「ずくめ」【N1】
用法
≪接続≫
N+ずくめ┃以下接続例
V:なし
A:なし
Na:なし
N:こだわり+ずくめ
≪意味・使い方≫
Xずくめ
- Xで満たされている、ほとんどXだ <full of X>
- モノのほか、色や出来事にも使う
- いいことに使うことが多いが、悪いことにも使える
1.「働きずくめ」と、動詞に接続している例も見かけるが、これは正しくは「働きづめ(詰め)」である。
2.似たような言葉に「~づくし(尽くし)」がある。「~ずくめ」はある一つのもので満たされている場合に使うのに対し、「~づくし」はある一つの種類で満たされている場合に使う、とされているが、その違いがあいまいになっていることも多い。なお、色に使えるのは「~ずくめ」のみである。
例文
恋人もできたし、時給も100円上がったし、最近は良いことずくめだ。
パーティー会場では華やかな装飾、美味しい料理、楽しいゲームなど幸せずくめの素敵なイベントが開催される。
この料理店では新鮮な食材、繊細な味わい、丁寧なサービスと、こだわりずくめでお客様をおもてなしする。
キッチンには鮮やかなオレンジ色のフルーツが並び、ビタミンずくめの健康的な食材が揃っている。
カーニバルのパレードでは、カラフルで光り輝く宝石ずくめのドレスが人気だ。
茶室には落ち着いた緑色の畳と、木製の家具が配置され、和風ずくめの静かな空間が広がっている。
画廊には様々な色とりどりの絵画が展示され、アートずくめの空間が訪れる人々を魅了している。
犯人は黒ずくめのかっこうで、銀行へ押し入った。
類似文型とその違い
「ばかり」【N4】
「だらけ」【N3】
「まみれ」【N1】
「三昧(ざんまい)」【N0】
「~ずくめ」も含め、これらは全て前に名詞がつき「~がたくさんある・いる」といった意味になりますが、使用する場面や前に使える名詞にすこしずつ違いがあります。
まず、「~三昧」はプラスのことに、「~まみれ」はマイナスのことに使います。「~ずくめ」は、プラスのことに使うことが多いですが、マイナスのことに使うこともできます。反対に、「~だらけ」はマイナスのことに使うことが多いですが、プラスのことに使うこともできます。「~ばかり」は、プラス、マイナスどちらも使うほか、プラスやマイナスの感情を伴わない場面で使うことも多いです。また、「~ばかり」のみ、後ろに直接動詞を持ってくることができます。
つぎに、前に使える名詞の種類を「人」「具体物」「抽象物」「不快な液体」「色」に分けて見てみます。「~ばかり」は、前に「人」「具体物」「抽象物」が使えます。「~だらけ」と「~まみれ」は、「人」「具体物」「抽象物」「不快な液体」が使えます。具体物についていう場合、「~まみれ」は細かいものに対して、「~だらけ」は大きいものに対して使うことが多いです。「~ずくめ」は、「具体物」「抽象物」「色」が使えます。「~三昧」は、「具体物」「抽象物」が使えます。
以上を例文とともに示すと、下記のようになります。
【◎=最も適している、〇=適している、△=あまり適していない、×=適していない】
プラスのこと
- 人:この町は知り合い[◎ばかり △だらけ ×まみれ ×ずくめ ×三昧]だ
- 具体物:高級ワイン[△ばかり ×だらけ ×まみれ 〇ずくめ ◎三昧]の食事会
- 抽象物:毎日幸せ[〇ばかり △だらけ ×まみれ ◎ずくめ 〇三昧]だ
最近いいこと[〇ばかり 〇だらけ ×まみれ ◎ずくめ 〇三昧]だ
マイナスのこと
- 人:祭りは人[△ばかり ◎だらけ ×まみれ ×ずくめ ×三昧]で歩きにくい
- 具体物:机の上がほこり[×ばかり ◎だらけ ◎まみれ ×ずくめ ×三昧]だ
彼は甘いもの[◎ばかり ×だらけ ×まみれ ×ずくめ ×三昧]食べる(後ろが動詞) - 抽象物:苦労[◎ばかり 〇だらけ △まみれ ×ずくめ ×三昧]の人生
借金[△ばかり 〇だらけ ◎まみれ ×ずくめ ×三昧]の生活 - 不快な液体:子どもは泥[×ばかり ◎だらけ ◎まみれ ×ずくめ ×三昧]で遊んだ
- 色:犯人は黒[×ばかり ×だらけ ×まみれ ◎ずくめ ×三昧]の服だった
プラス、マイナスなし
- 人:男[◎ばかり 〇だらけ ×まみれ ×ずくめ ×三昧]のクラス
このように、これらの文型は全てなにかがたくさんある、いるということを表しますが、使う場面や前に使える名詞が異なります。まとめると以下の通りです。
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