【6課】教案:NをVます、Vませんか/Vましょう

みんなの日本語 初級I 第二版』完全準拠。
導入や練習の仕方、教師として知っておきたい文型のポイントなどを解説します。

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学習項目

練習A
1.NをVます
2.なにをしますか
3.<場所>でNをVます
4.いっしょにVませんか
5.Vましょう

教案

新出語彙

この課では、基本的な動詞と食べ物・飲み物などの名詞がたくさん出てきます。よく使う語彙ですから、よく練習しましょう。

★ポイント

  • 吸います:それのみではほとんど使われない。「たばこを吸う」「息を吸う」などのように常に目的語を伴って使う。smokeは必ず「たばこを」も一緒に言わなければならないことに注意
  • 食べます:これも、あまりそれのみでは使われない。たまに学生が「中華街へ行って、食べました」等の文を作るが、目的語がないと不自然である
  • 飲みます:しばしば「飲酒する」の意味でも使われる
  • 会います:助詞は「~に」を使う。かなりよく「~を」と間違えるので注意

練習A-1:NをVます

1課から6課までで使える動詞は以下のみですが、未習語を導入して練習に幅を持たせたりしてもよいでしょう。

1グループ
飲みます・(たばこを)吸います・(CDを) 聞きます・読みます・書きます・買います・(写真を)撮ります・(友達に)会います
2グループ
食べます・見ます
3グループ
します・(宿題を)します・(テニスを)します・(サッカーを)します・(お花見を)します・勉強します

関連 未習語について

導入:NをVます

T:(本を読んでいる人の絵を見せて)これはなんですか。
S:読みます。
T:(本を指し)これはなんですか。
S:本です。
T:そうですね。本。読みます。本を読みます。

ほん を よみます

板書は色を変えるなどして提示するとわかりやすいです。板書が大変な場合はパワーポイントを使うとよいでしょう。

◆既習語で確認

これまで学習した動詞や、6課の新出動詞を使って、「~をVます」を言わせます。上記のように、絵カードを見せて動詞➡名詞➡文と一つずつ確認するとよいでしょう。慣れてくれば、絵を見せるだけで一文を言えるようになります。

・お酒を飲みます
・たばこを吸います
・写真を撮ります
・手紙を書きます
・CDを聞きます

練習B-1

◆上の練習と同じように、絵を見せて行う

導入:NをVません/Vました/Vませんでした

T:S1さんは、たばこを吸いますか。
S1:はい、吸います。
T:S2さんは、たばこを吸いますか。
S2:いいえ、吸いません。

たばこ を すいますか。
…はい、すいます
…いいえ、すいません

T:S4さんは、朝ご飯をたべましたか。
S4:はい、食べました。
T:S5さんは、朝ご飯をたべましたか。
S5:いいえ、食べませんでした。

あさごはん を たべましたか。
…はい、たべました
…いいえ、たべませんした

質問に答えるとき、目的語を入れても間違いではありませんが(「はい、たばこを吸います」等)、あまり自然ではないので目的語を省略した形に慣れさせます。できるクラスなら、「ここに本当なら目的語があるが、繰り返す必要はないので省略されている」ということを意識させるとよいでしょう。

練習B-2

T:たばこを吸いますか。(リピート練習)
 (【×】を見せる)
S:いいえ、吸いません。(リピート練習)
 (続けて2~4も行う)

◆できるクラスなら、質問を作るところからさせるとよい
 パワーポイントでAさんとBさんの会話として見せるとわかりやすい
T:(Aさんの頭の上に、たばこを吸っている絵と【?】を出す)たばこを吸いますか。(リピート練習)
 (Bさんの頭の上に【×】を出す)
S:いいえ、吸いません。(リピート練習)
T:(Aさんの頭の上に、お酒を飲んでいる絵と【?】を出す)お酒・・・?(質問を作るよう促す)
S:お酒を飲みますか。(リピート練習)
T:(Bさんの頭の上に【×】を出す)
S:いいえ、飲みません。(リピート練習)
 (続けて2~4も行う)

導入:何をVますか/何もVません

「何も~ません」は、言われて嬉しい言葉ではないので、この表現はあまり強調せず軽く扱い(これについてはページ最下部の『教師用メモ』で後述)、あくまで助詞の使い方を学ぶことを目的に教授します。

◆何をVますか
T:S6さんは朝ご飯を食べましたか。
S6:はい、食べました。
T:何を食べましたか。ごはん?パン?たまご?
S6:ごはん…
T:ごはんを?
S6:ごはんを食べました。

