記述(作文・小論文)の書き方と誤用例、訂正方法

作文指導

これまでに見てきた学生の作文の中で、特に多い間違いを紹介します。

作文の導入時期

作文をいつからやるか、という問題ですが、初級中盤(みんなの日本語なら25課ぐらい)からなら大丈夫ですが、さらに語を易しくすればもっと早い段階、例えば10課ぐらいからでも可です。

作文・原稿用紙の書き方

まずは、作文の書き方です。下にいい例と悪い例を載せたので、ご覧ください。

ルール① 拗音と長音、は1マス使う

ルール② 拗音や句読点はマスの左下に書く

ルール③ 数字は一マスに2つだが、3桁の場合、三つめは一マスに
       
ルール④ アルファベット小文字2つで1マス、大文字1つで1マス

ルール⑤ 拗音や句読点はマスの左下だが、かっこの左部はマスの右上

ルール⑥ かっこと句読点は同じマス内

ルール⑦ 文頭の句読点は禁止。前の行の文末に置く。改行後は1マス空ける

ルール⑧ 「ね」「よ」禁止。

ルール⑨ 普通体丁寧体同時に使うな!

ご覧の通り、ルールが多い日本語の原稿用紙の書き方。一日で全部教えず、例えば20課の時点ではルール①~③、30課で④~⑥というように段階的に教えるといいでしょう。

マス目に拗音などを正しく入れさせるには

拗音や長音、句読点をなかなか一マスに入れてくれません。これを正すいい方法があります。

  1. 作文を書かせる前に『部屋の中に様々な物が書かれた絵』を配布(物は特殊拍を含むもの)
  2. 物の隣に空白のマスを書いておく
  3. その物が何なのか考えさせ、マスにその物の名前を書かせる
  4. 一マスに拗音や促音を正しく入れないと、マスに空白ができてしまい、正答とならない

    例題.A(テレビ)とB(サッカー)は何ですか。カタカナをマスに書きなさい。

    上のように、テレビには学生が正しく答えを書いているので空白ができませんが、サッカーには1マスの空白ができています。
    これを行うことで、一マスに拗音や促音が入ることを意識させることができます。

誤用例

学生がよく書く作文の例を紹介します。

タイトル:私の好きな本
【本文】
 わたしは中国のちょうともうしますわたしは日本がだいすきですよわたしのすきなほんはにほんのれきしのほんですね
 このほんはにほんのれきしやぶんかがわかりやすくかいてあるので、わたしがしりたいこともすぐにわかりますね。
 はじめてこのほんのことを知ったのはさんねんまえですよ

タイトル:私の学校
【本文】
はじめまして。今日はいい天気だ。1年前に日本へ来ました。私の学校はABC学校だ。ABCは非常(ひじょう)に大きな学校で、教室は全部で30もある。教室はいろいろな形(かたち)がありますが、たいてい大きく、私が今勉強している教室もかなり大きいです。
学生は中国人やベトナム人、韓国人など世界中の人が集(あつ)まって勉強しているので、毎日授業は楽しい。そして、先生は全(すべ)て日本人だが、一階に私の言葉がわかる人もいるので、困ったときはよくその人に助(たす)けてもらいます。

結果

細かい文法の間違いや濁点がないなどもあるのですが、それよりも、『作文の書き方を知らない』学生が多いです。特に上の誤用例に示した通り、冒頭の自己紹介は数が多すぎて、添削の後半ともなると見るだけで手が震えます。何度「普通体と丁寧体を混ぜて使うな」「改行しろ」と言っても直りません。

しかし彼らは作文の書き方、原稿用紙の書き方を知らないだけです。作文指導で大事なのは失敗を発見させる事です

試しに上の誤用例を学生に見せてみてください。皆、「うわ、何コレ、読みにくい」と笑います。改行も漢字もない、さらに上にはありませんが文法の間違いまでこれにプラスされたものを読んでいる私達の苦労を分かってもらえると思います。

