【JLPT N1】「そばから」

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「そばから」【N1】

用法

 ≪接続≫
 V辞書形/Vタ形+そばから
┃以下接続例
    V:する+そばから
    V:した+そばから
    A:なし
  Na:なし
    N:なし

≪意味・使い方
 XそばからY。

  1. XをするとすぐにYをしてしまう <Y as soon as X>
  2. 「何度XをしてもYになってしまう」というマイナスの繰り返しを表す
  3. 「~るそばから」と「~たそばから」は同じだが、「~たそばから」のほうがよく使われる
Teaching Points
1.「何度もXするがやっぱりY」という話者の不満・非難の気持ちを表す

よく一緒に使われる言葉・文型・表現

「~てしまう」
例:覚えたそばから忘れてしまう。

例文

あのパン屋は作ったそばからパンが売れるほど人気があって、なかなか食べられない。 (That bakery is so popular that the bread sells out as soon as it’s made, making it hard to get.)

息子は洗濯するそばから服を汚してくる。 (As soon as I finish washing, my son manages to get his clothes dirty again.)

仕事が終わったそばから仕事を頼まれるので、全然休めない。 (Just when I finish work, I get asked to do more tasks, so I can’t take a break at all.)

種をまくそばから鳥がそれを食べてしまう。 (As soon as I sow the seeds, the birds eat them.)

聞いたそばから忘れる。 (I forget as soon as I hear it.)

習ったそばから忘れてしまう。 (I forget as soon as I learn it.)

覚えたそばから忘れる。 (I forget as soon as I memorize it.)

注意したそばから同じことを繰り返す。 (As soon as I give a warning, the same thing happens again.)

学校ではひとつの文型を覚えたそばから次の文型を学んでいくから大変だ。 (In school, it’s tough because as soon as I learn one sentence pattern, I have to move on to the next one.)

類似文型とその違い

「たとたんに」【N3】
「と思うと」【N2】
「か~ないかのうちに」【N2】
「がはやいか」【N1】
「なり」【N1】
や否や(やいなや)」【N1】

「そばから」を含め、これらはすべて「XたとたんにY」「Xと思うとY」のように使い、「Xの直後にY」という意味を持つ文型で、XとYがほぼ同時に起こることを表します。XとYの主語は同じでも異なっていてもかまいません。

これらの文型は、使う場面やニュアンスが微妙に異なります。

まず、使う場面についてです。「たとたんに」「と思うと」「そばから」は、会話でもよく使われます。「なり」「か~ないかのうちに」は、頻度は高くありませんが会話で使われます。「が早いか」「や否や」はかたい表現、書き言葉として使われますが、「や否や」の方がよく使われます。

次に、それぞれの文型が持つニュアンスです。「たとたんに」は、突然起こったマイナスな変化について言いたいときによく使います。例えば、「彼は就職が決まったとたんに学校を休むようになった」のように使います。

「と思うと」は、XとYが反対の行為である時によく使います。例えば「彼は怒ったかと思うと笑いだした」のように使います。自分のことを言うときには使えません。

「か~ないかのうちに」は、これらの文型の中では一番XとYがほぼ同時であることを強調することができます。例えば、「彼は話を聞き終えるか聞き終えないかのうちに、部屋を出た」のように使います。

「が早いか」は、XとYとどちらが早いかわからない、とYの早さを強調することができます。例えば、「ベルが鳴るが早いか彼は急いでトイレへ走った」のように使います。

「そばから」は、何度XをしてもすぐYになってしまう、というマイナスな繰り返しを言うときに使います。例えば、「大切な話を聞いたそばから忘れてしまう」のように使います。

「なり」は、Xの状況のままYをする、というときに使います。Yは話者にとって望ましくないことが多いです。例えば、「彼は授業が始まるなり寝てしまった」のように使います。

「や否や」は、Xが終わるのを待ち構えていた、というニュアンスがあります。例えば、「彼は授業が終わるや否や教室を飛び出した」のように使います。

このように、これらの文型は全て「Xの直後にY」という意味ですが、使う場面やニュアンスが異なります。まとめると以下の通りです。

  • XたとたんにY」:突然起こったマイナスな変化<会話◎>
  • Xと思うとY」:XとYが反対の行為である<会話◎>
  • XかXないかのうちにY」:XとYがほぼ同時であることを強調<会話〇>
  • Xが早いかY」:XとYとどちらが早いかわからない<書き△>
  • XそばからY」:マイナスな繰り返し<会話◎>
  • XなりY」:Xの状況のままY(話者にとって好ましくない行為)をする<会話〇>
  • Xや否やY」:Xが終わるのを待ち構えていた<書き◎>

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