なに を たべましたか。
…ごはん を たべました

◆何もVません
T:S7さんは、今朝、何を食べましたか。
S7:今朝、食べませんでした。
T:何も食べませんでした。

なに を たべましたか。
…なに も たべませんした

「何も」はつねに否定形を伴うことをしっかり覚えさせましょう。

練習B-3

◆パワーポイントでAさんとBさんの会話として見せるとわかりやすい
T:(Aさんの上に【買います】と【?】を出す)何を買いますか。(リピート練習)
 (Bさんの上に鞄の絵を出す)
S:かばんを買います。(リピート練習)
T:(Aさんの上に【勉強します】と【?】を出す)何・・・?(文を作るよう促す)
S:何を勉強しますか。(リピート練習)
T:(Bさんの上に【日本語】を出す)
S:日本語を勉強します。(リピート練習)
 (続けて2~4も行う)

練習A-2:なにをしますか

「何をしますか」は、行動について広く問う言い方です。名詞は「なん(ですか)」だったのに対し、動詞は「なに(をしますか)」になります。「なんを」にならないように注意しましょう。

T:S1さんは、あした、買い物しますか。勉強しますか。何をしますか。
S1:日本語を勉強します。
T:S2さんは?あした、何をしますか。
S2:図書館へ行きます。
T:S3さんは?
S3:何もしません。

あした なに を しますか。
…にほんご を べんきょうします。
…としょかん へ いきます。
…なにも しません。

「何を」につられて「図書館を行きます」という答えがよく出るので、助詞は動詞によって変わることに注意させましょう。

練習B-4

◆【あした】などの文字カードと、練習B-4の絵を拡大したものを用いて行う
T:(【あした】を提示する)あした何をしますか。(リピート練習)
 (例の絵を出す)
S:サッカーをします。
T:(【今日の午後】を提示する)今日の午後?(質問を作るよう促す)
S:今日の午後何をしますか。(リピート練習)
T:(1の絵を出す)
S:レポートを書きます。(リピート練習)
 (続けて2~4も行う)

活動:インタビュー

活動の流れ:
1.「お酒を飲みますか」「今朝何を食べましたか」「今晩何をしますか」などの質問と、答えを書く欄があるワークシートを配布。答えの欄には「わたし」と「   さん」がある
2.まず、質問に対して自分の答えを「わたし」の欄に書く。単語だけではなく完全文で書くよう指示する
3.次に、自分の答えが書き終わった人同士で、インタビューしあう
4.相手の答えを自分のシートに書き込む
5.余裕があれば、「~さんはお酒を飲みます」などと発表させてもよい

練習A-3:<場所>でNをVます

疑問詞「どこ」は、5課で【へ+移動V】の形で勉強しました。6課では【で+V】を勉強します。

導入:<場所>でNをVます

T:S1さんは、昼ご飯を食べますか。
S1:はい、食べます。
T:そうですか。どこへ行きますか。食堂?レストラン?うち?
S1:食堂へ行きます。
T:食堂で昼ご飯を食べます。
T:S2さんは?どこで、昼ご飯を食べますか。
S2:ラーメン屋で食べます。

どこ で ひるごはん を たべますか。
…しょくどう で たべます。

◆文作練習。パワーポイントで絵を見せながら行う
T:(図書館の絵を見せて)ここはどこですか。
S:図書館です。
T:(日本語を勉強している絵を見せて)何をしますか。
S:日本語を勉強します。
T:図書館・・・?(文を作るよう促す)
S:図書館で日本語を勉強します。
 (ほかにもいくつか繰り返す)

◆質問作成練習。S1を指名し、Tは疑問詞カードで他Sにキューを出す。
T:(【どこ】カードを見せる)
S1:S2さん、どこで宿題をしますか。
S2:寮でします。S3さん、どこで買い物しますか。
S3:新宿で買い物します。S4さん…

これは各疑問詞導入で同じように行えるので、こまめにやるとよいでしょう。

練習B-5

◆例を確認してから、ペアで練習させる
 ※1は「ミラーさんを会います」にならないよう注意

ペアワークのやり方は様々です。まだ文がうまく作れそうにないと感じたら、全体で正しい文を確認してからペアでもう一度練習させてもいいでしょう。また、終わってから教師のキューに続いて全体でリピート練習すると、最後に正しい文を自分の口で練習して終わることができます。

