「てあります」と「ています」の違いについて、イラストを使って解説する。
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当ページに関係のある課(みんなの日本語)
14課教案 「て形」 てください ましょうか ています(継続) Vマス方
15課教案 てもいいです てはいけません ています(人の結果の状態)
28課教案 ~ながら~ ~し、~し ています(習慣) 「Pに行く」解禁
30課教案 が/は~てあります【物の所在】 ておきます【事前準備】【事後措置】【放置】
33課教案 「命令・禁止形」 と書いてあります という意味です と言っていました と伝えていただけませんか
まず「てあります」は何かしらの意図をもって何かを行うことを表し、「ています」はその意図をもたずに何かを行うことを表す。
言うのは簡単だが、これを初級段階の学習者に教えるのはなかなか骨が折れる。もちろん「アスペクト」や「意図」などといった文法用語、などの難解語を使わずに、かみ砕いて説明するには、視点を変えるのが早い。
自動詞と他動詞の違い
2つの説明に入る前に、まずは前提として、自動詞と他動詞の違いがある。
先ほど視点を変えると書いたが、簡単に言うと、
「てあります」はいつもその状態であり、
「ています」はちょうどその時だけある状態だと述べる
と学習者に教える。実際の授業では単に
T:「てあります」はいつも、「ています」は今だけです
とさらに言葉を絞って説明する。画像で見ていこう。
教え方
服の汚れを用いた教え方
まずは、女性の服に汚れがあることを伝えるという状況を設定、汚れの存在を女性に告げる際に「てあります」「ています」どちらを使うかを学習者に問うた後に、「ています」が正解だと教える。
服を意図的に汚すことはないが、その「意図的に汚す」という説明が難しいので、以下のように説明する。
T:Sさんは服を汚しますか
S:いいえ
T:そうですね。私も自分で服を汚しません
これで「意図的に汚す/汚さない」ということを説明できるが、この説明は汎用性が低く、次の状況では使えない。
かばんを用いた教え方
これは、正解が「開いています」である。町でかばんを”意図的に”無防備に開けっ放しにし、歩く人はいない。
T:Sさんはかばんを開けますか
S:はい
T:そ、そうですね
S:自分でかばんを開けます
T:そうですよね……
となってしまうので、視点を変え、意図がどうのということは忘れ、その状態がいつもその状態なのか(てあります)、今だけ(ています)なのかという視点で教える。
その説明でいくと、ほとんどの、とりあえず初級で扱うような文は全て説明がつくし、文型の説明としても別に間違っているわけではない。
初めの「服が汚れています」というのは、いつも服が、汚れている人もいるが普通に考えて汚れていることはないし、「かばんが開いています」も今だけだということで説明がつく。
カギを用いた教え方
カギはだいたい定位置が決まっているので、「かけてあります」が正解。
割れた皿を用いた教え方
カギは定位置を作らない人もいるだろうし、かばんもあえて開けて歩く人もいるかもしれないが、この「皿が割れている」という例文は例外なく、「ている」が全ての人に当てはまる。
塩を用いた教え方
塩はカギよりも定位置が決まっているだろうから、正解は「置いてあります」である。
【画像】「ている」用法まとめ┃継続・結果の状態・習慣
① 「田中さんは本を読みますか/読んでいますか」は何が違うのか、
② 「勉強します(継続)」「勉強しています(現在進行)」「勉強しています(習慣)」の違いはどうやって教えればいいのか。
上から「継続(+未来)」「現在進行」「結果の状態」「習慣」となっている。「現在進行」は問題ない。説明が難しいのは「継続(+未来)」と「習慣」、「結果の状態」と「習慣」の組み合わせである。
青い棒線で時間を表現している。さらに、長期間や未来という言葉を使わないように具体的な時間を赤い文字で示している。本ページのテーマと少しずれるので、【画像】「ている」用法まとめ┃継続・結果の状態・習慣についてさらに詳しく知りたい方は↓のリンクを参照のこと。
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