了認定試験
3.応用試験

「法務省告示基準教員要件に該当する養成課程」については、「日本語教育機関の告示基準第一条第一項十三条イ、ロ又はニに該当する養成課程等」となっていますが、具体的な学校名等は示されていませんので、ご自身の出身校が対象かどうかお調べいただく必要があります。

こちらの経過措置の適応期間は令和11年(2029年)3月31日までです。

試験、研修、講習の詳細と登録申請方法はこちら
必要事項、金額、提出書類一覧はこちら

経過措置E-1ルート

現職者であり、昭和62年(1987年)4月1日~平成15年(2003年)3月31日に日本語教育能力検定試験に合格している場合は、このルートが適応されます。

必須事項
1.講習Ⅰ&講習修了認定試験
2.講習Ⅱ&講習修了認定試験

試験が免除される場合でも、「日本語教員試験」への出願は必要です。

こちらの経過措置の適応期間は令和11年(2029年)3月31日までです。

試験、研修、講習の詳細と登録申請方法はこちら
必要事項、金額、提出書類一覧はこちら

経過措置E-2ルート

現職者であり、平成15年(2003年)4月1日~令和6年(2024年)3月31日に日本語教育能力検定試験に合格している場合は、このルートが適応されます。

必須事項
1.講習Ⅱ&講習修了認定試験

試験が免除される場合でも、「日本語教員試験」への出願は必要です。

こちらの経過措置の適応期間は令和11年(2029年)3月31日までです。

試験、研修、講習の詳細と登録申請方法はこちら
必要事項、金額、提出書類一覧はこちら

経過措置Fルート

現職者であり、上記いずれのルートも当てはまらない場合は、このルートが適応されます。

必須事項
1.基礎試験
2.応用試験

こちらの経過措置の適応期間は令和11年(2029年)3月31日までです。

試験、研修、講習の詳細と登録申請方法はこちら
必要事項、金額、提出書類一覧はこちら

試験、研修、講習の詳細と登録申請方法

ここからは、実際に「日本語教員試験」「実践研修」「講習」がどのようなものであるか、および「登録日本語教員」になるための申請方法などを解説します。

日本語教員試験

上記の試験の免除対象者(日本語教育能力検定試験の合格者)であっても、この試験に出願し、免除対象者である証明書を提出して試験の合格証書を入手しなければなりません。

対象ルート
 ・基礎試験+応用試験:試験ルート、経過措置Fルート
 ・応用試験のみ:養成機関ルート①②、経過措置C,D-1,D-2ルート
 ・出願のみ(試験免除):経過措置E-1,E-2ルート

第1回試験日
 令和6年(2024年)11月17日
出願期間
 令和6年(2024年)夏ごろ
受験料
 ・基礎試験+応用試験:18,900円
 ・応用試験のみ:17,300円 
 ・出願のみ(試験免除):5,900円
試験内容(いずれも多肢選択式)
 ・基礎試験:日本語教育を行うために必要な基礎的な知識及び技能について判定
       120分で100問、1問1点(計100点)
 ・応用試験:応用に関する知識及び技能について判定
       聴解50分で50問+読解100分で60問、1問1点(計110点
合格基準
 ・基礎試験:5区分の各区分で6割以上+総合得点で8割以上
 ・応用試験:総合得点で6割以上

この試験を作成するにあたって、試行試験が実施されました。その際の問題のサンプルがこちらで公開されています。その内容を見ると、基礎試験は日本語教育能力検定試験と似たような形式で日本語教育全般についての知識を問うもので、応用試験は実際にクラスで授業を運営する際に直面する問題などについて問うものであることがわかります。

実践研修

対象ルート
 試験ルート、養成機関ルート②

上記ルート対象者のうち、
・日本語教員試験の基礎試験に合格
・登録日本語教員養成機関の養成課程を修了(見込み含)
のいずれかの条件を満たした人が受講の対象となります。