導入:いつも/ときどき

T:わたしは昨日うちで昼ご飯を食べました。今日もうちで昼ご飯を食べます。明日も。
 いつも、うちで昼ご飯を食べます。S2さんは、いつもラーメン屋で昼ご飯を食べますか。
S2:いいえ、いつもじゃありません。
T:ときどき、ラーメン屋で食べます。

練習C-2

T⇔Sで例をやってみせ、意味が分かっているかを確認してからペアで練習させます。ペアごとにオリジナルの会話を作らせても面白いでしょう。

導入:それから

T:S1さんは食堂で昼ごはんを食べますね。
S1:はい。
T:それから?昼ご飯を食べました。なにをしますか。(ジェスチャーを使いながら)
S1:勉強します。
T:食堂で昼ごはんを食べます。それから、勉強します。

しょくどう で ひるごはん を たべます。それから べんきょうします。

◆文作練習。場所のカード/絵カード/➡(それから) を使って、様々な文を作らせる
・うち/宿題をする/➡/テレビを見る
・レストラン/食事する/➡/買い物する
・新宿/映画を見る/➡/ビールを飲む
・上野/友達に会う/➡/テニスをする

練習B-6

◆絵を拡大したものと、【今晩】などのカードを用いて行う
T:(【今晩】のカードを見せる)今晩何をしますか。(リピート練習)
 (例の絵を見せる)
S:うちで宿題をします。それからCDを聞きます。(リピート練習)
T:(【あした】のカードを見せる)あした・・・?(質問を作るよう促す)
S:あした何をしますか。(リピート練習)
T:(1の絵を見せる)
S:IMCで働きます。それから日本語を勉強します。

なかなか絵から動詞が出てこない場合は、まず「NをVます」の文をひとつずつ確認し、口慣らししてから「それから」でつなげるようにすると、スムーズにいきます。

活動:いどだなゲーム

◆助詞の混乱が起きているので、ここでゲームをしながら整理する
活動の流れ:
1.5つのグループに教室を分ける。各グループは「だれ」「いつ」「どこで」「だれと」「何をした」になる
2.白紙の紙を配りそれぞれ相談し、場所グループならデパートなどと書かせる。「何をした」グループは時制に気を付けさせる
3.「だれ」から「何をした」グループまで順に言わせていく。紙は全員に見えるようホワイドボードに貼り付けていく
4.担当グループを交代しながらやる

練習A-4:いっしょにVませんか

できるクラスなら、次の「Vましょう」と一緒に導入してしまってもいいですが、それぞれの口慣らしはしっかりとしましょう。

導入

◆Vませんか
T:(映画館の前で話している2人の絵を見せて)
 A: Bさん、一緒に映画を見ませんか。
 B: ええ、いいですね。

いっしょに えいがを みませんか。
…ええ、いいですね。

◆動詞の絵カードを見せながら「Vませんか」の形を口慣らし

◆断り方
T:(レストランの前で話している2人の絵を見せて)
 A: Bさん、一緒に昼ご飯を食べませんか。
 B: すみません、ちょっと…。

いっしょに ひるごはんを たべませんか。
…すみません、ちょっと・・・。

余裕があれば、「ちょっと・・・」だけで終わるよりも、「うちで宿題をします」と理由を付け加えたり、「明日食べませんか」と代替案を付け加える事で、人間関係上よいと教授します

T:S1さん、S2さんに。いっしょに・・・?(質問を作るよう促す)
S1:S2さん、いっしょに日本語を勉強しませんか。
S2:ええ、いいですね。
T:S2さん、S3さんに。
(同様にしてS→SでQAをやらせる)

この文型では、これまで勉強した助詞全てを使っていろいろな文が作れます。ぜひうまく活用して、助詞の復習をしましょう。学生も大変盛り上がるので、様々な状況を与えます。追加で、「デートします」や「恋人」、「ディズニーランド」、近場の観光地などの未習語も入れるとよいでしょう。

練習A-5:Vましょう

「Vましょう」には「誘い」の用法がありますが、ここでは単純に「Vませんか」に対する答えとして教授します。

導入

◆Vましょう
T:(Vませんか導入時に使ったのと同じ絵を使用)
 A: Bさん、一緒に映画を見ませんか。
 B: ええ、見ましょう。

いっしょに えいがを みませんか。
…ええ、みましょう。

◆動詞の絵カードを見せながら「Vましょう」の形を口慣らし

T:S1さん、S2さんに。いっしょに・・・?(質問を作るよう促す)
S1:S2さん、いっしょに昼ご飯を食べませんか。
S2:ええ、食べましょう。
T:S2さん、S3さんに。
(同様にしてS→SでQAをやらせる)

