リンさん殺害の極刑署名活動に見るベトナム人の気質

スポンサーリンク

当サイト管理人による、日本語教師養成個人レッスンの詳細はこちら

当サイト管理人による、日本語教師養成個人レッスンの詳細はこちら

署名

S:先生、これに署名をお願いします。
ネットで話題になっていた極刑を求める署名。まさか私に求めてくるとは思いませんでした。

きついようですが、署名を集めてもどうにもならないこと、署名には協力できないことを言葉を選んで慎重に告げました。正直かなり恐ろしかったです

T:署名を集めても罪状は変わらないからね。関係ないんだよ
S:そうなんですか
T:署名で罪状が変わったら大変だよね
S:そうですね・・・
T:これまでたくさん日本で殺人事件が起きてるけど、私が知る限り、「署名のかいあって犯人はめでたく死刑になりました」なんてことはありませんでした

署名にはすでに、私の学生の名前が並んでいました。つまり、ここに署名した人達は、容疑者に死んでほしいと思っているということ、

T:ってことなんだよね?
S:はい

とまっすぐな目で言われました。

ビルゲイツと100兆円

以前、クラスでディスカッションをやりました。テーマは「ビルゲイツと100兆円が海で溺れていました。どちらを助けますか」というもの。ちなみに、これはビルゲイツ自身が考えたものです。
中国人の多いクラスでこれをやったところ、

S1:ビルゲイツを助けるということは、彼に感謝され、人脈ができ、お金だけでなく地位や名誉も得られる可能性がある
S2:ビルゲイツを助けてもすぐに人脈が広がるわけではない。だったらすぐに運用できる100兆円を助ける

と、感情ではなく、私の意図通り損得で考えてくれました。

同じテーマで別日に、ベトナム人のみのクラスでこれをやったところ、ほとんどの学生が

S:ビルゲイツを助けます

理由は概ね「人命第一」「道徳的な判断」でした。

S1:ビルゲイツを犠牲にして得たお金では幸せになりません
S2:人が目の前で死にそうなのに、助けないなんて人として、人として(皆ここはかなり強調していた)間違っています。おかしいです

結局そのクラスでは議論にすらならず(全員が同じ意見だから)、別のテーマでディスカッションをしました。

情に厚いベトナム人

ベトナムにいるベトナム人については知りませんが、私が知っている「来日した」「若い」「ベトナム人」は非常に情に厚いです。仲間思いで、困った人を助けられずにはいられない。
それが行き過ぎてしまった結果、カンニングで注意されて「困っている友達を助けないのはおかしい!」と胸を張って言う人までいます。

そんなベトナム人を目の前にして、「署名はできない」と言うことがどれだけ恐ろしかったかわかっていただけたかと思います。署名できないと言った時の彼らの冷たい視線は耐えがたいものがありました。

いいパートナー

だから好き、嫌いという話をする記事ではなかったのですが、私はそんなベトナム人が好きです。素直でおおらか、私が失敗しても彼らは笑って「かまへんかまへん」と懐の大きさを見せてくれます。

ベトナム人が被害を受けた(技能実習生など)、ベトナム人が犯罪を起こした(万引きなど)、ベトナム人に関しては連日報道され、さらにその数も増えていますが、これから国同士よりよい関係を築き、いいパートナーになれるように願っています。そして私もその一助となれればと思います。

コメント