外国人が話すセリフの違和感の正体

ドラマや映画だけでなく、小説などに出てくる外国人のセリフにどうしても違和感を持ってしまいます。

どのようなセリフか

今日観ていたもので、来日留学生のセリフです。怖い映画みたいなものなのでネガティブな言葉が多いです。

①「怖くてたまらないんです」

②「お前なんかと話すことはない」

③「お前も奴の仲間になったんだな。裏切り者は殺してやる」

④「〇〇だろうが何だろうが、~」

来日留学生から①「~てたまらない」という文型はあまり聞きません。
②と③は怒った時に言ったセリフです。彼らはよく「お前」と授業中や休み時間に友達にふざけて言っていますが、「なんか」「ことはない」を激昂している時に言うとはとても思えません。
③は「なったんだな」のところで笑ってしまいました。言うはずがない。
④の「~だろうが」はまず言いません。

それぞれ、個人的に私がこう言うだろうな、と思うセリフを考えてみました。
①「とても怖いです」
②「お前と話したくない/さない」
③「お前も〇〇の仲間になった?殺す」
④「〇〇も、~」

彼らの会話力の実態

留学生はなかなか複雑な作りの文を作ろうとしません。記述ではそれが求められるので積極的にかたい表現、文型を用いようとしますが、殊更会話においてはそれが求めれていないので、伝わればいい文章、つまり初級で習う程度の文法で話します。

超級クラスぐらいまでいけば自然な会話をします。「しようとする」ではなく、「自然としている」のですが、上級の学習者(在日2年~3年)程度では「しようとする」ことはほとんどありません

外国人が話すセリフの違和感の正体

日本人が思う「外国人はこういう風に話す”だろう”」「外国人はこう話せばわかる”だろう”」という推測と実態のズレが違和感を生んでいるのです。

街で時々、日本人が外国人に何かを教えている場面に出くわします。

駅員:このホームは違う。4番線からの電車に乗る。次の駅で降りないで3つ目の駅で降りる

普通の日本人には丁寧体(~です~します)で話すのに、外国人に話す時は普通体(~だ~する)で話してしまいます。丁寧体で話した方が伝わるのに。

さらに以前、不動産の人に「最近外国人が多くて(日本語が通じないから)困ってる」と相談された事があります。引っ越しをするということは、ある程度日本語力が備わったことがわかります。
なぜなら、日本に来てすぐ住む場所がない人はいないからです。引っ越しをするぐらいの外国人には丁寧体で話す事複文で話したりせず単文で話すといいと教えました。それぐらいなら日本語教師でなくともできます。不動産の人は「知りませんでした。これからそうします。ありがとうございます」と大変感謝していました。

駅員のケースも、不動産のケースも、どちらも日本語教師としての訓練を積んでいないので当然なのですが。
同じように、映画やドラマ、CMに出て来る外国人のセリフを考える作家さんもその知識がないので、先述したような違和感が生まれてしまうのです。

外国人のセリフは日本語教師におまかせ

日本語教師ならば、どれぐらい日本にいるのか、総日本語学習期間、生活環境を教えてもらえば、だいたいどんな言葉を選択し、話すのかがわかります。

私は普段から外国人と接しているのでこれだけ違和感があるのだと思いますが、実際に日本語教師ではない人がどれぐらい違和感を持つのかは、日本語教師である私にはもはや想像することしかできません。しかし、これから外国人は増えます。私のように違和感を持つ人も増えるはずです。

これを読んでいる作家の方で、作品に外国人を出そうとしている方は、是非日本語教師に取材してみてください。作品にリアリティが出せるかと思います。

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