練習B-7

◆拡大した絵を使って行う。ここまでにたくさん練習しておけば、絵を見るだけで文が作れるようになっている
T:(例の絵を見せる)いっしょに・・・?(文を作るよう促す)
S:いっしょに京都へ行きませんか。(リピート練習)
T:(【○】のカードを見せる)
S:ええ、行きましょう。(リピート練習)
 (続けて1~4も行う)

活動:会話文作成

◆誘い~日時の約束の会話を作る
活動の流れ:
1.6課の「会話」(本冊49ページ)を、DVDで見せるなりして確認する
2.ペアになり、同じような流れで会話文を作成する
3.1組ずつ発表させる

「会話」が少し長い、学生にとって負担だ、という場合は、練習C-3も使えます。

使用教材:

教師用メモ

初級で提出される動詞の種類

4課 目的語をとらない自動詞(起きます・寝ます・働きます・勉強します・休みます)
5課 移動動詞(行きます・来ます・帰ります)
6課 目的語をとる他動詞(食べます・書きます・など)

失礼な返し「~も」

T:昨日、何をしましたか
S:何もしませんでした(^^)
T:どこへ行きましたか
S:どこへも行きませんでした(^^)

「~も」を教えて以降、留学生がこれをよく使うようになります。実際に何もしない(金欠でできない)し、行かないのかもしれませんが、人との会話でこのようなやり取りを平然とやられては何のための語学学校かわかりません。是非、これを教える際は、それらに注意させながら教授しましょう。

「なん」と「なに」

「何」は、「なん」と読んだり「なに」と読んだりします。
使い分けは簡単に言えば以下の通りです。

・疑問語としての用法
「なん」と読む:
後ろにくる語が「タ行」「ダ行」で始まる場合
「なに」と読む:
後ろにくる語が「タ行」「ダ行」以外で始まる場合

・語の一部としての用法
「なん」と読む:
後ろに助数詞がくる場合
「なに」と読む:
後ろに名詞がくる場合

もっと詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。

「ちょっと」と「少し」の違い

どちらも否定とは相性が悪いのですが、否定疑問文なら可です。

×ちょっと ×少し + 否定文
例)×ちょっと ×少し 暑くない/高くない/休まない。
〇ちょっと 〇少し + 否定疑問文
例)〇ちょっと 〇少し 暑くない/高くない/休まない?

前置きの言葉として使う場合は、「少し」は使われず、「ちょっと」が使われます。

例)田中さんかあ。う~ん、この辺じゃ 〇ちょっと ?少し 聞かない名前だな。
  ねえ、 〇ちょっと ?少し !こっち来て手伝って!
  (プレゼント渡した後に) 〇ちょっと ?少し 開けて見てみてよ。

3つとも中心には「少し」という意味が見て取れますが、それを強く感じる文ではありません。これは「すみませんが、~」と言う時の「が」と同様、「が」が元々持つ逆接の用法を取り払った用法で、呼びかけの表現としてあるだけのものです。前置きや呼びかけの「ちょっと」も同じように元々あった「少し」の用法が取り払われています。

なお、程度の用法でなら両方OKです。

例〇ちょっと 〇少し 足りない
 〇ちょっと 〇少し わからない

助詞

この課では、たくさんの助詞が出てきました。既習のものとあわせると、かなりの数になってきています。助詞の使い方・用法、説明の仕方などを画像でわかりやすく説明したページを作ったので、ぜひご覧ください。画像はそのまま授業で使えるので、ご活用ください。

【画像】初級の9つの助詞の用法と教え方
初級(しょきゅう)で勉強する9つの助詞(じょし) 「ごはん を 食べます」「学校 で 勉強します」の「を」「で」などが助詞(じょし Joshi)です。 初級(しょきゅう)で日本語を勉強している人がわかる日本語で書きます。ここではこの9つだけ...

 

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コメント

  1. 初めまして(^ ^)
    現在日本語学校に通い勉強しています。今週の日曜日にみんなの日本語で6課の〜ましょうを8分間で発表します。ただ、私はあそこで休みましょうの場所の担当です。誘っている人がましょうを使用しているのはわかるのですが、どうおしえたら良いのかわかりません。いきなりですが、アドバイス頂けますでしょうか。