研修は「登録実践研修機関」において行われ、該当機関は令和6年(2024年)11月以降に発表されるようです。また、「登録日本語教員養成機関」についても、令和6年(2024年)11月以降に発表とのことです。

研修機関や費用などはまだ発表になっていないようですので、続報を待ちましょう。

講習

この講習は現職者が対象で、試験や研修が免除される代わりに講習を受ける、というもののようです。

対象ルート
 ・講習Ⅰ&Ⅱ:経過措置D-2,E-1ルート
 ・講習Ⅱのみ:経過措置D-1,E-2ルート

受講方法
 ネット上でオンデマンドで受講。経過措置期間中(令和11年度(2029年度)までは任意のタイミングで受講可
受講時期
 令和6年(2024年)夏ごろ~
講習内容

 ・講習Ⅰ:平成 12 年報告で新たに追加された内容が中心
 ・講習Ⅱ:平成 31 年審議会報告で追加された内容及び近年の情勢等の変化が大きい内容が中心
講習時間
 ・講習Ⅰ:90分×5コマ程度
 ・講習Ⅱ:90分×10コマ程度
講習修了認定試験
 ・講習Ⅰ:50問程度
 ・講習Ⅱ:100問程度
受講料
 ・講習Ⅰ:8,800円
 ・講習Ⅱ:17,600円

修了試験がどのようなものかわかりませんが、講習をきちんと聞いていれば合格できるのではないかと思われます。オンライン試験となりますので、暗記力はさほど必要ないでしょう。

登録日本語教員の登録申請

試験と実践、講習の受講などが終わったら、日本語教育機関認定法ポータルより登録日本語教員の登録申請を行います。

このWebサイトは公開されたばかりでまだ情報がなにもありませんが、マイページ(申請用アカウント)の作成はできますので、申請を考えている場合は作成しておきましょう。なお、マイページ作成段階では氏名や電話番号などの入力は不要です。

マイページ(申請用アカウント)作成手順:
1.メールアドレスとパスワードを入力して送信
2.メールアドレスに届いた認証コード(6桁の数字)を入力
3.ログイン画面で二要素認証を実行(簡単なのはSMS認証です)
4.携帯電話番号を入力
5.携帯電話に届いたSMS(iPhoneの場合は「メッセージ」アプリに届きます)に書かれている認証コード(6桁の数字)を入力

登録日本語教員申請手順:
1.マイページにログイン
2.申請情報を入力(氏名、日本語教員試験の合格証書番号等)
3.登録手数料(4,400円)の支払い
4.申請書を出力し印刷
5.必要書類とともに郵送
6.登録証の交付(電子交付)

各ルートの必要事項、金額、提出書類一覧

各ルートの必須事項と必要な金額、提出しなければならない書類を一覧表にまとめました。

該当ルートが複数あるけど…

養成講座を出ていて、かつ日本語教育能力検定試験も合格している、という方も多くいらっしゃるでしょう。いまのところ、「養成講座修了+教育能力検定合格」の両方を持つ人のルートは出ていませんので、例えばもしその養成講座が「必須の50項目」に対応していて、教育能力検定に最近合格した、という場合は、経過措置CルートまたはE-2ルートを選ぶことになると思います。

Cルートの場合は応用試験を受験しなければなりませんが、E-2ルートより6000円ほど安く済ませることができます。また、E-2ルートは90分×10コマの講習を受けなければなりませんが、Cルートの試験なら1日試験を受けに行けばいいだけです。

必要な金額や時間を考慮して、自分に合ったルートを選ぶといいと思います。

参考Webサイト

文部科学省「登録日本語教員の登録等に関すること」https://www.mext.go.jp/a_menu/nihongo_kyoiku/mext_02668.html(2024年5月31日閲覧)

文化庁「登録日本語教員の資格取得に係る経過措置における日本語教員養成課程等の確認について」https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/93964001.html(2024年5月31日閲覧)

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