名詞と形容動詞(な形)の違いと使い分け┃『名詞+な』『名詞+する』

名詞(以下、Nとも表記)と形容動詞(以下、Naとも表記)は用法や接続、様々な点においてよく似ています。具体的にどのように似ているのか、また、近年見られるそれらの特殊な使い方などを考察していきます。

始める前に、呼び方が分野によって異なるので、整理しておきます。

  • 名詞:N(noun)
  • 形容動詞:な形容詞:Na(NaAdjective)

 

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名詞と形容動詞(な形)の境界線

Na・N両方で使える言葉

まずはいくつか例を挙げる。他にも、「安全・便利・楽」などがある。

  • 元気な人・元気の源/秘訣 ?元気の人
  • 平和な日常・平和の象徴 ?平和な象徴
  • 幸せな人・幸せの条件
  • 健康な人・健康の秘訣

 

ここで日本語教育能力検定試験の問題を一つ紹介する。以下の1~4で、Naはどれか。

1自由 2平和 3大切 4元気

↓ 答えはすぐ下 ↓

 

 

 

答えは3。3はNa。他はNaの語幹がNの性質も有するもの。

 

「特別」「同じ」は例外的な品詞

特別:名詞、形容動詞、副詞

  • <名詞>特別のはからいで免除された
  • <Na>特別な思いで挑んだ
  • <副詞>特別に許可を受けた

同じ:「同じ」は名詞に続くときは「な」が不要

  • ✕同じな服
  • 〇同じ服

「同じ」はNa?N?

これは文末に置くと、「同じだ」となるため、一応形容動詞なのだが、「同じな/の意見」とはならないので、特殊な言葉だと学習者には教える。ついでに私はこれの対義語として「違う」も教えるのだが、「違う」は「同じ」と品詞が異なるよ、と教えておくこと。

 

NとNaの特殊な使い方

『名詞+な』

A:大人な対応

感じる人は感じるかもしれないが、私は違和感はないと思う。皆さんはどうだろうか。
名詞が名詞を修飾する時は助詞ノを使うと学生に教える。しかし、大人な対応という文に大きな違和感はないと思う。大人は名詞であるのに。もう一つ

B:ビールにする?日本酒にする? ・・・ん~、今日はワインな気分かな

どうだろうか。間違っているし、「違くない」と同じ新しい言葉だとは思うが、私はもう上のAとBの文は許容であると思う。次↓

C:(クリスマスツリーやきれいなイルミネーションを施した街路樹を見て)
うわ~、クリスマスな感じだね

これはちょっと苦しいかもしれない。
次は新しい言い方ではなく、むしろ古風な言い方↓

D:味な事を言うね

以上、いくつか「NなN」の例を挙げた。「NのN」で言い換え可能なものはAとBで、Cは苦しく、Dは慣用的なもので許容どうこうではなく『正しい』言い方である。

 

『名詞+する』

「結婚する」
「勉強する」

この2つのような動詞はいわゆる3グループ動詞(サ変動詞・カ変動詞)と言われ、名詞に「する」を付けて動詞にしたもの。では、次の名詞は動詞にできるのか。

「お父さん+する」

久しぶりに訪れた友人宅で
A「お、Bもちゃんとお父さんしてるじゃん」
B「はは、まあね」

これはつまり、「Bはお父さんらしい事(家事や子どもの面倒)をやっている」という意味である。

コメント

  1. 感覚的ですが、
    特別な許可を得ました、はいくつか制限がかけられた許可を得る方法がある中、それに該当しない許可を特別に得た。
    特別に許可を得ました、は普通は一切許可されないところ、特別に許可を得ました。と感じますがどうでしょう?