LC(文字カード)の作り方と使い方

文字カード(以下、LCと表記)とは、紙にあらかじめ文字を書いておき、学習者にそれを見せるもののことです。

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フラッシュカードとの違い

フラッシュカード(以下、FCと表記) とは、活用の練習を行うための文字が書かれたカードの事です。フラッシュとは「素早く」という意味ですが、これが大きな違いです。LCはFCのように学習者の目前を通り過ぎるものではなく、むしろ留まるものです。

メリット

  • 板書時間の大幅な削減

これにより、学習者との繋がりを切らず授業ができます。

  • 教科書を使わない授業

模擬の記事で書いた『教科書を使わない授業』を行うにはLCは必需品です。

  • オリジナルの文が提供できる

教科書を使わないのですから、学習者の属性や環境にあったオリジナルの文が提供できることになります。学習者が技能実習生ならば仕事で使う語彙を、主婦なら生活で使う語彙、留学生ならアカデミックな語彙というように、文を教師がアレンジできるのは大きなメリットです。

デメリット

  • 印刷用紙代がかかる
  • インク代がかかる
  • 教科書を使わない分、準備に時間がかかる

つまり、授業においてデメリットはないということです。

作り方

教科書体で

フォントは明朝体やゴシック体など、様々ありますが、留学生が学ぶ場で用いるべきは、特に初級は教科書体です。

極力漢字で表記する

FCはあくまで活用の練習のためのものであり(フラッシュ=素早く)、漢字の勉強ではありません。しかし、LCは板書の代用です。漢字を書いてその上にルビを書いて…という授業時間の大きな圧迫要素をLCが担ってくれるのです。漢字を使わない手はありません。

中央線

横に中央線で区切ります。これについては後述します。

使い方とLCのサンプル

いくつかサンプルをご用意しました。それらを見ながらどのように使うかと、教師のキューの出し方を見ていきます。

たことがあります


 
T:日本のバス?
S:日本語のバスに乗ったことがありますか
T:S1さん、どうぞ
S1:はい、乗ったことがあります


 
T:日本の?
S:日本の車を運転したことがありますか
T:S1さん、どうぞ
S1:はい、一度あります


 
T:日本の歌?
S:日本の歌を聞いたことがありますか
T:S1さん、どうぞ
S1:はい/いいえ、あります/ありません

これは答えがないので、学習者が答えを考えなければなりません。難易度が1枚目と2枚目より難しくなっています。

場所へ~に行きます


 
T:公園へ行きます、散歩します?
S:公園へ散歩に行きます

ので(理由)


 
T:いません、ので?
S:今日はあまり道が込んでいないので、早く着きます


 
T:中国に4年住んでいました、ので?
S:中国に4年住んでいたので、中国が話せます

LCは「持って使う」「貼って使う」どちらでもいいですが、貼れば手が自由になります。
上のサンプルは中央に横線が入っていますが、そこで折ると学習者の学習を妨げません。折らずにいっぺんに2つの文を見せると、目の行き場が多くなってしまうので、見せる時は上半分、次は下半分、そして次のLC・・・と見せていくといいでしょう。

もちろん1枚に1つの文でも構わないのですが、それだと紙が膨大な量になり、授業中わちゃわちゃしてしまいます。

文字カードのススメ

以上でLCについてでした。板書時間の大幅な削減は繰り返して言いたいほど大きなメリットです。これにより練習量も増やせますし、活動のための時間もたっぷりとることができます

そして、もう一つ繰り返して言いたいのは『教科書を使わない授業』ができること。授業中に教科書を使うことが悪と言っているわけではないのですが、私の力量ではどうやっても授業で教科書を開くと学習者は眠く、退屈になってしまいます。うまく教科書が使える人もいるのでしょうが、私のような人にLCは大変おすすめできるアイテムです。

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