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日本語学習者のひらがな・カタカナの誤用例と直し方のコツ

小論文指導

小論文とは

小論文は『自分の意見・主張を他に論じる』ものです。作文は自分の嗜好や、自分の置かれている立場(家族や仕事・経験=個人的な事)について書くものです。よく文末に「~と思う」をつけますが、これは作文です。小論文では文末に「~と考える」などを用います。
 ✕と思う
 〇と考える
例えが適切かわかりませんが、作文はSNS(ツイッター・ブログ)のようなものだと言えるかもしれません。SNSで「従って、私は~と考えるのである」と書く人は少ないです。自分の好きな事、ぼやき、趣味、どこでなにをだれとしたかなどの体験を書いているものがほとんどです。

他にも感想文というものがありますが、これも小論を書かせると、学生が書きがちかもしれません。感想文とは読んで字のごとく、「何かを行い、それについての自分の感想」であり、小論文とはまったくの別物です。

何を書くか

あるテーマに沿って自分の主張を述べる。詳しい説明をするよりも、実際にテーマを見てもらえば早いと思うので、下にこれまで出題されてきたテーマの例を紹介します。

  • 学部:経営→日本と中国の消費者の違いについて
  • 学科:経営→ジニ係数(所得の不平等)」について考えを述べる
  • 学科:経済→少子高齢化は日本経済に影響を与えるか
  • 学科:経済→日本女性の就職状況について(200字~300字)
  • 学科:建築→デッサンのテーマ『ある1本の木を背景に自分の印象深い空間を書きなさい。』
  • 学部:国際コミュニケーション→あるスーパーでは賞味期限切れの食品をお客さんに試食させ、半額で販売する。しあなたが客ならその商品を買うか買わないか。その理由も書きなさい。(400字)

他にも英作文で書かせる場合のテーマの一例↓
英作文のテーマ『どうやって日本をリーダーシップのある国にするか』

改行

改行は、文の流れではなく、内容が変わるときに行います。改行しすぎると、採点者は「段落のルールがわかっていない」「内容が不明瞭」「字数かせぎかな」と感じてしまいます。

「~以内」

「400字以内」と字数制限がある場合、8割以上は書く事が鉄則です。それ以下になると減点の対象になったり、最悪0点になります。もちろん超えるのは論外です。

「?」「!」

使うのは原則禁止です。そもそも英語の表記法であって、正しい日本語の書き方ではありません。本のタイトル自体や課題文の引用したい台詞などに入っている場合にのみ使用されます。     

小論文の『型』

小論文には型があります。何でも自由に書いていいわけではありません。初めに自分の立場(結論)を述べ、「たしかに」で自分の主張の反論を書きます。次に、自分の主張がその反論に負けない根拠を「なぜなら」で書き、最後に内容を簡単に整理してまた結論を書きます。

①結論→②反論→③主張の根拠→④結論

①結論

自分の主張をまず書く

②反論

問題提起・意見提示:その主張に対する問題を考え、自分の主張を倒す主張を自分で作り、戦わせる。「たしかに~」「しかし~」といった接続詞を使い、意見を述べる

③主張の根拠

最も重要なところ。この③の内容を濃くしないと他の受験者に勝てない。
アイデアを広げる3Wなぜ・どこ・いつ 1Hどう
提示した意見の根拠を、「他の場所では?」「いつ?」「どうやって対策する?」などといったもので「なぜなら~」を用いて述べる。

④結論

内容を簡単に整理し、「よって私は~と考える」と結論を書く。

他の人と差をつける

一般論ばかり述べても同じになる事に留意させます。しかし、学生に言わせてみれば、「それはわかってる。でも他と違うって何書けばいいの!?」です。そういう学生はそもそも文章を書く能力に長けていないので、とにかく自分の経験や意見を盛ることで文章に説得力を持たせるやり方を教えます
そして、【好き・嫌いではなく、社会にとってプラスかマイナスかを論じる事】にも留意させます。
「私はこれが好きだからAはいいと考える。でもBは嫌いだしダサいから悪いと考える」
こんな稚拙な文章では最後まで読んでもらえない可能性すらあります。いくら硬い言葉を使ったとしても、内容が劣っていたら、どうにもなりません。

記述指導で使えるテキスト

以下、記述指導で使えるテキストです。

日本語教師のための 実践・作文指導
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日本語教師の7つ道具シリーズ3 作文授業の作り方編
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改訂版 大学・大学院留学生の日本語②作文編
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