「日本語は、まだまだです」――いつまで言い続ければいいのか?

こんばんは!花猫です。

日本で暮らす外国籍の皆さんにとって、「日本語がまだまだだ…」という状況は、ある時には歯がゆい思いをさせられながらも、ある時にはそれがそれなりに有利に働くこともあるかと思います。

日本語がうまく表現できなくて、存在を軽んじられてしまったり、逆に、日本語がわからないことで、少しぐらいのミスや失敗は大目に見てもらえたり。。

「外国人“だから”…」、「外国人“なのに”…」という評価は、日本での生活を選択した限り必ずついてまわるものです。(最近は、外国人がどうこうというこだわりがそれほどない人達も多くなってきていますが。)

さて、私が非常によく学習者の皆さんから聞かれるのは、

「いつになったら、私、日本語が上手になれるの?」

という、一見素朴でありながら、「日本語を教える者と習う者」という関係性から見れば、いやはや、実に根本的といえる質問です。

うーん、、「日本語が上手」って、一体何なんでしょうか。

今までの日本語教員生活の中で、こんな女性がいました。

彼女は、日本語能力検定試験1級を持ち、日本の名門大学を卒業して、名の通った日本企業に就職、第一線でバリバリ仕事をおこなっている20代の方でした。

それでも、「日本語能力が足りないと感じる」といって、日本語スクールを訪ねてきたのです。

結局は、毎回、彼女のいる業界に関係のあるいくつかの新聞記事を精読し、要約文を書いてくるというカリキュラムを組みました。記事に出てくる言い回しや慣用句、ことわざ、漢検準2級以上のレベルの熟語などをその都度確認してフォローしていきました。

レッスンを通して思ったのは、一体どこまでが日本語教育の請け負う範疇なんだろう、、ということです。

彼女のケースでは、日本の義務教育における、いわゆる「学習指導要領」に定められた国語教育を受けていなかったために、日本語で仕事をする上ではハンディキャップがあるように感じる、ということなのですね。

私がずっと昔に勤務していた日本語学校(告示校)では、日本語能力試験N1か、留学試験の日本語300点を取れば、学期途中でも卒業資格を与えることになっていましたが…。

他方で、現在進行形で私が担当している専門学校の日本語補講クラス(親御さんの都合で10代で日本に引っ越してきた非ネイティブの学生さん達が対象)では、こんなことを話す学生もいます。

「先生、この学校の日本人もそんなに日本語できないよ。たぶんN1受からない人もいるよ。この漢字だって、絶対読めないよ!」(←敬語が苦手なのはご愛嬌…)

その時は、私はこう返しました。

「そういう人も勿論いると思いますが、恐らく、基本的な漢字が読めなければ就職先の幅は狭くなってしまうと思いますよ」

「え…、でも…。ハッ!そういえば、その日本人の友達、毎日、新聞読んでる。わからない言葉、調べながら…!」

「でしょう!(得意顔)ネイティブだって、語彙力を上げるために必死なんですよ。皆さんは、英語(中国語、フランス語etc)が母語なのですから、それに加えて日本語力も上がれば、それだけ有利だし、選択肢も広がるということなんですよ」

「そうだね!!先生、私甘かった!もっともっと日本語勉強するっ!」(素直なところはとてもかわいい)

ほとんど外国暮らしの帰国子女の方々の日本語フォローなどにも携わっていますが、ネイティブでも日本語に苦手意識を持つ問題点の大元は、やはり「常用漢字を最後まで身につける機会がなかった」「日本の文学作品やエッセイを読む習慣を得られなかった」ことに起因している場合が多いです。

(余談:インターナショナルスクールでは、日本語の授業もあるようですが、何故かインター出身者は宇多田ヒカルさんのような話し方をする人が多い気がしています。ちゃんと丁寧形で話してるんだけど、何というか、「壁のない」話し方とでも言うのか…私にとって日本語学習者七不思議の一つ、、。)

日本語教師として微力ながら協力できることは何か、いつも考えますが、月並みですが、日本語を読む楽しみ、漢字の面白さを伝えていくことが一番大切なのかなと思います。

そのプロセスは、成人を過ぎてから改めて取り組むと、やはり険しい道なのですが…。

読書も、ほとんどの学習者はしたがらない。

短編小説(エッセイ/詩など)を楽しむ、なんていうリラックスした趣味の講座でもあるととっつきやすいかな?などなど、、教える側も、あの手この手で工夫しなければなりませんね。

「日本語は、まだまだです」

その言葉が単なる謙遜となるように、千里の道も一歩から。日本語教師として、共に歩き続けられたら嬉しいです。

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